材料多いなか、レンジからの脱却期待が強い(週報9月第2週)

先週のドル/円相場は、週間を通してレンジ取引。一週間でわずか60ポイント程度しか変動がなく、方向性は極めて乏しかった。

材料多いなか、レンジからの脱却期待が強い(週報9月第2週)

材料多いなか、レンジからの脱却期待が強い

〇先週のドル円、一週間で60ポイント程度しか変動せず今年2番目の週間ベースの年間小変動に
〇自民党総裁選では菅氏の勝利が確実視され菅首相のもとで早期解散を警戒との報道も
〇日英通商協定が大筋合意となり明るい兆しも、英国と対EUは離脱協定の内容で亀裂を深めた
〇今週は米経済指標、FOMCや日英中銀による政策金利の発表にも注目
〇今週のドル円予想レンジ105.00-107.20

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、週間を通してレンジ取引。一週間でわずか60ポイント程度しか変動がなく、方向性は極めて乏しかった。

「安倍首相の辞意表明」を受けた日本の政局が引き続き話題に。前週末には、主要な全国紙で次期首相の最有力候補である菅官房長官の個別インタビューが報じられ、思惑を呼んでいた。また、それとは別に、米政府が中国の半導体受託生産大手である「中芯国際集成電路製造(SMIC)を禁輸リストへの追加検討」と報じられている。
そうしたなか取引が始まったドル/円は106.20円前後でオープンしたものの、週間を通して動意が乏しい。一時、106円を割り込み週間安値である105.79円まで小緩んだが続かず。その後は106円台前半を中心としたレンジ取引をたどると、週末NYもそのまま106.15円レベルで取引を終え、越週している。
なお、それとは別にポンドが週間を通してなかなか荒い動き。対円では140円台から135円台へと、一週間で5円を超える下落が観測されていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日本の政局」と「英国情勢」について。
前者は、8日に自民党総裁選が正式に告示され、事前予想通り石破、菅、岸田の3氏が立候補の届け出を行っている。ただ、金融市場のみならず、一般的にも菅官房長官の勝利が確実視されており、徐々にではあるが「次の一手」に対する関心が高まっている感を否めない。そのなかでも、とくに関心を集めているのは「組閣人事」と「早期解散の有無」について。とくに後者は、時事通信が「菅首相のもとの早期解散を警戒、最短『10月25日投票説』も」などと報じるなか、自民党の鈴木総務会長から「新内閣ができてフレッシュで、評価が高いときに国民の信を問う。ひとつのタイミングだ」との発言も聞かれ、警戒感がとくに強い。

対して後者は、先週末になり、「日英通商協定が大筋合意」となるなど、一部ではやや明るい兆しもうかがえた反面、対EUについては「通商協定」ならびに「離脱協定」ともに協議が難航している感を否めず、それが前述したようなポンド安の一因に。とくに後者部分、「離脱協定」に関し、英国がすでに合意している協定の一部をほごにする内容を含む法案を提出したことが物議を醸すと、EU側も態度を硬化。亀裂を深めていたようだ。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は、週間を通して105.79-106.38円の変動。つまり、一週間に59銭しか変動がなかったわけだが、これは2月10-14日週の同57銭に次ぐ、今年2番目の「週間ベースの年間小変動」となる。したがって、まずは先週のレンジ相場の反動が期待されるところだが、実際、前述した今年2月のケースでは小動きだった翌週に約2.5円動くと、今年のドル最高値を記録していた。幸か不幸か注目材料も少なくないだけに、先週の反動ともいえる大相場を期待する声も少なくない。

材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルスとワクチン開発」、「米大統領選」、「安倍首相辞任とその後継者人事」、「ベラルーシ情勢」など注目要因は依然として目白押し。それらに加え、さらに「毒殺未遂事件を中心としたロシア情勢」も市場の注目を集めはじめている。そのなかでも、とくに市場で注視されているものは、14日投開票の「自民党総裁選」ならびに16日の「首相指名選挙」と、16日に予定されている「米FOMCの政策金利発表」だ。また、先週の流れを継ぐ格好で英国や欧州関係の要因にも注意を払いたい。

テクニカルに見た場合、先でも取り上げたように、先週のドル/円は105.79-106.38円というわずか59銭レンジ取引。今週はまず、そんなレンジを如何に放れるのか、方向性とタイミングを注視してみたい。ただ、8月以降のドル/円は105-107円という2円レンジにとどまっており、仮に放れたとしても、その大きなレンジ内にはとどまるといった見方が取り敢えず有力だ。

一方、今週は、9月のフィラデルフィア連銀景況指数や同ミシガン大消費者信頼感指数速報値といった米経済指標が発表される予定で、まずはそれらに要注意。
また、FOMCはもちろんのこと日英中銀による政策金利の発表を注目している声も聞かれている。さらには、「首相指名選挙」など日本の政局に対する動き、週初に実施されるEUと中国首脳によるビデオ会議なども気掛かりだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、105.00-107.20円。ドル高・円安については、先週のドル高値にあたる106.38円が最初の対抗。超えれば移動平均の90日線も位置する106.85円レベルや、レンジ上限の107.05円などがターゲットになる。
対するドル安・円高方向は、先週安値の105.79円の攻防がまずは注視されており、割り込めば105.20円、105.10円などが再び視界内に捉えられそうだ。

注:ポイント要約は編集部

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