ドル円見通し 106円台へ戻す、米長期債利回り上昇により押し上げられる(8/26)

ドル円は、25日も株高債券安・長期債利回り上昇が続いたために8月20日午前高値を超えて一段高に入り、25日深夜には106.57円まで高値を切り上げてきた。

ドル円見通し 106円台へ戻す、米長期債利回り上昇により押し上げられる(8/26)

106円台へ戻す、米長期債利回り上昇により押し上げられる

〇ドル円、ドル高円安へのバイアスかかり始め、25日深夜106.57まで高値切り上げる
〇ナスダック総合株価指数、前日比86.75ポイント高と4日連続で終値ベースの史上最高値更新
〇25日に米中で閣僚級電話協議が行われ、対立深刻化への過度な不安感やや後退し株高基調
〇株高債券安、利回り上昇継続なら円安に加え、ドル高円安が重なる展開となる可能性も
〇106円割れからは弱気サイクル入りとみて105.75から105.50を試すが、105.75以下は反騰注意
〇106.57超えからは106.75前後、さらに107円に迫る上昇を想定、106.75以上は反落警戒圏

【概況】

ドル円は米国の長期国債大量入札による米長期債利回り上昇を背景に8月14日未明高値107.05円まで上昇した後、米長期債利回り上昇が一巡したことで8月19日安値105.26円まで下落してきた。8月20日未明のFOMC議事録公開を控えた買い戻しと、公開された議事録においてYCC(イールドカーブコントロール=長短金利操作)への消極姿勢が示されたことで20日午前には106.21円まで戻したが、材料消化で21日安値では105.42円まで下げていた。
週明けの8月24日は欧米の主要経済指標発表もなく決め手に欠いた状況で105円台後半での揉み合いだったが、米ナスダックが連日の史上最高値更新となる中で投資家の関心が株高へ向かい、安全資産とされる米長期国債が売られて長期債利回りが再び上昇気配となり、日米金利差を意識してドル円においてはドル高円安へのバイアスがかかり始め、25日も株高債券安・長期債利回り上昇が続いたために8月20日午前高値を超えて一段高に入り、25日深夜には106.57円まで高値を切り上げてきた。

8月25日の米経済指標はまちまち。米コンファレンス・ボードが発表した8月の消費者信頼感指数は84.8となり7月の91.7から低下した。2か月連続低下であり、市場予想の93.0も下回った。また現況指数は84.2で7月の95.9から悪化、期待指数も85.2で7月の88.9から悪化した。消費者の楽観的な見通しが後退している印象を与えたが、市場の反応は限定的だった。
米商務省が発表した7月の新築一戸建て住宅販売件数(年率換算)は前月比13.9%増の90万1000戸となり2006年12月の99.8万戸以来13年7か月ぶりの水準となった。市場予想の78.5万戸を大幅に上回った。米連銀の利下げにより住宅ローン金利が低下していることが需要を押し上げている印象だ。前年同月比では36.3%増だった。

【株高債券安で長期債利回り再び上昇】

8月25日の米国株式市場はまちまちで、NYダウは高値警戒感から60.02ドル安と下落したが、好調なナスダック総合株価指数は前日比86.75ポイント高と上昇して4日連続で終値ベースの史上最高値を更新した。新型コロナウイルスに対する治療薬開発関連報道による楽観に加え、25日は米中通商協議の第一段階合意に関する履行検証の閣僚級電話協議が行われたことで、ファーウェイ排除やティックトックを巡る米中対立深刻化への過度な不安感がやや後退したことも株高基調を支えている。

株高との逆相関で米長期国債が売られ、米10年債利回りは前日比0.03%上昇の0.69%で24日の0.03%上昇からの続伸となり、30年債利回りは0.04%上昇の1.40%となり24日の0.02%上昇からの続伸となった。8月10日から続いた大量の米国債入札による債券需給緩和懸念を材料とした長期債利回り上昇は一巡したが、今度は株高債券安による利回り上昇であり、8月20日の米FOMC議事録においてYCCへの消極姿勢が示されたことが米長期債利回りの上昇を抑えていない印象であり、株高債券安・利回り上昇継続の場合には、ドル円は株高からのリスク選好感によるクロス円での円安に加え、日米長期金利差でのドル高円安が重なる展開となる可能性もある。

ただし、米連銀の今後の金融緩和姿勢への受け止め方次第では流れも変わるため、8月27日のパウエル議長によるジャクソンホール講演の内容を見定めたいところであり、ドル円も8月19日安値から二段階で戻しているものの、8月14日未明高値107.05円を超えて一段高へ進むには時期尚早であり、議長講演及び同日の米GDP4−6月期改定値等を控えてポジション調整的にいったん押し目を入れてくる可能性もあるところと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月19日午前安値をサイクルボトムとして反騰したものの21日夕刻に105.42円まで下げたため、24日朝時点では20日午前高値で直近のサイクルトップを付けたとした。またボトム形成期は24日午前から26日午前にかけての間としたが、20日午前高値の後は105円台後半を中心とした持ち合いとなったために持ち合い終盤の24日夜安値で既にサイクルボトムを付けた可能性があるとした。

8月25日夜の上昇で20日午前高値を上抜いたため、24日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は25日午前から27日午前にかけての間と想定されるので既に25日深夜高値でサイクルトップを付けた可能性があるが、106円台を維持するうちは上昇余地ありとし、25日深夜高値を上抜く場合は8月14日午前高値107.05円を目指すとみる。ただし既に反落注意期にあるとみて106.20円割れを弱気転換注意とし、106.00円割れからは弱気サイクル入りとして27日夜から31日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月25日早朝への上昇で先行スパンを突破し、遅行スパンも好転したが、その後の一段高で両スパンそろっての好転を維持しているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。ただし新たな高値更新へ進めなくなると遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは修正安局面として安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月25日深夜への一段高で80ポイントを超えたが、夜間序盤から深夜への高値切り上げに対して指数のピークがほぼフラットの弱気逆行型を形成しているので反落警戒とみる。50ポイント台を維持するうちは65ポイント超えから上昇再開とするが、50ポイント割れからは下げ再開とみて40ポイント割れを目指すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、106.20を下値支持線、8月25日深夜高値106.57円を上値抵抗線とする。
(2)106.20円以上での推移中は上昇余地ありとし、25日深夜高値超えからは106.75円前後、さらに107円に迫る上昇を想定するが、新たな押し上げ材料を伴わない場合は106.75円以上は反落警戒圏とみる。
(3)106.20円割れからは弱気転換注意とし、106円割れからは弱気サイクル入りとみて105.75円から105.50円にかけてのゾーンを試すとみる。105.75円以下は反騰注意とするが、106.20円以下での推移が続く場合は27日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8/26(水)
14:00 (日) 6月 景気先行指数CI・改定値 (速報 85.0)
14:00 (日) 6月 景気一致指数CI・改定値 (速報 76.4)
20:00 (メ) 4-6月期 GDP確定値 前期比 (速報 -17.3%、予想 -17.2%)
20:00 (メ) 4-6月期 GDP確定値 前年同期比 (速報 -18.9%、予想 -18.8%)
21:30 (米) 7月 耐久財受注 前月比 (6月 7.3%、予想 4.3%)
21:30 (米) 7月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (6月 3.3%、予想 2.0%)

8/27(木)
トランプ米大統領、共和党大会で指名受諾演説(ワシントン)
カンザスシティ連銀主催年次シンポジウム(8月28日まで、ジャクソンホール、オンライン)
10:30 (豪) 4-6月期 民間設備投資 前期比 (1−3月 -1.6%、予想 -8.2%)
13:30 (日) 6月 全産業活動指数 前月比 (5月 -3.5%、予想 6.3%)
14:45 (ス) 4-6月期 GDP 前期比 (1−3月 -2.6%、予想 -9.0%)
14:45 (ス) 4-6月期 GDP 前年同期比 (1−3月 -1.3%、予想 -10.2%)

21:30 (米) 4-6月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 -32.9%、予想 -32.5%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 -34.6%、予想 -34.6%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCE改定値 前期比年率 (速報 -1.1%、予想 -1.1%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 110.6万件、予想 100.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1484.4万人)
22:10 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ジャクソンホール講演(オンライン)
23:00 (米) 7月 住宅販売保留指数 前月比 (6月 16.6%、予想 2.0%)
23:00 (米) 7月 住宅販売保留指数 前年同月比 (6月 12.7%)
24:15 (加) マックレム加中銀総裁、ジャクソンホール講演(オンライン)

注:ポイント要約は編集部

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