高値圏での調整を終え8月高値を試しやすい
〇先週のユーロドル、木曜に1.1864レベルまで買い戻されたが、前週高値1.1916まではまだ遠い
〇ドル売りの動きに変化なくユーロ買い広がる、シカゴ先物通貨のユーロ買いポジションは史上最高額更新
〇週前半大きく下げなければ、今週中にも年初来高値1.1916をトライ、1.20の大台を視野に入れる可能性
〇今週EUと英国の離脱後の協議開催、何らかの進展を示すか注目
〇今週は1.1775レベルをサポート、1.1950レベルをレジスタンスとする流れを予想
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、ドル建て金価格が週前半に大幅安となり、それまで米ドルから逃げていた資金が利食いにより一部回帰したことによるドル買い戻しが為替市場にも影響を与えた週となりました。ユーロドルも木曜には1.1864レベルまで買い戻されましたが、年初来高値でもある前週高値1.1916まではまだ距離があるという動きでした。
為替市場を取り囲む環境には変化が無く米国と欧州とを比較した場合の相対的な弱さからドルを売りたいという動きにも変化はありません。実際に年初来高値をつけた前週に比べてもユーロ買いは広がり、11日時点のシカゴ通貨先物におけるユーロ買いポジションは前週から更に2万枚ほど増え、ほぼ20万枚のユーロ買いと買いポジションとしては史上最高額を更新しています。
この感じからすると年初来高値を更新し1.20の大台を見るまでは中長期のポジションは継続という感じですが、今週も週前半はあまり目立った材料がありません。集中するのは金曜の主要国8月製造業・サービス業PMI速報値とユーロ圏8月消費者信頼感速報値ということになりますが、週前半に大きく下げることが無ければ今週中にも年初来高値をトライして1.20の大台を視野に入れる展開となってくる可能性は高いと言えます。
今週は経済指標以外ではEUと英国による離脱後の協議が行われますが、これも今週どうこうという話ではありませんので、大きな材料とはしにくいところです。しかし、先週13日に英国の離脱交渉担当者が9月中には合意できるという見通しを示したこともあり、何らかの進展を示す発言が出てきた場合には、ポンドもユーロも買い材料となりそうです。これには伏線もあり、前週7日には英国の担当相もEU側に変化があるという発言をしたことから、EUの英国主張への何らかの譲歩があったという印象です。
他には引き続きドル建て金価格の動きに注意ですが、先週水曜に目先の安値をつけてからの反発局面と見られ、改めて売気が強まらない限りは今週は大きな材料ではありません。テクニカルな観点から日足チャートをご覧ください。
2020年安値を起点とした上昇N波動(ピンク)によるフィボナッチ・エクスパンションの100%エクスパンション(均衡表のN計算値と同じ)1.1954が引き続きターゲットとなっていることに変化はありません。またローソク足の形からは7月下旬以降高値圏でのもみあいを続けていることから、今回の再上昇で上値を抜けられないとトリプルトップ状のリバーサルパターンを形成する可能性もあります。
いずれにしても8月高値を抜けるか8月安値を抜けるかでその方向に動きが継続しやすいチャートとなって来ていることは確かですし、材料的には前者の8月高値を抜けて上述の1.1954レベルをターゲットとする動きのほうが可能性は高いと考えています。今週は1.1775レベルをサポートに1.1950レベルをレジスタンスとする週を見ておくことにします。
今週のコラム
今週はポンドドルのチャートを見てみましょう。
ポンドはユーロに比べて上値の重たい展開が続いてきたこともあって、まだ年初来高値よりも下での推移となっています。ピンクの水平線が年初来高値ですが8月高値から約50pipsの距離があり、7月下旬以降のチャートのパタンはヘッド&ショルダー型のリバーサルパターンを形成するか、あるいは8月高値を抜けて年初来高値をトライしに行くか。どちらかの方向に走りそうなのはユーロと同じです。
材料的にはポンドもまた買われて年初来高値を試しに行く可能性が高いと見ていますが、ユーロとともに注視しておきたい通貨ペアです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
8月17日(月)
08:01 英国8月住宅価格
8月18日(火)
17:00 デギンドスECB副総裁講演
8月19日(水)
15:00 英国7月CPI・PPI
18:00 ユーロ圏7月CPI
8月20日(木)
15:00 ドイツ7月PPI
18:00 ユーロ圏6月建設支出
20:30 ECB理事会議事要旨公表
8月21日(金)
08:01 英国8月消費者信頼感
15:00 英国7月小売売上高
16:15 フランス8月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ8月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏8月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 英国8月製造業・サービス業PMI速報値
23:00 ユーロ圏8月消費者信頼感速報値
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
8月10日(月)
ユーロドルは、ドルの動きとしてはドル円同様にドル売り・ユーロ買いが先行したものの、1.1801に大口の売りオーダーがあり高値は1.1801止まり。ユーロの売りを確認したことでNY市場が始まる前には1.1741の安値をつけました。その後再び買いが出たものの1.1792までで、引けにかけてはじり安の動きから1.1736の安値をつけそのまま安値引けとなりました。
8月11日(火)
ユーロドルはドル円でドル買い動きが出た時には押ユーロ売りも入り一時1.1722レベルを見ました。しかし、下がったところではユーロ買い戻しに加え、日経平均株価の上昇を見てのユーロ円買いが入ったことから反転上昇、欧州市場では前日高値を抜け1.1808レベルの戻り高値をつけました。NY市場ではPPIを見てのドル買い戻しから1.1728レベルへと下押ししましたが、下がりきらずに引ける行って来いの一日となりました。
8月12日(水)
ユーロドルは東京の昼過ぎまでは金価格とともに上げる展開となり、一時1.1711レベルの週間安値をつけましたが金価格の反転とともに上昇。欧州市場以降は日経平均先物の上昇がドル円、ユーロ円で円売りとユーロ円は前日高値、前週高値を次々と上抜けストップも巻き込んで上昇。ユーロドルも前日高値を上抜けNY前場には1.1817レベルの高値をつけ、引けにかけてはやや押して引けました。
8月13日(木)
ユーロドルは東京市場から買いが先行、東京後場には前日高値を上抜け新たなユーロ買いの動きが見られ、欧州市場ではユーロ円も前日高値を上抜けました。NY市場前場までは買いが続きそれぞれ週間高値となる1.1864レベルと126.76レベルの高値をつけましたが、米金利上昇によるドル買いに押され東京後場の水準まで押し、若干戻しての引けとなりました。
8月14日(金)
ユーロドルは東京市場では方向感がはっきりしない動きとなっていましたが、欧州市場に入りドル円とともにユーロ円に売りが入ったことから1.1782レベルへと下落。株価の回復によるユーロ円の買い戻しとNY市場では全般的なドル売りの動きから1.1850レベルの日中高値をつけた後にやや押しての週末クローズとなりました。
注:ポイント要約は編集部
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オーダー/ポジション状況
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