米長期債利回り上昇継続、107円に到達
〇ドル円、12日夜107.01を付け7/23以来の107円台に到達
〇米10年債利回り、0.69%まで上昇した後一服
〇米30年債13日に260億ドル規模の大量入札で、利回り上昇継続か否か注目
〇12日NYダウ前日比289.93ドル高、ナスダック総合株価指数229.42ポイント高と上昇
〇106.50割れから続落の場合は弱気転換注意で8/11深夜安値105.92試し
〇12日夜高値107.01超えからは107.60前後への上昇を想定、107.50以上は反落警戒
【概況】
ドル円は7月31日午前安値104.17円から8月3日深夜高値106.46円まで戻した後、8月6日深夜安値105.29円までジリ安の推移となっていたが、8月7日の米雇用統計改善とその後の米長期債利回り上昇を背景としたドル高により徐々に戻り高値の切り上げに入り、8月12日未明には106.68円を付けて8月3日深夜高値106.46円を上抜いた。12日夜も米長期債利回り上昇は続き、米消費者物価上昇率が予想を上回ったところでは107.01円を付けて7月23日以来の107円台に到達した。
8月3日深夜高値を超えて続伸したことにより、7月31日を当面の底とした上昇が二段上げ型に発展している。
【米長期債利回り上昇】
米10年債利回りは8月12日も続伸して前日比0.04%上昇の0.68%となった。米労働省が発表した7月の消費者物価指数の上昇率が予想を超えた時点では0.69%まで上昇し、その後は380億ドルの10年債入札が堅調だったことで上昇一服となっている。30年債利回りは0.05%上昇の1.38%となっている。30年債は13日に260億ドル規模の入札を控えている。大量入札による需給緩和感が米長期債利回り上昇感を強めてドル高円安に寄与しているが、大量入札を通過した後に利回り上昇が継続するのかいったん落ち着くのかどうか、13日の30年債入札前後が注目される。
株式市場の上昇も株買い・債券売り・長期債利回り上昇となりドル円にはプラスとなっている。12日のNYダウは前日比289.93ドル高と上昇、ナスダック総合株価指数も229.42ポイント高と上昇した。ロシアにおける世界初のワクチン承認からワクチン開発への期待感が強まっているが、米モデルナ社の開発中ワクチンが早期に承認されるのではないかとの思惑が株高要因とされるが、米政府は承認を条件にモデルナのワクチン1億回分の供給契約を結んだと報じている。ただ、コロナウイルスのワクチン開発は難しく、SARSもMERSも結局はワクチン開発に成功していない事は認識しておく必要がある。
米労働省が発表した7月の消費者物価は前月比0.6%上昇となり6月から変わらずだったが市場予想の0.3%を上回った。前年同月比では1.0%上昇となり6月の0.6%及び市場予想の0.7%を上回った。コア指数の前月比も0.6%上昇となり6月及び市場予想の0.2%を大幅に上回り、前年同月比も1.6%上昇となり6月の1.2%及び市場予想の1.1%を上回った。
11日の米生産者物価も市場予想を上回る上昇率だったが、コロナ不況によるデフレ長期化懸念を後退させて早期復興への期待を抱かせるものと市場は受け止めたようだ。
【7月31日からの上昇基調を継続中】
ドル円は7月31日安値104.17円からの上昇が続いている。7月31日当日に安値から高値まで1.88円の上昇で日足は下ヒゲの大きな陽線となり、前後の状況が昨年8月26日に同様の2円近い当日反騰を見せたところに類似していると指摘してきたが、8月3日深夜高値を超えて二段上げ型へ進んでおり、昨年8月26日からの上昇期における9月序盤の動きに近づいている印象がある。
8月12日夜高値まで上昇幅は2.84円まで拡大してきたが、すでに6月23日から7月1日への戻り幅2.10円や4月1日から4月6日への戻り幅2.46円を超えてきている。
概ね2か月前後の周期での底打ちが続いてきたが、今回は5月6日安値から3か月弱となる7月31日安値で当面の底を付けて戻りを試しているところと思われる。戻り幅が3円に満たないうちは下げ相場途中のリバウンドの範囲に留まるが、3円を超える上昇の場合はリバウンドのレベルを超えて上昇トレンドにおける上昇期という印象に代わってゆく可能性もある。
107円到達では抵抗感も出やすいところだが、8月3日深夜高値から6日深夜安値までの下げ幅1.17円の倍返しだと上値計算値は107.63円、7月31日から8月3日深夜への上昇幅2.29円と同レベルの二段上げとすれば上値計算値は107.58円であり、107円台に定着すると107.60円前後の水準へ上昇しやすくなるのではないかと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月6日深夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りしていたが、12日未明へ続伸したために12日朝時点では8月10日深夜安値ないしは11日夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクルに入っているとした。12日夜へ続伸してその後も高値圏を維持しているので、8月10日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして13日夜から17日夜にかけての間への上昇を想定する。ただし、106.50円割れから続落の場合は弱気転換注意として11日深夜安値(105.92円)試しとし、安値更新からは弱気サイクル入りとして13日夜から17日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8月7日夜の上昇で先行スパンを突破し、その後も先行スパンを上抜いた状況を維持している。このため先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、遅行スパンが一時的に悪化してもその後に再び好転するところからは上昇再開とする。弱気転換は先行スパンから転落するところからとし、その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月12日夜への上昇で70ポイントを超えたが指数のピークをやや切り上げているので50ポイント前後を下値支持線としてまだ上昇余地ありとみる。ただし、12日夜高値を上抜く一段高となる際に指数のピークが切り下がるようだと弱気逆行発生によりいったん下落に転じやすくなるとみる。また45ポイント割れからは下落再開と考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、106.50円を下値支持線、12日夜高値107.01円を上値抵抗線とする。
(2)106.50円を上回るうちは上昇余地ありとし、12日夜高値超えからは107.60円前後への上昇を想定する。107.50円以上は反落警戒とするが、106.50円以上での推移なら14日午前も高値試しを続ける可能性があると考える。
(3)106.50円割れから続落の場合は弱気転換注意として8月11日深夜安値105.92円試しとする。11日深夜安値割れからは弱気サイクル入りとみて105円台中盤への下落を想定する。105.50円以下は反騰注意とするが、105.92円を割り込んだ後も106円以下での推移なら14日午前にかけても安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8/13(木)
10:30 (豪) 7月 新規雇用者数 (6月 21.08万人、予想 4.00万人)
10:30 (豪) 7月 失業率 (6月 7.4%、予想 7.8%)
15:00 (独) 7月 消費者物価指数改定値 前月比 (6月 -0.5%、予想 -0.5%)
15:00 (独) 7月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (6月 -0.1%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 7月 輸入物価指数 前月比 (6月 1.4%、予想 0.6%)
21:30 (米) 7月 輸出物価指数 前月比 (6月 1.4%、予想 0.4%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 118.6万件、予想 112.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1610.7万人、予想 1580.0万人)
27:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 5.00%、予想 4.50%)
8/14(金)
11:00 (中) 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 -1.8%、予想 0.1%)
11:00 (中) 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 4.8%、予想 5.1%)
13:30 (日) 6月 第三次産業活動指数 前月比 (5月 -2.1%、予想 6.6%)
18:00 (欧) 6月 貿易収支・季調済 (5月 80億ユーロ、予想 145億ユーロ)
18:00 (欧) 6月 貿易収支・季調前 (5月 94億ユーロ)
18:00 (欧) 4-6月期GDP改定値 前期比 (速報 -12.1%)
18:00 (欧) 4-6月期GDP改定値 前年同期比 (速報 -15.0%)
21:30 (米) 7月 小売売上高 前月比 (6月 7.5%、予想 1.8%)
21:30 (米) 7月 小売売上高・除自動車 前月比 (6月 7.3%、予想 1.3%)
21:30 (米) 4-6月期非農業部門労働生産性 速報値 前期比 (1−3月 -0.9%、予想 1.5%)
21:30 (米) 4-6月期単位労働コスト 速報値 前期比年率 (1−3月 5.1%、予想 5.5%)
22:15 (米) 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 5.4%、予想 3.0%)
22:15 (米) 7月 設備稼働率 (6月 68.6%、予想 70.5%)
23:00 (米) 6月 企業在庫 前月比 (5月 -2.3%、予想 -1.2%)
23:00 (米) 8月 ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値 (7月 72.5、予想 71.7)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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