ドル円見通し 107円から再び転落、6月12日からの下げ渋り持ち合いの範囲だが上値が重い(20/6/18)

ドル円においては円高が勝って18日早朝には106.80円台に下落している

ドル円見通し 107円から再び転落、6月12日からの下げ渋り持ち合いの範囲だが上値が重い(20/6/18)

107円から再び転落、6月12日からの下げ渋り持ち合いの範囲だが上値が重い

〇ドル円NYダウの感染拡大懸念による4日ぶり反落を受け106.80まで下落
〇市場ではアフターコロナの復興期待による楽観と感染拡大継続や第二波への不安からの悲観が交錯
〇昨晩のパウエル議長の議会証言には新味なし、コロナ不況長期化への警戒、景気対策継続の必要性を強調
〇金融財政政策等の支援による楽観を押さえつけるような世界的不況長期化、景気回復遅延懸念も出ている
〇107円以下での推移中は一段安警戒106.55割れからは105円台後半を目指す
〇107.30円超えからは強気転換注意、107.63を上抜く場合ダブルボトム形成からの反騰入り

【概況】

ドル円は6月5日の米雇用統計発表後に付けた高値109.84円から6月12日午前安値106.55円まで3.29円の下落となったが、その後は下げ一服で買い戻され、17日夜にかけては107円台前半を中心とした持ち合いで推移してきた。15日午後に106.97円まで小反落したところも買い戻されて16日昼には107.63円までわずかに高値を切り上げたが、107.50円以上では上値が重く、株高にもなびかずに横ばい程度の推移にとどまっていたが、17日夜はNYダウが感染拡大懸念を背景に4日ぶりに反落すると、リスク回避的にドルストレートではドル高となり、クロス円では円高となり、ドル円においては円高が勝って18日早朝には106.80円台に下落している。

アフターコロナの復興期待による楽観と経済活動再開による感染拡大への不安及び世界的なパンデミックが一向に収束へ向かわない状況に対する悲観が交錯する状況にあり、6月第1週は楽観優先でドル円も上昇し、6月5日の米雇用統計が予想外に改善となったところが楽観のピークとなった。しかし6月第2週は悲観の揺れ返しとなり6月8日からは一転して円高ドル安となり、6月11日にはNYダウが前日比1861.82ドル安となる中でドル円も106円台まで突っ込んだ。先週末からNYダウは持ち直しに入ったがドル円の反応はかなり慎重な動きにとどまっている。この慎重さは5月末の持ち合い形成時にも見られたため、現状よりもさらに楽観的株高局面に入るなら、6月2日から6月5日にかけて急激な円安ドル高へ進んだ状況の再現もあり得ると思うが、逆に悲観が勝って株安が再び深刻化すると107円台前半での現状の下げ渋り持ち合いから転落して円高が加速する局面に入りかねないところだ。

【楽観と悲観の交錯】

株式市場及び為替市場では方向性の定まらない展開が続いている。
6月17日のNYダウは前日比170.37ドル安と4日ぶりに下落した。NYダウは6月9日から11日までは悲観先行で大幅下落したが、12日から16日までは景気対策期待で持ち直しに入り3連騰した。しかし6月11日へ急落する前の水準を回復しきれずに上値が重くなっている。
6月17日に発表された米5月住宅着工件数は年率換算で97.4万件となり市場予想の109.5万件を下回ったが、前月の93.4万件を上回った。先行指標となる着工許可件数は122万件で市場予想の122.8万件を下回ったが、前月の106.6万件を上回った。6月16日の米小売統計が予想を大幅に上回る伸びとなったところでは楽観を助長したが、住宅統計はそこまでの反応には至らなかった。

米連銀のパウエル議長は前日の上院議会証言に続いて17日は下院での議会証言を行ったが、特に発言内容にサプライズはなかった。コロナ不況の長期化への警戒と、景気対策の早すぎる撤回への懸念を示した。
米国ではNY州の感染爆発がひとまず終息しつつある。新たな感染者数もかなり抑制されており、クオモ知事は17日の会見で「現在の傾向が続けばNY市が6月22日から経済活動再開の第2段階に入る」との見通しを示した。しかしテキサスやフロリダ、カリフォルニア等での感染拡大は収まらない。経済活動再開を急いだところは感染増加が目立つ。感染爆発を大規模で長期のロックダウンで抑え込んだ中国でも経済活動再開により北京で新たな感染拡大が発生し、中国政府は緊急対応レベルを引き上げて「戦時状態」を宣言するなど緊張が高まっている。ブラジル等の南米、ロシア、インド、サウジ等中東諸国、南アなども感染拡大傾向が続いており、金融緩和や財政政策等による金融市場への支援による楽観を押さえつけるような世界的な不況長期化、景気回復遅延への懸念も出ている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月5日深夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして6月9日夜から11日夜にかけての間への下落を想定してきたが、6月12日午後安値からの反発により16日朝時点では12日午後安値を直近のサイクルボトムとした。その後は持ち合い状態が続いていたが、6月16日昼高値の後は新たな高値更新へ進めずにいたために6月17日朝時点では6月15日安値割れからは弱気サイクル入りとした。18日早朝への下落で15日安値を割り込んだため、16日昼高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして17日午後から19日午後にかけての間への下落を想定する。強気転換は16日昼高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では6月18日早朝への下落で遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落してきた。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気転換は両スパンそろって好転するところからとする。

60分足の相対力指数は三角持ち合いのために50ポイントを挟んでの小動きだったが、18日早朝への下落で30ポイントまで低下した。50ポイント以上へ回復できないうちは一段安警戒とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月12日午前安値106.55円を下値支持線、6月16日昼高値107.63円を上値抵抗線とする。
(2)107円以下での推移中は一段安警戒とし、12日午前安値割れからは105円台後半を目指す下落を想定する。107円以下での推移が続くうちは19日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。また世界連鎖株安等によりリスク回避感が強まる場合は105円前後試しへ向かう流れとなる可能性もあると注意する。
(3)107円台序盤では戻り売りも出やすいとみるが、107.30円超えからは強気転換注意として16日昼高値試しとする。16日昼高値を上抜く場合は12日午前安値とのダブルボトム形成からの反騰入りとして108円台前半を目指す上昇へ進むと考える。

【当面の主な予定】

6/18(木)
EU首脳(テレビ)会議(19日まで、ブリュッセル)
10:30 (豪) 5月 新規雇用者数 (4月 -59.43万人、予想 -12.50万人)
10:30 (豪) 5月 失業率 (4月 6.2%、予想 7.0%)
16:30 (ス) スイス国立銀行 政策金利 (現行 -0.75%、予想 -0.75%)
20:00 (英) イングランド銀行 政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
20:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 6450億ポンド、予想 7450億ポンド)
21:30 (米) 6月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (5月 -43.1、予想 -23.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 154.2万件、予想 130.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 2092.9万人、予想 1980.0万人)
23:00 (米) 5月 景気先行指数 前月比 (4月 -4.4%、予想 2.3%)
25:15 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、オンライン講演

6/19(金)
08:30 (日) 5月 全国消費者物価指数 前年同月比 (4月 0.1%、予想 0.2%)
08:30 (日) 5月 全国消費者物価指数 生鮮食料品除く 前年同月比 (4月 -0.2%、予想 -0.1%)
08:30 (日) 5月 全国消費者物価指数 生鮮食料品・エネルギー除く 前年同月比 (4月 0.2%、予想 0.5%)
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨
15:00 (英) 5月 小売売上高 前月比 (4月 -18.1%、予想 6.4%)
15:00 (英) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 -22.6%、予想 -16.4%)

15:00 (英) 5月 小売売上高・除自動車 前月比 (4月 -15.2%、予想 4.1%)
15:00 (英) 5月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (4月 -18.4%、予想 -14.9%)
15:00 (独) 5月 生産者物価指数 前月比 (4月 -0.7%、予想 -0.3%)
17:00 (欧) 4月 経常収支・季調済 (3月 274億ユーロ)
17:00 (欧) 4月 経常収支・季調前 (3月 407億ユーロ)
21:30 (米) 1-3月期 経常収支 (前期 -1098億ドル、予想 -1018億ドル)
23:15 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、オンラインセミナー
26:00 (米) パウエルFRB議長とメスター・クリーブランド連銀総裁、ビデオ会議

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