ユーロ週報「上値は重いものの連休前で動意薄か」(4月第1週)

ユーロの弱さが対ドルでも対円でも目立った週になったと言えます。

ユーロ週報「上値は重いものの連休前で動意薄か」(4月第1週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週初に1.11台半ばだったところから、週末には1.07台後半と370pipsほどの下げとなり、前週の上げに対しての大きな調整が見られた一週間となりました。ドル円でもドルが買われたとはいっても週半ばまではドル売りが先行していましたので、ユーロの弱さが対ドルでも対円でも目立った週になったと言えます。

世界的な感染者拡大が続く中でも欧州ではイタリアに続いてスペインでも10万人を超える感染者となっていて、両国だけで26万人超。フランスとドイツもほぼ10万人水準に近づいていて両国で19万人弱となっています。米国は31万人超となっていますので、圧倒的に多いのですが、人口から考えたら欧州の感染者数はより深刻です。

またコロナウイルス感染者が拡大する以前の経済状況を考えても、明らかに米国は好調だったのに対して欧州は低調でしたから、ファンダメンタル的には欧州は米国よりも弱いという判断は妥当だと思われます。ここにドル円の動きが入ってきますが、ドル円の週報に書いた通り、本来ならば円高に動きそうなのですが動きとしてはドル高となっていて、多分にユーロドルに引っ張られている面もありそうです。ただ、ユーロが対ドル、対円ともに弱い地合いは今週も続きやすいでしょう。

今週は経済指標にはあまり目立ったものがありませんし、今週金曜から来週月曜は欧州がイースター休暇で4連休となります。金融市場的には動きが静かになりやすいのですが、参加者が少ない時期に新たなニュースが出てきたりすると市場の注文が薄い中で振れることもあり得ますので、その点にだけは注意したいところです。

相場観ですからどうしても主観も入ってしまいますが、テクニカルにはどうでしょうか。

今週の週間見通しと予想レンジ

3月安値とその後の戻り高値のフィボナッチ押しを青のターゲットで、また3月高値、3月安値、その後の戻り高値を3点とした逆N波動を想定した場合のフィボナッチ・エクスパンションをピンクのターゲットで示しています。

フィボナッチ押しは78.6%(61.8%の平方根)となる1.0746しか残されていませんので、さすがにここで下げ止まると考えるよりも3月安値の1.0637をサポート兼ターゲットと見ておいた方がよさそうです。また3月安値を抜けた場合には78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションとなる1.0472を視野に入れることとなります。しかし、イースター休暇前には難しいかなと見ています。

上値については1.10の大台が遠のいてきましたので1.09台半ばがせいぜいと考え、今週は1.0650レベルをサポートに1.0950レベルをレジスタンスとするレンジを見ておきます。

今週のコラム

今週は新型コロナウイルス感染者数とドイツ株価指数の日足を見てみます。

必ずしも一致はしないものの感染者数の増加が収まるまでは、簡単には欧州株は回復しないと見ています。以下のチャートは左軸がイタリア、スペイン、フランス、ドイツの4か国の感染者数合計を上下逆軸にして(左軸、下方向が感染者数増加)、ドイツ株価指数DAX(右軸)と重ね合わせたものです。

今週のコラム

直近では株式市場が落ち着きを取り戻していますが、感染者数増加のペースが鈍らないと欧州株式市場も為替市場も懸念が拭い去れないと見ていますが、どうでしょうか。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

4月6日(月)
15:00 ドイツ2月製造業新規受注
17:30 英国3月建設業PMI


4月7日(火)
15:00 ドイツ2月鉱工業生産
15:45 フランス2月貿易収支
**:** ユーロ圏財務相会合

4月8日(水)
27:00 FOMC議事録公表


4月9日(木)
15:00 ドイツ2月貿易収支
17:30 英国2月貿易収支
**:** OPECプラス


4月10日(金)
**:** グッドフライデー(東京以外の主要市場は全休場)
15:45 フランス2月鉱工業生産

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時からNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

3月30日(月)
ユーロドルは、先週までのユーロ買いに対するポジション調整が目立ち終日じり安の展開となりました。欧州市場に入ってからは月末の実需によるユーロ売りも出ていた様子で、NY市場前場には1.1010レベルの安値をつけ、その後は若干戻しての引けとなりました。


3月31日(火)
ユーロドルは、基本的なドルの動きとしてはドル円と似た動きとなってはいたものの、欧州市場では弱い経済指標をきっかけに1.0927レベルまで水準を下げました。NY市場ではFRBによる流動性供給強化の発言もあり全般的なドル売りの動きの中で1.1037レベルまで水準を回復後に高値圏での引けとなりました。

4月1日(水)
ユーロドルは東京市場では1.10台前半で動かずのままでしたが、欧州市場に入り欧州株安の動きがユーロ売りに繋がり前日安値を下抜ける動きとなりました。その後NY市場前場までは1.09台前半でのもみあいを続け、後場に入って1.0903レベルまで安値を広げましたが、後場には米国内での感染者拡大による株安とドル売りの動きからユーロドルは1.09台半ばへ戻して引けました。

4月2日(木)
ユーロドルは東京市場から値幅は伴わないものの上値が重たい展開が続いていましたが、NY市場に入ってからの株安ではユーロ円に売りが入ったことからユーロドルは一段安となり、更にOPECプラスによる減産協議の話による株高とドル買い戻しの局面では素直にユーロドルの売りとなったことから1.0821レベルの安値をつけ、引けにかけてはやや買い戻される動きとなりました。


4月3日(金)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入ってからは米金利上昇の動きとともにドル買い・ユーロ売りの動きが先行しました。その後もユーロはじり安の展開となり、米国雇用統計にも目立った動きは見られず、NYの昼前に1.0773レベルまで下押し後に、やや戻しての週末大引けとなりました。

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