トルコリラ円見通し ドル高リラ安進行するも急激な円安により反騰(20/2/20)

ドル高円安となったためにトルコリラ円は円安に押し上げられて利下げ決定前水準を超えて上昇し、20日未明には18.32円まで高値を切り上げた。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安進行するも急激な円安により反騰(20/2/20)

【概況】

トルコリラ円は1月17日高値18.82円から2月3日安値18.07円まで下げた後も2月13日夜安値18.06円、2月18日夕安値18.05円と若干ずつ安値を切り下げてきたが、この間はいずれも18.10円割れから買い戻されており、2月18日安値からもやや買い戻されて19日の日中にかけてはジリ高推移となっていた。
2月19日夜にトルコ中銀は6会合連続となる利下げを決定した。この発表直後にドル/トルコリラではドル高反応となり、トルコリラ円は小反落したが、その後にドル円が急騰=ドル高円安となったためにトルコリラ円は円安に押し上げられて利下げ決定前水準を超えて上昇し、20日未明には18.32円まで高値を切り上げた。
2月20日午前は急騰一服でやや下げている。

【トルコ中銀、6回連続の利下げ】

2月19日夜に、トルコ中銀は政策金利である週間レポレートを現行の11.25%から10.75%へ切り下げた。2019年7月にそれまでの24.0%から19.75%へ利下げし、9月13日、10月24日、12月12日、今年1月16日と5会合連続で利下げを実施してきたが、今回も6会合連続での利下げを決定した。エルドアン大統領はインフレ率と政策金利を一桁にすると宣言し、中銀も政権の意向をくんで実行してきた。1月時点の消費者物価が前年比12.15%という状況を踏まえれば、既に1月の利下げ時点からは実質的なゼロ金利ないしはマイナス金利状態に入っている。
ドル/トルコリラは2月12日深夜に2019年8月以降の高値を更新し、2月13日高値で6.0686リラへ高値を切り上げた後は新たな高値更新へ進めずにいたが、2月14日は終値ベースでこの間の高値を更新し、2月18日には6.0726リラまで高値を更新してきた。2月19日はトルコ中銀利下げの後に6.0858リラまで一段高となっている。
シリア情勢の緊張か続いていること、トルコ中銀による利下げ継続、新型コロナウイルス感染拡大によるリスク回避感の強まりでドル全面高の様相であることがドル高リラ安を助長している。

【概況】

トルコ中銀週間レポレート(政策金利)

イスタンブール100株価指数は2月13日に前日比0.41%高と上昇して11日から3連騰していたが、2月14日は0.32%安と反落、週明けの17日は0.53%高とやや戻したが、18日は1.01%安、19日も0.32%安と続落している。利下げによる株高期待よりもシリア情勢への懸念で上値が重くなっている印象だ。

シリア情勢では2月19日には新たな動きは見られない。2月3日にシリアのアサド政権軍がトルコ軍を砲撃、トルコ軍が報復の空爆を行い、2011年からのシリア内戦開始以降で初めての両正規軍同士の大規模軍事衝突となり、その後もシリア・アサド政権軍の攻勢とトルコ軍の反撃が続いてきた。またアサド政権を支援するロシア軍もアサド政権軍とともに空爆等に参加している。
トルコはロシアと2月17日に協議したものの交渉は決裂し、エルドアン大統領は新たな犠牲者が発生する場合は軍事行動に出ると警告している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月18日夕に2月13日夜安値を割り込んだため、2月13日深夜の戻り高値をサイクルトップとした弱気サイクルによる下落が継続していたが、2月18日夕安値から下げ渋り、19日夜に急伸したために2月18日夕安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りとなった。2月13日深夜高値を基準としてトップ形成期は18日夜から20日にかけての感と想定されるので、既に反落注意期にあるが、円安状況次第ではトップ形成期がさらに延びる可能性があると思われる。このため18.20円以上での推移か一時的に割り込んでも切り返す内は上昇余地ありとするが、18.17円を割り込む場合は弱気サイクル入りとして21日夕から25日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月19日夜の急騰で遅行スパンが好転、先行スパンも突破した。新たな高値更新へ進めないと20日深夜にかけて遅行スパンは悪化しやすくなる点に注意し、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月19日夜の急騰で70ポイント台後半へ急伸したが、その後は60ポイント割れまで反落している。70ポイント台を回復する場合は上昇再開とみるが、20日未明高値を上抜く場合に指数のピークが切り下がると弱気逆行により戻り一巡からの下げ再開へ進みやすいと注意する。また反騰できずに50ポイント割れへ続落の場合は下げ再開が疑われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、18.20円を下値支持線、2月20日未明高値18.32円を上値抵抗線とする。
(2)18.20円以上での推移か、一時的に割り込んでも切り返す内は上昇余地ありとし、20日未明高値更新からは18.30円台後半(18.35円から18.40円手前)を目指すとみる。また18.20円以上での推移なら21日も高値を試す余地があると考える。
(3)18.20円割れからは弱気転換注意とし、18.17円割れからは弱気サイクル入りと仮定して18.10円前後への下落を想定する。18.10円以下は反発注意だが、18.17円以下での推移が続く場合は21日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

2月20日
 16:00 2月消費者信頼感指数 (1月 58.8)
2月24日
 16:00 2月景況感 (1月 104.1)
 16:00 2月設備稼働率 (1月 75.5%)
2月26日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事録要旨公開
2月27日
 16:00 2月経済信頼感指数 (1月 97.1)
2月28日
 16:00 10-12月期GDP (前期 0.9%)
 16:00 1月貿易収支 (12月 -43.3億ドル)

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