パウエルFRB議長講演 (2019年10月4日ワシントンDCにて)
先週金曜日にFRB議長がワシントンDCで講演しました。以下は講演時の一部抜粋です。
尚、10月8日と9日にも議長の講演が予定されています。
(1)FRB議長講演内容:
我々(FRB)がここに皆様をお招きしているのは、金融政策が、現在皆様の属している生活…各種団体、小企業の経営者、低中所得者の住民、退職された方、あるいはその他の方々等…に如何に影響を与えているのかをより良く理解頂きたいと思っているからです。議会が我々に与えている使命である最大雇用と物価安定に関し、我々は皆様の先行き見通しについて聞きたいと思っています。
今、それを見直しするには良い時期にあると思います。失業率はここ半世紀で最低近くまで下がり、インフレは我々目標の2%に近く、しかも幾分下回っている状況です。誰もが経済機会の恩恵を十分に分かちあっているわけではなく、経済は幾つかのリスクに直面している一方で、全般的には良い位置にいます。我々の使命は可能な限りこれを維持することです。
我々の戦略や手段がこれまで有効であったと信じていますが、他の先進国同様に米国経済も、低成長、低インフレ、低金利に直面しています。緩やかな成長は明らかに良いものではありませんが、「低インフレや低金利の何が悪いのか」と皆様はお聞きになるかもしれません。低いことは良いことですが、インフレ…それによる低金利…が余りに低いと、Fedや他の中銀は経済が下方に向かった時に、それを下支えするための利下げ余地がないことです。
そこで、見直しする場合、我々は2%インフレを持続的に達成するには、我々に許されているより良い戦略の検証を続けています。そうすることが、消費者、企業あるいは投資家の間で、インフレ期待の予防を助けてくれます。
好循環の中で、より確り定着した期待が、我々の目標…すなわち我々の任務に合致する様な適切な金利へ変更できる技量を維持することで…とする水準に実際のインフレ維持を助けてくれます。我々の保有している金融政策手段が、経済の下方圧力が起きた時に適切に対応できるか検証しています。最後に、金融政策をより効果的に支えるために、市場との対話が改善されているのかを常に問うています。
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
(上記出所:FRB HP)
内容は全く新味がないものでしたが、これまでの金融政策は肯定しています。また低金利では利下げ余地がなくなることを指摘しており、必ずしも利下げ一辺倒の考え方ではないと思われます。
講演内容自体は米金利に影響を与えませんでしたが、9月のFOMC前後に10年債金利は終値ベ
ースで1.9%まで上昇していましたが、先週末には1.52%まで軟化しています。これは最近の
不冴えな経済指標を反映したものと言えます。そこで、前回9月18日のFOMC利下げ後に公表
されたFEDwatchと直近の数値を比較してみます。
(2)CMEのFEDwatchの変遷:
CMEのFEDwatchの変遷
9月17日以前は9月を含めて年内3回の利下げを予想していた割合が、9月18日のFOMC後では年内残り1回程度の利下げまで減りましたが、最近は再度2回の利下げを織り込み始めています。残り3週間(10月30日のFOMCまで)にどの様に変遷するのか注目されます。
ドル円相場は2016年末の高値から見ると、104円50銭〜112円のディセンディングトライアングルを形成しています。このレンジ内の110円10銭〜20銭に抵抗線が控えていて、ここを越えない限りは112円までのトライに繋がりません。逆に越えた場合は再度トライングルでの揉み合い期間が長くなると思われます。
短期的には108円40銭〜50銭に強い抵抗線があり、もしここを越えれば109円20銭、110円10銭〜20銭が次のポイントです。下値は106円50銭、106円10銭、105円70銭の順にサポートあります。最後までくれば104円50銭サポートを4回目(8月末のシドニー急落時を除けば3回目)のトライになります。抜けた場合はトライアングル抜けですので、かなり円高リスクが大きくなりそうです。
(2019年10月8日13:00、1ドル=107円38銭、1ユーロ=1.0975ドル)
オーダー/ポジション状況
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