欧州中央銀行(ECB)金融政策議事録(2019年7月24日・25日開催分)
昨日(22日)、ECB金融政策の議事要旨が公表されました。以下は要旨内の最近の経済見通しについて、一部分を訳していますのでご了承ください。
ECBの最近の経済見通し
最近入ってくる情報を見ると、概ね6月にスタッフが作成した見通しに沿ったものである。それでも最近のデータは弱いものが多く、2019年の第2・第3四半期の実質GDPは第1四半期の前期比0.4%の伸びよりも弱くなる見通しを委員達は確認した。
期待外れだったニュースとして、直近のPMIデータが挙げられた。昨年起きた経済の鈍化や足踏みは、以前予想したよりも一段と長引くという懸念が増大した。6月のスタッフが見通したレポートのパターンとは対照的に、現在の「Soft(弱い)」指数を見ると、2019年の第3四半期は減速すると指摘している。
経済の現状や見通しを議論する中で、委員達は経済が製造業の弱い活動と回復したサービス業や建設業の間で2分されていることを強調した。これは弱い輸出と回復した消費や居住用住宅投資との間でも2分されている。これらの2分は永遠には続かず、遅かれ早かれ、弱い製造業から悪影響を受けるかもしれない。通常、製造業はサービス業の先行指標であるといわれている。労働市場の改善傾向が続き、これは幅広く認識されているが、最近悪化傾向のPMI調査データにより、雇用市場がどの位長期にポジティブサプライズを続けてくれるか疑問が上がっている。
委員達はユーロ圏の成長を取り巻くリスクバランスが下方方向に傾斜していると査定した。これらを勘案すると、下方修正リスクはより広がりをみせ、究極的にはベースラインとなる成長シナリオの改訂が必要になるかもしれない。
物価の伸びについて、ユーロ圏の年率HICPインフレは2019年5月の1.2%から6月には1.3%まで上昇した。(中略)中期的には現下のインフレは、金融政策、継続する経済拡大や賃金上昇に支えられて上昇していく予想である。賃金の伸びが堅調で長期平均よりも越えているにも関わらず、市場調査のインフレ期待値は下がっている。
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
(上記出所:ECB HP)
ECBは景気が一段と悪化したことを記述しています。しかも現在の好調な雇用や賃金上昇が何時までも続くことはないとし、景気の一段悪化方向に目が向いています。
市場は7月のこの議事要旨で追加金融緩和の布石を打ち、次回ECB理事会(9月12日)で利下げや資産購入拡大などの金融政策変更を織り込み始めているようです。
昨日のユーロドル相場はECBの金融政策議事要旨を材料視した大きな売り買いはありませんでした。ユーロドル自体は昨年9月の高値を起点としたユーロ安トレンドは現在1.0850〜1.1330米ドルのレンジになっています。このユーロ安トレンド内で、1.1050と1.1000〜10の2つのサポートがあり、後者を切れて終わるとトレンドライン下限方向の新たなユーロ底値模索になります。上値は1.1160と1.1210米ドルに抵抗線があり、後者をこえると、レンジ上限狙いに入れます。それでもまだユーロ安トレンド内での戻り高調整の域内です。
ここ数日は1.1050〜1.1120の狭いレンジで推移しており、まずこのレンジを抜け出す流れに入れるかがポイントになります。(8月23日15:20、1ユーロ=1.1068ドル)
オーダー/ポジション状況
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