大阪サミットでの米土首脳会談を巡る思惑に振らされる展開か
今週のレビュー(6/17−6/21)
今週のトルコリラ・円相場(TRYJPY)は、@トルコ3月失業率(結果14.1%、予想14.1%)が市場予想の範囲内に留まったことや、A欧米中銀のハト派化を受けて、金利差拡大の観点でトルコリラへの資金流入が促されたこと、Bトルコ6月消費者信頼感指数(結果57.6、前回55.3)が前月と比べて改善したこと等を背景に、一時2週間ぶり高値となる18.833円まで急伸しましたが、同水準で伸び悩むと、C先週末に報じられたムーディーズによる格下げ(Bb3→B1)や、Dトルコ4月鉱工業生産(結果▲1.0%、予想0.1%)の冴えない結果、Eロシア製ミサイルS400の購入を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、Fエルドアン大統領による「高金利政策に反対」との発言、Gユンケル欧州委員長による「(キプロスの排他的水域での採掘作業)に関してトルコに制裁を準備している。制裁は甘くないだろう」との発言が重石となり、結局18.434円まで押し返されての越週となりました。
来週の見通し(6/24−6/28)
トルコリラ・円相場を巡っては、@イスタンブール市長選のやり直しに伴う民主主義への不信感や、Aロシアからの武器購入(S400)を巡る対米及びNATO同盟国との関係悪化懸念、B外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感、Cトルコ経済を巡る先行き不透明感、Dエルドアン大統領の圧力を背景としたトルコ中銀の利下げ観測、Eキプロスを巡るEUとの関係悪化懸念など、潜在的に抱えるトルコリラ売り圧力を、F政府・当局によるリラ買い為替介入、G政府・当局による資本規制(外貨購入税の復活や、外貨購入に係る受渡日を1日遅らせる措置、外貨建て預金準備率の引き上げ等)で下支えする構図が続いております。しかし、こうした政府・当局による一連のリラ安防衛策は短期的な効果はあれど、長期的な抑止力には繋がりづらく、一巡後は却ってリラ売り圧力を高める副作用がある点に留意が必要でしょう。
テクニカル的に見ると、トルコリラ・円相場は、一目均衡表雲下限を上抜けした他、一目均衡表転換線の突破も成功しました。テクニカル的にみて、「下落」から「横ばい」へのトレンド転換が意識されます。しかし、上述の通り、ファンダメンタルズ的な不安材料を考慮すれば、まだまだ油断は出来ません。エルドアン大統領による利下げ圧力は極めて強く、トルコリラの上値は抑制されると考えられます。心理的節目19円の突破は容易では無いでしょう。来週は、6/23に予定されているイスタンブール市長選の結果や、週末の大阪サミットでのトランプ米大統領・エルドアン大統領の首脳会談を控えた思惑などから、神経質な動きが続きそうです。当方では引き続き、「トルコリラ・円相場の下落」をメインシナリオとして予想いたします。(来週の予想レンジ TRYJPY 18.00ー18.80)
トルコ円日足
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