欧州中央銀行(ECB)金融政策議事録(19/2/22)

(2019年1月23日・24日開催分の、ECB金融政策議事録が昨日(21日)公表されました。

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欧州中央銀行(ECB)金融政策議事録(19/2/22)

欧州中央銀行(ECB)金融政策議事録

昨日(21日)、ECB金融政策の議事録(2019年1月23日・24日開催分)が公表されました。
以下は議事録要旨内の経済見通しと金融政策決定に関して、ごく一部分を訳していますのでご了承ください。

ECBの経済見通しと政策金利決定

世界経済の成長と貿易は一段と弱くなった。とりわけ、PMIの製造業は2018年の第4四半期に下がった。一方で、サービスPMIは依然変わらない水準を維持している。貿易関連指標は2018年末に向けて弱くなった。これは米中貿易関係に関連して高まる政策の不確実性を反映するのと同時に、成長に対して向かい風となっているからである。
OECDの年率ベースの消費者物価指数は11月に2.7%に減速した。これはエネルギー価格の下落が主因である。食品やエネルギー除くインフレも大きく下がり2.2%になった。同時に賃金の上昇は安定的になり、ブレント原油価格は12月の会合以降3%も上昇した。同時期に食品価格は4%上昇し、金属価格は2%下落した。ユーロの対ドル為替レートは概ね安定的になっている。

ユーロ圏に目を向ければ、最近入ったデータは下方を示すもので驚いており、直近の成長は前回予想より弱くなった。製造業PMI指数は11月の52.7から12月に51.1まで下がった。直近のPMIは更に下がると見られている。(昨日発表された製造業PMI指数は49.2となり好悪分岐の50を割りました)ただ、内需は好ましい金利情勢や労働市場のダイナミックさ、賃金上昇などで下支えられている。とりわけ個人消費は弾力ある動きを続けている。
ユーロ圏の輸出は外需が弱いために抑制されたままになっている。輸出は第3四半期に前期比ベースで0.4%まで下がった。資本財や自動車輸出の減少が主因である。第4四半期もその傾向が継続しそうだ。

またユーロ圏の年率インフレも11月の1.9%から12月に1.6%まだ下がった。食品とエネルギーを除くインフレは1.0%で変わっていない。概して、12月のデータは予想より弱かった。
ECBの第1四半期時点の調査によれば、2019年のインフレは1.5%、2020年に1.6%、2021年に1.7%と予想している。これは前回の予想で2019年は0.2%、2020年は0.1%下方修正している。ユーロ圏の金融状況は12月会合時点と変わらず、企業収益は下方修正された。ECBの予想している利上げの時期は更に延びた。

ECBの金融政策は金融市場の不確実性を解消するのに貢献している。家計や企業に対する貸出も順調である。最近入ってくるデータをみると、以前の予想よりは弱いものが続いている。ユーロ圏を取り巻くリスクは下方修正側にある。これは地政学リスクに関連した不確実性、保護主義の脅威、新興国市場の不安定さ、金融市場のボラティリティの高さ等による。

委員達はこれらの経済状況を各自シェアし、最近のデータや調査結果では引き続き一層弱くなると見られている。外的環境を勘案すると、委員達は世界経済成長や貿易関係は一層減速することを確認した。また、英国がEUから離脱することから取り巻くリスクも変わらない。これらを背景として、世界経済活動や貿易に対する下方修正リスクは増加している。

ユーロ圏に目を向けても、実質GDPは四半期比較で0.4%から0.2%に下がった。2018年後半の成長も下がり、これが2019年にも影響を与えると予想している。しかしながら、成長は依然ポジティブであることを強調したい。リセッションへの可能性は低い。

以上により委員達は主要な金利政策の据え置きを決めた。
主要金利は0.0%、限界貸付金利は0.25%、中銀への預金金利を▼0.4%とした。
これらの金利を少なくとも2019年夏までは据え置くことを決めた。

非標準型金融政策の手段に関して、委員達は満期到来した国債の満額再投資継続を決めた。好ましい流動性を維持し金融緩和を必要とする限りにおいて、ECBは主要金利の利上げを開始するときまで、この資産購入プログラムの再投資期間を延長する。
(以上)

(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。

ECBは非常に経済悪化を想定しており、流動性供給に対しては色々な手段を採ることを示唆しています。一部エコノミストはこの議事録から、域内の銀行に対する流動性供給を含めて、3月(6日・7日会合)に新たな緩和策を出すのではないかと分析しています。

また議事録公表前に、ユーロ圏製造業PMI指数が発表されましたが、予想50.3に対して結果は49.2になり、先行き経済の好悪判断基準である50を割りました。昨日の相場にはあまり影響でませんでしたが、議事録内でもPMI指数に関してはかなり言及しているので、次回ECB会合ではこの数値に関して議論されると思います。

ユーロドル相場はユーロが弱い中で、現在は1.1210と1.1234のダブルボトムで底値割れを阻止しています。しかし上値も1.1450〜60にある強い抵抗線を越えない限り、ユーロが弱い状態は変りません。その抵抗線までには1.1380〜90、1.1410〜20に抵抗線あります。下値は1.1260〜70を切れると、再度底値付近を3回目のトライになります。
(2月22日13:20、1ユーロ=1.1335ドル)

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