ドル円76pの陽線引けで26日線を上抜き返す(10/31)

米中貿易戦争問題ではブルームバーグ通信社がトランプ政権が12月にも中国への制裁関税拡大を発動する見込みと報じたが、

ドル円76pの陽線引けで26日線を上抜き返す(10/31)

ドル円76pの陽線引けで26日線を上抜き返す

【概況】

先週末の10月26日にNYダウが10月3日以降の安値を更新し、前日比では一時500ドルを超える下落となったところでドル円も株安継続不安で売られて111.37円の安値を付けて10月4日以降の安値更新となった。しかし26日深夜からダウが反騰入りして下げ幅を245ドル安まで縮小、ドル円もそれに合わせて反発して先週を終えた。
週明けも日経平均、上海株が上昇、CMEダウ先物も上昇したために株安不安が後退。またドイツ地方選でメルケル首相の与党が惨敗してメルケル氏が党首辞任の意向と伝えられ、7−9月期のユーロ圏GDPも予想より悪かったこと等でドル高感が強まりドル円は26日深夜反発時の高値を更新。さらにNYダウが431.73ドル高の大幅上昇で終了したためにドル円も113円へ迫った。

【ドル指数が8月高値を突破、対人民元では10年ぶり高値】

米中貿易戦争問題ではブルームバーグ通信社がトランプ政権が12月にも中国への制裁関税拡大を発動する見込みと報じたが、一方ではFOXニュースとのインタビューでトランプ大統領が「中国と素晴らしい合意に至ると思う」と述べたことが30日午前に報じられたためにこの問題への過度の悲観は後退している。
30日夜に発表されたユーロ圏の7−9月期GDPは前期比0.2%増で予想の0.4%、前期の0.4%を下回った。前年同期比も1.7%で市場予想の1.8%及び前期の2.2%を下回った。ユーロは10月26日安値割れには至っていないものの10月16日高値以降の下落基調が続いており、GDP発表からの下落で26日安値に迫っている。

英ポンドも1.270ドルを割り込むところまで下落しており8月15日安値に迫り、今年4月天井からの下落が底割れから二段下げへと進みつつある状況となっている。
ユーロの下落、ポンド安にドル円での円安も加わってメジャー通貨の加重平均であるドル指数は30日に97.03ポイントへ上昇して8月15日高値96.99ポイントを上抜いて一段高に入った。
ドル人民元も30日には6.9711元まで上昇(ドル高元安)となり2017年1月高値を突破して2008年以来10年ぶりのドル高元安水準となっている。
このように総じてドル高感が強まっていることが26日夜からのドル円の反騰を支えている。

【104日移動平均到達からの26日移動平均超え】

10月4日からのドル円下落については5月高値及び7月高値からの下落を支えて切り返しのポイントとなった104日移動平均前後で下げ止まれるかどうかがテクニカル的には重要なポイントだった。
10月26日安値111.37円で当日の104日移動平均111.48円を若干割り込むところに到達、当日の日足を下ヒゲとして反発した。週明け29日は前日比0.51円の陽線、さらに30日は前日比0.76円の連続陽線となった。また26日移動平均を上抜き返してきた。

10月4日から10月26日までの下落幅は3.17円であり、5月29日への下落時の3.27円、8月21日への下落時の3.38円等に近いが、いずれも104日移動平均到達から切り返した。その切り返しの端緒では6月1日に前日比0.72円の陽線、8月23日に前日比0.71円の陽線を付けて上昇再開へ進んだ。このため今回もそれらと同様に下げ、同様の切り返しに入ってきた可能性が出てきたと思われる。
10月30日のローソク足の中心値は112.73円にあり、10月26日安値からの反発幅の半値が概ね112.26円あたりにある。このため112.50円を支持線とし、一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇継続性ありと考えられ、112.50円、112.25円割れと続落の場合は戻りを短命にして10月26日安値試し、さらに底割れへ進む可能性も出てくると思われる。

31日の日足も3本連続陽線なら赤三兵(三兵行進)となって上昇に勢いがつくために10月4日高値とのダブルトップ形成へ向かう可能性も出てくるかもしれない。ただし、あくまでも株安一服ないしは株高への期待回復が条件であり、株安不安再燃の場合や日銀金融政策で出口論が意識される場合、日米通商協議に絡んでの円安けん制問題が浮上する場合、週末の米雇用統計等が弱くドル高感が後退する場合は10月26日安値割れからの下落継続へと流れも後戻りすると注意する。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月26日深夜安値からの反発度合いが25日午前からの反発レベルを超えたために30日朝時点では10月23日深夜安値から3日目となる26日深夜安値で直近のサイクルボトムを付けての反騰入りとした。また今回の高値形成期は24日夜高値を基準として29日夜から31日夜にかけての間と想定した。30日の上昇で22日からの高値切り下がりを突破し、さらに22日高値も超えているため引き続きトップ形成中とみる。弱気転換は30日深夜の小反落でつけた112.68円割れから続落し始めるところからとする。

60分足の一目均衡表では29日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたが、その後も両スパン好転が続いているので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは弱気サイクル入りの可能性を踏まえて安値試し優先とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、112.68円を支持線、113.25円から113.50円を抵抗線とみておく。
(2)112.68円を上回るうちは113.50円試しを想定するが、すでに上昇も3日目となるので113.50円以上は反落警戒とみる。
(3)113円割れから続落の場合は112.68円試しとし、さらに割り込む場合はいったん弱気サイクル入りとして112.50円から112.25円にかけてのゾーンを試しにかかるとみる。112.25円以下は反発注意だが、112.75円以下で終了の場合は11月1日へ下げやすく、113円台を維持するうちは1日も高値を試し、114円に迫る可能性りとみる。(了)<10:00執筆>

【当面の主な予定】

10/31(水)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、2日目 金融政策発表
未 定 (日) 日銀展望レポート
14:00 (日) 9月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (8月 1.6%、予想 -0.6%)
15:00 (独) 9月 小売売上高指数 前月比 (8月 -0.1%、予想 0.5%)
15:00 (独) 9月 小売売上高指数 前年同月比 (8月 1.6%、予想 1.0%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
19:00 (欧) 9月 失業率 (8月 8.1%、予想 8.1%)
19:00 (欧) 10月 消費者物価指数・HICP 前年同月比 (9月 2.1%、予想 2.1%)
21:15 (米) 10月 ADP非農業部門就業者数 前月比 (9月 23.0万人、予想 18.9万人)
21:30 (米) 7-9月期 四半期雇用コスト指数 前期比 (前期 0.6%、予想 0.7%)
22:45 (米) 10月 シカゴ購買部協会景況指数 (9月 60.4、予想 60.3)

11/1(木)
09:30 (豪) 9月 貿易収支 (8月 16.04億豪ドル)
10:45 (中) 10月 財新製造業PMI (9月 50.0)
18:30 (英) 10月 製造業PMI (9月 53.8、予想 53.1)
21:00 (英) イングランド銀行(BOE)金利発表 (現行 0.75%、予想 0.75%)
21:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 4350億ポンド、予想 4350億ポンド)
21:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨、物価報告
21:30 (英) カーニー英中銀(BOE)総裁、発言
21:30 (米) 7-9月期 四半期非農業部門労働生産性 前期比 (前期 2.9%、予想 1.8%)
21:30 (米) 7-9月期 四半期単位労働コスト 前期比年率 (前期 -1.0%、予想 1.4%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.5万件、予想
23:00 (米) 9月 建設支出 前月比 (8月 0.1%、予想 0.0%)
23:00 (米) 10月 ISM製造業景況指数 (9月 59.8、予想 59.5)

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