もみあいも煮詰まり抜けた方向に走りやすい(4月第4週)

先週のユーロドルは、木曜までは目立った材料は無かったものの連日1.24をトライし、安値も1.23台半ばと底堅い動きとなっていました。

もみあいも煮詰まり抜けた方向に走りやすい(4月第4週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、木曜までは目立った材料は無かったものの連日1.24をトライし、安値も1.23台半ばと底堅い動きとなっていました。しかし、ユーロの買いポジションが高水準となっていて、これ以上のユーロ買いに動くには新たな材料が必要と市場参加者が思っていたところに水を差したのがカーニー英中銀総裁の発言です。

英中銀は早ければ5月のMPCで利上げに動くという思惑が高まって、先週は年初来高値を更新する動きとなっていたのですが、カーニー総裁はブレグジットが利上げを遅らせる可能性について言及しました。ブレグジットの期限が来年3月ですから、捉え方によってはそれまでもそれ以降も利上げが無い可能性を勘繰ったというところでしょうか。ポンドは年初来高値を更新し達成感も出ていたために急反落し、ユーロドルも1.22台半ばまで大きく下げる展開となりました。

ただ、英国の利上げ環境は通常の材料を判断する限りかなり整っているため、現状でも5月MPCで利上げが行われる可能性はゼロではありませんし、それまで期待が上がりすぎていた(織り込み度は一時80%を超えていた日も)という期待が先行し過ぎたことに対する調整です。タカ派委員とハト派委員とのバランスを見た上で、改めてその後の利上げ思惑が出てくればポンドは下げ止まるでしょうし、そもそも5月MPCまでは時間がありますので、他国の金融政策と同じですが、今回もブレていたのはエコノミストとストラテジストということになるでしょう。

話を戻してユーロのポジションですが、先週17日の段階で151,476枚と史上最高のユーロ買いに膨らんでいました。1.24を何度も繰り返して抜けられなかったのは上昇余地があまり無いほど買いが膨らんでいた故と考えられそうですし、英中銀の利上げ思惑後退がきっかけではありましたが、週末前のポジション調整が思いのほか効いたと考えられます。

今週のユーロを取り囲む材料では、注目度の高いものはECB理事会とドラギ総裁会見です。金融政策自体の変更はありませんが、会見でドラギ総裁がもっともハト派の立場であることを考えた上で、どのような表現を使ってくるのかが気になります。また経済指標でも比較的重要度の高いものが多いため、連日内容次第で細かな上下は欧州市場の時間帯で起こりやすいと言えます。

チャートも見てみましょう。

今週の週間見通しと予想レンジ

*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

かなり煮詰まってきましたが、2月の年初来高値からのレジスタンスラインと、3月安値からのサポートラインによるトライアングル(三角もちあい)は抜けていません。先週は上限を、今週は下限をトライしたものの止められているため、どちらかに抜けるまでは方向感が出にくいチャートパターンであることには変化がありません。テクニカルには今回の下げは想定範囲内であり、明確に下抜けしない限りはコンティニュエイション(継続)パターン=ユーロ高の可能性の方が高いと考える参加者が多い故のユーロの史上最高の買い持ち高と見ることも出来るでしょう。

こうしたコンティニュエイションパターンでは、エイペックス(頂点)=今回は右側でレジスタンスとサポートが交わる点の8合目あたりで抜けるのが美しく、逆にエイペックスまで行ってしまうともはやパターンとしては時期を逸したと考えることとなります。引き続きどちらに抜けるか、そろそろ煮詰まってきたというスタンスで見ているとよいです。

今週ももみあい継続とするならば1.2250レベルをサポートに、1.2400レベルをレジスタンスとなりますが、仮にどちらかに抜けてきた場合(NY終値で数十〜50pips程度を想定)には、そちらにもう100pips程度動く可能性があると考えておきます。

今週のコラム

ポンドが年初来高値を更新しいったん達成感が出たにしてもその後の反落も厳しいものとなっています。今週はポンドのチャートを見てみましょう。

              ポンドドル日足

              ポンドドル日足

高値1.4377をつけ、この水準はブレグジットの国民投票前の水準であることを先週19日のコラムに書き、展開として「上昇トレンドが継続しそうですが、達成感もまた出て来る水準と言えます。短期的にいったん押しが入り、それから再びトレンドに戻る可能性が高い」と書きました。

短期的な押しというには、正直なところやや値幅が大きいのですが、最大の押しとして2月安値と4月高値の61.8%押しとなる1.3966から78.6%(61.8%の平方根)押しとなる1.3854という水準(赤のターゲット)が考えられます。だいたい1.39前後という水準です。今後この水準に押してきた後は、再び長期上昇トレンドへと回帰しやすいと言えるでしょう。

状況によっては長期サポートライン(ピンクのライン)に既に到達していることから1.40の大台を維持したままで上昇する可能性もあります。いずれにしても、年初来高値からの調整反落相場はそろそろ終わりに近いと見ています。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

4月23日(月)
16:00 フランス4月サービス業・製造業PMI速報値
16:30 ドイツ4月サービス業・製造業PMI速報値
17:00 ユーロ圏4月サービス業・製造業PMI速報値
23:00 クーレECB理事講演

4月24日(火)
15:45 フランス4月業況感指数
17:00 ドイツ4月ifo景況感指数
18:30 フランス中銀総裁講演
19:00 英国4月CBI製造業受注指数

4月25日(水)
15:45 フランス4月消費者信頼感指数
16:00 フランス中銀総裁講演
16:00 オランダ中銀総裁講演

4月26日(木)
15:00 ドイツ5月GFK消費者信頼感
20:45 ECB理事会
21:30 ドラギECB総裁会見

4月27日(金)
14:30 フランス1〜3月期GDP速報値
16:00 スペイン1〜3月期GDP速報値
16:55 ドイツ4月失業者数
17:00 スイス中銀総裁講演
17:30 英国1〜3月期GDP速報値
18:00 ユーロ圏4月消費者信頼感確報値
**:** 米独首脳会談

前週のユーロレンジ

       始値  高値 安値  終値

ユーロドル 1.2332 1.2414 1.2250 1.2290
ユーロ円  132.59 133.09 132.05 132.28

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週のユーロ

4月16日(月)
 東京市場では小動きとなっていましたが、欧州市場に入りドイツ国債の利回り上昇をきっかけにユーロ買い、その後は対ドル、対円ともに買いが強まりストップも巻き込みながらユーロドルは1.2395レベルまで上伸後にやや押してのクローズ、ユーロ円は133円目前まで水準を切り上げましたが、引けにかけてはドル円の下げもあって132円台半ばで引けました。

4月17日(火)
 東京市場では連日の小動きだったものの欧州市場に入りポンドが上昇、年初来高値を更新する動きとともに一時1.2414レベルの高値をつけました。しかし、その後はポンドが下げに転じる動きとともにユーロドルも下落、実需売りも重なって1.2336レベルまで反落後にやや戻して引けました。

4月18日(水)
東京市場でのユーロドル冴えないままでしたが欧州市場に入りポンドが上昇、年初来高値を更新する動きとともに一時1.2414レベルの高値をつけました。しかし、その後はポンドが下げに転じる動きとともにユーロドルも下落、実需売りも重なって1.2336レベルまで反落後にやや戻して引けました。

4月19日(木)
 東京市場では相変わらずの小動き、欧州市場に入りポンドが大幅安となる動きに引っ張られてユーロも水準を下げました。これはカーニー英中銀総裁がブレグジットは利上げを遅らせる可能性と発言し、急速に高まっていた英国の利上げ思惑を一気に後退させたことによるものでした。ユーロドルも高値1.2400レベルから反落したことで上値の重たさを感じさせる一日となりました。

4月20日(金)
 東京市場では動きが無かったものの、欧州市場では英国の利上げ思惑後退が響いて連日のポンドの下げとともにユーロも売り。ここ1週間ほどの安値を割り込むとストップオーダーも巻き込みながらNY市場前場には1.2250レベルの安値を示現。引けにかけては1.22台後半へと戻して引けました。

ディスクレーマー

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