約3週間ぶり高値更新後に急反落。石破ショックがリラの重石に
〇今週のトルコ円、週末にかけて、週間高値4.28まで上昇
〇FRBのハト派化、中国の大規模緩和からのリスクオン再開、ドル円急進等が背景
〇買い一巡後は、石破元幹事長の新総裁選出によるドル円急落で4.15まで急落
〇テクニカルには主要テクニカルポイントを下抜け、売りシグナルも継続点灯、地合い弱い
〇ファンダメンタルズはトルコ経済復調期待、トルコへの海外資金流入期待等がトルコ円をサポート
〇引き続き、トルコリラ円相場の一巡後の反発をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.05ー4.35
今週のレビュー(9/23−9/27)
今週のトルコリラ円相場は、週初4.22円で寄り付いた後、(1)米FRBによるハト派化を好感した世界的なリスクオン再開(米FOMCは先週の会合で50bpの利下げを実施)や、(2)中国の大規模金融緩和を好感した世界的なリスクオン再開(中国人民銀行は今週、預金準備率や政策金利の引き下げを実施)、(3)トルコ9月景気動向指数(結果99.2、前回98.0)の良好な結果、(4)自民党総裁選・第1回投票でアベノミクス継承を掲げる高市早苗経済安全保障相が首位となったことに伴う株買い・円売り(ドル円急伸→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値4.28円(9/4以来の高値圏)まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)自民党総裁選・決選投票で緊縮財政+金融政策正常化を掲げる石破茂元幹事長が高市氏を破り新総裁に選出されたことや、(6)上記5を背景とした失望の株売り・円買い(アベノミクス継承に対する期待感が剥落→石破ショック発生→ドル円大暴落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、一転して週間安値4.15円まで急落しました。本稿執筆時点(日本時間9/28午前3時30分現在)においても、安値圏(4.15円近辺)での上値の重い展開が続いております。
来週の見通し(9/30−10/4)
トルコリラの対円相場は9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、今週末にかけて一時4.28円まで急伸しましたが、石破ショックの影響を受けて、結果として4.15円まで反落する動きとなりました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、一目均衡表基準線、転換線、ボリンジャーミッドバンド)を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役逆転」も継続点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)トルコ経済の復調期待が高まっていること(トルコ国内のインフレ指標が鈍化→トルコ中銀は先週の会合で声明文の中から「tightened」の用語を削除→トルコ中銀による早期利下げ観測浮上→トルコ中銀による金融緩和転換がトルコ経済を下支えするとの期待感台頭)や、(2)トルコ政府・トルコ中銀による政策正常化を好感した外国人投資家による資金流入期待(格付け大手による相次ぐ格上げや、運用会社によるトルコアセットの組み入れ再開もトルコリラを下支え)、(3)米中同時金融緩和を好感した世界的なリスクオン再開期待(リスク選好の新興国通貨買い)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。
イスラエル首相府が9/27の声明で「レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラとの交戦停止案を巡り協議を続ける」と発表したこと等もトルコリラの下支えに寄与すると見られることから、当方では引き続き、トルコリラ円相場の一巡後の反発をメインシナリオとして予想いたします(石破ショック消化後に持ち直すシナリオを想定)。尚、来週は、トルコ9月製造業PMIや、トルコ9月消費者物価指数、トルコ9月生産者物価指数などに注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.05ー4.35
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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