強いランド買いの地合い、18年以来の9.0円台は通過点か
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、引き続き4党(アフリカ民族会議(ANC)、民主同盟(DA)、インカタ自由党(IFP)、愛国同盟(PA))連立による国民統一政府の樹立を好感した買い優勢の地合いとなり、2022年6月高値8.8153円を上回った。
市場は、親欧米政党のDAとスムーズに連立政権を組んだことをポジティブ視しており、ランドは6日連続で陽線と強い上昇を見せている。連立政権樹立の可能性があるとニュースが伝わった6月10日からの対円の上昇率は10%ほどで際立っているが、他の主要通貨に対しても総じて強い。
この間、投機筋による円売りポジションの積み上げもあったと推測するが、ランド買いの強い地合いは継続している。
ランド・円(東京時間:6月17日―6月21日)※Investing.comの日足を参照
始値:8.5747円
高値:8.8966円
安値:8.5399円
終値:8.8932円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
6月19日
17時00分、5月消費者物価指数(前月比)、前回:0.3%、市場予想:0.2%、結果:0.2%
17時00分、5月消費者物価指数(前年比)、前回:5.2%、市場予想:5.3%、結果:5.2%
20時00分、4月小売売上高、前回:2.3%、市場予想:1.6%、結果:0.6%
6月27日
17時00分、第2四半期消費者信頼感指数、前回:−15
18時30分、5月生産者物価指数(前月比)、前回:0.5%
18時30分、5月生産者物価指数(前年比)、前回:5.1%
6月28日
15時00分、5月マネーサプライ、前回:5.75%
21時00分、5月貿易収支、前回:105億ランド
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、引き続き新しい連立政権に対する改革期待が先行し、2018年4月以来の9.0円台を意識した地合いとなりそうだ。6月27日、28日に発表される経済指標への関心よりも期待感の方が強い状況と言えよう。
今後、4党連立のため組閣がスムーズに実行できるかがポイントとなる。南アフリカが直面している高い失業率や、経済成長を押し下げている電力公社エスコムによる慢性的な電力問題、政治汚職など様々な問題の対応に動くため、スムーズで適材適所な組閣は非常に重要だ。連立政権内の不協和音が伝わった場合、連立政権への期待感がはく落することでランド売りの材料となる。
テクニカルでは、日足の一目均衡表の雲上限水準を上放れており、22年戻り高値を上回ったことから、自然と目線は節目である9.0円台となろう。南アフリカ株もFTSE/JSE アフリカトップ40が6月10日から6%ほど買われ年初来高値を更新していることで、南アフリカ買いの流れが強まっている。今のランドには、不協和音というノイズが聞かれなければ、9.0円台も通過点になる勢いがある。
南アフリカランド円日足
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