NZ中銀のタカ派姿勢を背景に97円台を意識へ
今週のNZドルは、想定以上のニュージーランド準備銀行(NZ中銀)のタカ派な声明等を受けて、2007年7月以来の96円台まで上昇した。
22日、NZ中銀は、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレート(OCR)を7会合連続で5.5%に据え置くと決定した。強いインフレを抑制するために金融引き締めをより長く続ける必要性も示唆した。NZ中銀の新たな予測では、利下げは2025年4−6月(第2四半期)ではなく、7−9月(第3四半期)に着手する見通しとなった。
NZ中銀は「金融政策委員会(MPC)は今回の会合でOCR引き上げの可能性について議論した」とし、オアNZ中銀総裁は記者団に対して、今回の会合では利上げが「現実的な検討事項」だったと述べ、「MPCがインフレ率の上振れを許容する範囲には限界がある」とも述べた。一方、「MPCはインフレ率が中期的に目標に戻ると確信している」とも発言した。
また、オアNZ中銀総裁は、翌日の23日、一部メディアとのインタビューにおいて「実際のインフレ持続でインフレ期待が上昇し始め、再び手に負えなくなりつつあると考えられる場合にのみ、追加利上げに意義があるだろう」と指摘。「インフレ率を目標の1−3%に押し下げると確信しているが、再び期待外れになるリスクを冒すことなく早期にそこに到達できるようにしたい」と語った。
NZドルは想定以上にタカ派なNZ中銀の方針を受けて、主要通貨に対して買い優勢の展開となり2007年7月以来となる96円台まで買われた。
NZドル・円(東京時間:5月20日―5月24日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値:95円47銭
高値:96円15銭
安値:95円05銭
終値:95円69銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
5月22日
11時00分、NZ中銀政策金利、前回:5.50%、市場予想:5.50%、結果:5.50%
5月23日
7時45分、第1四半期小売売上高、前回:−1.8%、市場予想:−0.4%、結果:0.5%
5月24日
7時45分、4月貿易収支、前回:4.76億NZドル、結果:0.91億NZドル
5月29日
10時00分、5月ANZ企業信頼感、前回:14.9
5月30日
7時45分、4月住宅建設許可、前回:−0.2%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週のNZドルは、NZ中銀やオアNZ中銀総裁のタカ派姿勢が引き続き材料となり、上を意識した地合いとなりそうだ。
年内の利下げを織り込むドルやユーロとは異なり、引き締めをしばらく続けることを表明したことでNZドルは主要通貨に対しても強い動きを示すと考える。さすがに、足元の景気リセッションなどを考慮すると利上げを実施するという選択はないと思うが、根強いインフレを抑制する意識の強さは十分に伝わったことで、NZドルは主要通貨のなかでも売られにくい通貨となったと言えよう。
テクニカル面でも強いトレンドが続いている。日足の一目均衡表では、日本当局と見られる円買いドル売り介入のあおりをうけて、雲下限を下回る場面も見られたが反発。95円台回復は時間がかかると思っていたが、反発の勢いは強く、4月29日の長い上ヒゲ(上影)を吸収し、2007年7月以来となる96円台まで上昇した。
戻り高値更新で中長期的にもトレンドは強いことから、テクニカル面は良好と言えよう。上値を意識した地合いはしばらく続くと想定する。2007年7月以来となる97円台も視野に入ったと考える。
NZドル円日足
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