FOMC(12月12日-13日開催)のポイント: 2024年末の利下げ幅に注目(23/12/12)

今回のFOMCは、市場が相当ネガティブに見ていると考える。

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FOMC(12月12日-13日開催)のポイント: 2024年末の利下げ幅に注目(23/12/12)

FOMC(12月12日-13日開催)のポイント: 2024年末の利下げ幅に注目

【今回のポイント】

〇 政策金利は据え置くが、ドットチャートでは2024年末に向けて4回の利下げを織り込む

〇 利下げ幅が3回程度の見通しであれば、瞬間的には148円台も視野に

〇 利下げ幅が5回程度の見通しであれば、145円割れが視野に入るも日銀会合前で下げ渋る

【市場コンセンサスは何?】

2023年最後となる12月の日米欧中央銀行の政策発表は、12−13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を皮切りに、14日に欧州中央銀行(ECB)理事会、18日−19日に日本銀行の金融政策決定会合が開催される。

東京時間12月11日22時時点のFOMCコンセンサスは下記の通りである。

・政策金利5.25%(下限)−5.50%(上限)据え置き
・ドットチャートでは2024年末に向けて4回程度の利下げを見込む

【何がサプライズになる?】

今回のFOMCは、市場が相当ネガティブに見ていると考える。11月に発表された消費者物価指数など経済指標が軒並み弱かったことや、ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事や、メスター・クリーブランド連銀総裁など「タカ派」の政府要人から「ややハト派」な発言が続いたことなどから、市場は2024年早期の利下げ開始および複数回の利下げ実施を織り込みつつある。

今回のFOMCでは、四半期に一度のドットチャートも発表される。市場では2024年末に向けて大幅な下方修正がなされるとの見込みだ。9月のFOMCでは、ドットチャートの2024年末中央値は、4.625%から5.125%(+0.5%)に引き上げられた。2025年末も同じく0.5%引き上げられて3.875%となった。12月11日時点でのFed Watchでは、2024年には現在の5.25%−5.50%から4回程度の利下げ(4.25%−4.50%)が見込まれている。つまり、今回のFOMCでは、ドットチャートにおいて、0.75%の中央値の下方修正が発表される可能性があるということだ。

今回は、ドットチャートの2024年末の中央値が4.375%(0.75%の下方修正、現在の政策金利の中央値5.375%との比較では1.0%下の水準)よりも大きい(もしくは小さい)場合が、サプライズになると考える。

【では、ドルはどう動く?】

〇コンセンサス通りだった場合
正直、11月中旬以降、市場は米経済を弱気に見すぎている気がする。1週間前のFed Watchでは、2024年末に4.00%−4.25%の政策金利を見込む割合が3割存在し、4.25%−4.50%は22.3%だったが、最新データでは、4.25%−4.50%が28.9%、4.00%−4.25%は27.5%と僅かであるが逆転している。先週末の11月米雇用統計が強かったことも影響しているが、11月中旬から12月初旬の市場はだいぶ弱気のバイアスが強まっていたと考える。となれば、コンセンサス通りの結果となったとしても、過度な警戒感が後退してドルはやや買戻しが入る可能性はあろう。

先週は、植田和男日銀総裁の発言でドルは乱高下したが、乱高下する前のドルは147円水準で推移していた。当然ながら、米10年債利回りの水準にもよるが、コンセンサス通りの内容だったとしても、短期的には「アク抜け」が意識されてドルは147円台のしっかりの展開となろう。

〇サプライズだった場合
コンセンサス通りでも、ドル買戻しが入ると想定するのであれば、仮に2024年末に4.50%−4.75%(中央値:4.625%)となった場合、ドル買い優勢で148円台を瞬間的につける可能性はある。ただ、来週18日−19日に日銀金融政策決定会合を控えている以上、強いドル買いとはならないだろう。植田日銀総裁が市場との対話に悪戦苦闘していることを考慮すると、19日の記者会見を見極めたいとする投資家は多いはずだ。FOMCがポジティブサプライズとなっても、ドル買いは瞬間的に留まると考える。

では、コンセンサスを下回る4.00%−4.25%(中央値:4.125%)となった場合はどうだろうか。さすがに、市場はいったんドル売りで反応するだろう。ただ、7日の141円71銭のような突っ込んだドル売りは想定しにくい。7日は、円キャリートレードの巻き戻し、つまり、ドル売りではなく「円全面高」が背景にあるためだ。仮に市場がドル売りで反応したとしても、結局は18日−19日の日銀金融政策決定会合を前に積極的なドル売りは回避されると考える。突っ込んだとしても今週の安値144円81銭(12月11日)水準で下げ渋るだろう。

【最近のFOMC関係者の発言は?】

ここ最近でFOMC関係者の発言を拾った。もっとも、ブラックアウト期間の関係上、FOMC関係者による最後の発言は12月2日となる。

※ブラックアウト期間とは、主に中央銀行会合の前々週の土曜日から開始される。例えば FOMCが火曜日と水曜日に開催される場合は、会合翌日の木曜日まで計13日間続くこととなる 。



パウエルFRB議長(12月2日)
「金融緩和の時期を推測するのは時期尚早」
「政策金利は景気抑制的な領域に深く入った」
「適切であれば追加引き締めの用意がある」
「インフレ率は依然として目標を大きく上回っているが、正しい方向に進んでいる」

グールズビー・シカゴ連銀総裁(12月2日)
「インフレは我々の望み通りに低下している」

イエレン米財務長官(12月1日)
「ソフトランディング達成への非常に良好な兆候」
「インフレを抑えるために景気後退を引き起こす必要はない」

ウィリアムズ・NY連銀総裁(11月30日)
「インフレ圧力が続けば、再び利上げの可能性もある」

デイリー・サンフランシスコ連銀総裁(11月30日)
「現時点では利下げについて全く考えていない」
「FRBが利上げを完了したかどうかを考えるのは時期尚早」

メスター・クリーブランド連銀総裁(11月30日)
「今後のデータを評価する上では政策はよい位置にある」
「さらなる利上げが必要かどうかは経済状況次第」

バーキン・リッチモンド連銀総裁(11月30日)
「利下げについて議論するのは時期尚早」
「追加利上げの可能性を排除するつもりはない」

ボスティック・アトランタ連銀総裁(11月30日)
「インフレの下降軌道は継続すると予想」
「今後数カ月は経済活動が鈍化すると予想」

グールズビー・シカゴ連銀総裁(11月29日)
「重要な要素は住宅がどうなるかだ」
「住宅インフレはある程度低下しているものの、もっと改善するはずだ」
「長期にわたる高金利は何らかの懸念となる可能性がある」

ウォラー・FRB理事(11月29日)
「インフレ率がさらに数カ月低下し続ければ、政策金利を引き下げる根拠は十分にある」
「インフレ率は依然として高すぎ、減速が持続するかどうかを判断するには時期尚早」

デイリー・サンフランシスコ連銀総裁(11月11日)
「インフレが2%へ向かっているのか、データの確認が必要」
「利上げが終了したかどうかはまだ分からない」

ジェファーソン・FRB副議長(11月9日)
「インフレ期待上昇ならば、FRBは強力に対応する必要がある」

【2023年スケジュール】

※米国は現地時間なので、金利発表及び記者会見は日本時間で翌日未明

日銀金融政策決定会合(日銀会合)
9月21日(木)−22日(金)・・・現状の金融緩和方針を維持したことで、市場はやや円安
10月30日(月)−31日(火)・・・想定通りのYCC再修正に留まったことで、市場は円安の反応
12月18日(月)−19日(火)・・・?

米連邦公開市場委員会(FOMC)
9月19日(火)−20日(水)・・・利上げ見送り、ややタカ派な姿勢が確認できたことで、市場はドル買いで反応
10月31日(火)−11月1日(水)・・・利上げ見送り、パウエル発言をややネガティブ視しドルはやや軟調
☆12月12日(火)−13日(水)・・・利上げ見送り、ドットチャートでは2024年末にかけて4回程度の利下げを織り込む予定

欧州中央銀行理事会(ECB理事会)
9月14日(木)・・・0.25%引き上げで政策金利は4.5%、市場はユーロ売りで反応
10月26日(木)・・・想定通りの現状維持でユーロは凪相場
12月14日(木)・・・?

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