米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利について
NY時間5月3日14時(水曜日)にFOMC会合後の記者発表要旨が公表され、その後パウエルFRB議長の定例記者会見が予定(同14時半)されています。今回の市場予想は以下の通りになっています。
(1)政策金利
(5月2日 8時30分現在の予想)
現在のFFレート「4.75〜5.00%」⇒0.25%利上げし「5.00〜5.25%」
(レンジは下限4.75〜5.25%{上限5.00〜5.50%}で、据え置きから0.5%の利上げ予想になっています。)
エコノミスト予想は中央値で25ベーシス(BP)の利上げ予想になっていますが、今回は0〜50BPまで分かれています。
@ FOMCメンバーの意見(下記4)を見る限り、インフレは依然として高過ぎるとして、今回会合でも利上げに傾いています。目標を示した委員は最大でFFレートが5.50〜5.75%範囲としていますので、今回も25BP中心に、50BPまでの利上げが順当と思われます。
A 経営破綻したファースト・リパブリック銀行問題は最大手JPモルガンの買収により、材料視されませんでした。まだ破綻予備軍が多いとされていますので、前回記者発表要旨内の「…米国の銀行システムは健全で回復力がある。最近の動向は、おそらく家計や企業への信用引き締めの結果であり、経済活動や雇用、あるいはインフレへの重石になるかもしれない。これらの影響程度は不透明である。委員会は引き続き、インフレリスクに対し非常に注意を払っている」との内容に深刻度合いが深まる文言に変わるかを見たいと思います。
B 下記(3)のCME Fedwatchを見ると、今回は据え置きが6.8%、25BP利上げが93.2%となっており、万一50BP上げになるとサプライズになりそうです。また日米金融格差拡大観測が金曜日からのテーマですので、据え置きも相場に影響でそうです。
C 今回も、過去の会合は全員一致の利上げでしたが、欧米金融機関の信用不安が完全に払拭されていない現状、投票で意見が分かれるケースにも注意します。
以上が予想される項目と思われます。
(2) 前回3月22日FOMC会合での議事要旨の一部(4月12日公表分)です。
議事要旨では3月時点でも50BPの利上げが適切であったとの意見があり、金融機関破綻の影響で25BPに留めたことになります。そして今後も利上げ継続を確認し、かつインフレ低下が明確になるまで利下げはしない旨の内容です。
FOMC議事要旨(一部抜粋)
(一部略)
(一部略)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
(3)CME Fedwatch
CME Fedwatchは今回の利上げ予想を見ると、前回3月時に比べて青字の緩和が少なくなり、赤字の利上げまたは金利高止まり予想が増えています。これはFRB委員の年内は少なくとも現状維持発言を反映しているものと思われます。但し、利上げは最大でも5.25%〜5.50%までになっています。
(3月22日10:30時点:前回)
青色は5月予想から無くなった利下げ部分
(5月2日9:00時点:今回)
赤色は3月に無かった利上げ部分
(4)最近のFRB関係者の主な発言(最近1・2週間分程度)
4月22日 クックFRB理事 「インフレは広範囲に及んでいる」
4月21日 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「多少の追加引き締めが必要となる可能性」「十分に景気抑制的な水準となれば金利の維持を望む」
4月21日 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「インフレは高すぎる」
4月21日 メスター・クリーブランド連銀総裁 「政策金利を5%以上の引き上げ、暫く維持する必要がある」
4月20日 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「インフレはなお高過ぎる」「インフレ率を目標の2%に戻すには2年かかる見通し」
4月18日 ブラード・セントルイス連銀総裁 「制限的な政策金利は5.5%から5.75%の範囲」
4月18日 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレが目標に向かって低下しているとの更なる証拠が必要」
4月14日 ウォラーFRB理事 「インフレは高過ぎる。金利を更に引き上げ津必要」「コアインフレはあまり改善されていない」
4月14日 グールビー・シカゴ連銀総裁 「インフレ率は下がってきていると思う」
4月13日 デイリー・SF連銀総裁 「FRBは利上げに関して更にやるべきことがある」
4月12日 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「インフレ見通しについては債券市場ほど楽観的ではない」
このFOMCに先立ち、東京時間の5月3日21時半に4月ADP社民間雇用者数が発表されます。予想は以下です。
(今回予想2023年5月2日8時30分現在)
下記はドル円月足チャートです。先週末で月足ができ、下ヒゲを作る陽線となり、下図では丁度Cのサポートで反発しています。
その月足ですが、2021年1月を底値にしたサポートA(=125円70銭)でドル高トレンドを形成しています。昨年3月底値にしたサポートB(=159円00銭)の開始からドルは急騰しましたが、昨年11月にBを切り、その後ドル高調整になりました。直近では1月底値にしたサポートC(=132円00銭)で毎月底値になり、4月も130円60銭が底値でしたので、1ヶ月で約1円40銭上昇しています。上値は昨年12月と今年3月高値を結んだ抵抗線D(=137円91銭〜138円17銭)で止められ、ここ半年ではCとDのアセンディングトライアングルを形成しています。このパターンは上抜きが多くなっていますが、一方で、5月もまだ収斂する可能性もあります。
もしDを抜いた場合は昨年9月・10月の実体部分の交差E(=144円70銭〜80銭)、実体部分で昨年10月終値と11月の寄値であるF(=148円70銭)が目途になり、越えれば2回目トライとなる昨年10月高値のG(=151円95銭)になります。もし収斂の場合にはCとDのレンジ132円00銭〜138円20銭程度を見ておく必要があります。
(2023年5月2日10:10、1ドル=137円45銭)
オーダー/ポジション状況
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