米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利について
NY時間3月22日14時(水曜日)にFOMC会合の記者発表要旨が公表され、その後パウエルFRB議長の定例記者会見が予定(同14時半)されています。今回の市場予想は以下の通りになっています。
(1)政策金利(3月22日 9時00分現在の予想)
現在のFFレート「4.50%〜4.75」⇒0.25%利上げし「4.75〜5.00%」
(レンジは下限4.25〜5.00%{上限4.50〜5.25%}で、0.25%利下げから0.50%利上げまでに分かれています。)
エコノミスト予想は中央値で25ベーシス(BP)の利上げ予想になっていますが、今回は分かれています。
@ FOMCメンバーの意見(下記4)を見る限り、0.25〜0.50%の利上げが順当と思われます。しかしながら、シリコンバレー銀行破綻のニュースが3月10日、その後クレディ・スイスの信用不安が15日、下記(4)内で最後のパウエル議長発言が9日ですので、金融市場の環境が大きく変わっています。
A 下記(3)のCME Fedwatchを見ても、今回は据え置きが13.6%、25BP利上げが86.4%となっており、利下げと50BP利上げはありません。従い、現状では利下げと50BP利上げはサプライズになります。
B 特に、利下げした場合はこれまでのタカ派的発言から180度回転しますので、米国内の金融システム不安が予想以上に厳しい状況にあるとの市場思惑が出る可能性があります。
C また、今回はドットプロットがでます。ターミナルレートが前回12月時と比べてどの位上がるかを注目します。下記(5)のドットプロットを見ると、5.50〜5.75%が最大ですが、この高い水準を2025年まで続くと見ている委員がいます。
D これまで全員一致の利上げでしたが、欧米金融機関の信用不安が増してきた現在、今回の投票で意見が分かれる可能性がありそうです。
以上が予想される項目と思われます。
(2) 前回2月FOMC会合での議事要旨の一部(2月1日公表)
前回も利上げ継続を確認した内容で、FFレートの目標レンジを引き下げると見ている委員は皆無でしたので、今回の要旨は注目されます。
FOMC議事要旨(一部抜粋)
・
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
(3)CME Fedwatch
CME Fedwatchは今回の利上げ予想を見ると、前回2月時に比べて赤字の部分の予想が無く逆に今回は青の利下げ予想が多くなっています。市場はかなりFFレート上げも最終段階に近づいてきているとの見方になっています。
(1月31日時点:前回)
・
(3月22日10:30時点:今回)
・
(4)最近のFRB関係者の主な発言(最近1・2週間分程度)
3月9日 パウエルFRB議長
「ターミナルレートは予想以上に高くなる可能性」
「インフレ率は低下しているが、非常に高い水準」
3月8日 パウエルFRB議長
「次回ドットプロットはピーク金利が大幅に上昇する可能性」
「正当化されれば利上げを加速させる用意がある」
3月4日 パーキン・リッチモンド連銀総裁
「インフレが続く場合、想定以上の利上げが必要」
3月3日 ボスティック・アトランタ連銀総裁
「高インフレを考慮すると、FRBは多くのことをする必要がある」
3月3日 コリンズ・ボストン連銀総裁
「追加利上げの回数は今後のデータ次第」
「インフレ抑制が最重要課題」
3月1日 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁
「次回FOMCで0.25%か0.50%の利上げ」
2月28日 ジェファーソンFRB理事
「現在のインフレは高すぎる」
2月25日 ブラード・セントルイス連銀総裁
「米国は軟着陸が可能」
2月25日 メスター・クリーブランド連銀総裁
「インフレリスクは依然として上向き」
2月22日 ブラード・セントルイス連銀総裁
「政策金利を5%以上に引き上げる必要がある」
2月18日 ボウマンFRB理事
「金利はまだ十分に高くない」
「更なる進展が見られるまで利上げを続ける必要がある」
(5)ドットプロット
(前回12月)
(予想委員19名)
今日のFOMCは結果次第で、新たなトレンドが出る可能性ありますので、今日はどの位の値幅を見ておいた方が良いのかをみます。
下記はドル円週足チャートです。2021年1月4日週底値からのサポートA(=124円10銭)があります。次いで、2021年9月20日週底値からのサポートB(=126円70銭)にあります。これでドル高を支えています。昨年5月23日週底値からのサポートC(=127円60銭)でヘッド&ショルダーを形成しており、今回の3月8日高値137円91銭が右肩になるか否かを確認する状況にいます。Cを切れば完成します。
直近では、今年1月16日週底値からのサポートD(=130円60銭)があり、今週月曜日の底値130円54銭がサポートされています。今週足は132円09銭が寄り値になっているので、約1円50銭が長い下ヒゲとなっていますので、もし週末に132円台で終わると、目先はドルが底固くなりそうです。一方、昨年11月21日週高値からの抵抗線E(=137円80銭)が現状戻りあった場合の上値目途になります。このDとEが今日のFOMCでのレンジになる可能性が高いとみています。このDとE間には134円90銭〜135円に強い抵抗線が控えています。
今回のFOMCは利上げから利下げまで予想がありますので、結果次第で大荒れになる可能性を秘めています。
(2023年3月22日11:00、1ドル=132円61銭)
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2023.03.22
米FOMCに注目、利上げ実施か、見送りもあるか(3/22夕)
22日の東京市場は一進一退。NY時間に予定されている米FOMC終了後の政策金利発表をにらみ、売買は全体的に手控えムードだった。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2023.03.22
ドル円、金融機関の信用不安やや後退し132円台でFOMC待ち (3/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は132円台で底堅い動き。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。