トルコリラ円見通し 先週末からの上昇一服、方向感探る展開
〇トルコリラ円、12/8早朝以降7.30を下値支持線として下げ渋るも、12/8高値は7.36にとどまる
〇12/7夕高値7.40から戻り高値切り下がり型の三角持ち合い、方向感探る展開
〇ドル/トルコリラ、12/8は18.66から18.62の取引レンジ、18.63中心で小動き
〇トルコの週次外貨準備高は増加、貿易でのリラ決算の拡大が外貨準備高の増加に寄与か
〇7.36を下回るうちは一段安警戒とし、7.30割れからは7.25前後への下落を想定する
〇7.35までは戻り売りにつかまりやすいとみるが、7.36超えからは7.40試しへ向かうとみる
【概況】
トルコリラ円の12月8日は7.36円から7.30円の取引レンジ、9日早朝の終値は7.33円で前日終値と変わらずだった。
ドル円と同調した動きが続いているが、ドル円は12月2日安値133.60円からの上昇が12月7日夕高値137.85円で一巡しており、12月7日夜の米四半期労働生産性統計確報値での単位労働コストの下方修正で136円台序盤へ失速し、8日も米新規失業保険申請件数の悪化により137円台に届いたところを売られて上値の重い展開となった。
トルコリラ円は12月2日に7.17円の安値をつけて8月2日安値7.27円を割り込み今年10月21日高値8.17円以降及び昨年12月23日高値11.15円以降の最安値としたが、12月7日にはドル円の上昇により7.40円まで持ち直した。8日早朝以降は7.30円を下値支持線として下げ渋っているが、8日高値は7.36円にとどまって7日夕高値から戻り高値切り下がり型の三角持ち合いとなっている。
今夜の米PPI発表から為替市場が動意付くとすれば、ドル安円高反応なら12月2日安値割れを再び試す下落期入りが警戒されるが、ドル高反応でドル円が上昇なら7.40円を超えて12月2日安値からの反騰継続感が強まりやすくなるのではないかと思われる。
【ドル/トルコリラは18.63リラ中心で小動き】
ドル/トルコリラの12月8日は18.66リラから18.62リラの取引レンジ、9日早朝の終値は18.63リラで前日終値の18.64リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
10月以降は18.50リラ前後(ベンダーによっては18.40リラ台)を売られ、18.60リラ台の安値を繰り返し試しつつ最安値近辺での持ち合いを続けているが、週末値ベースでは11月25日終値の18.59リラから12月2日終値18.63リラへとリラ安が進み始めて持ち合い相場の中心値が切り上がり始めている印象もある。
為替市場全般は12月5日の米ISMサービス業景況指数等が軒並み予想を上回ったことでいったんドル高となったものの、12月7日の米四半期単位労働コストの下方修正と8日夜の週間新規失業保険申請件数の悪化でドル安となっている。ただし、今夜の米PPIや12月13日夜の米CPI、12月15日未明の米FOMC声明発表と議長会見へと続く重要イベント前の段階でやや動きも鈍い。
【トルコの週次外貨準備高はネットで大幅増加】
12月8日夜に発表されたトルコ中銀による週次の外貨準備高は12月2日時点のグロスで813.0億ドルとなり11月25日時点の797.7億ドルから増加、ネットでは231.2億ドルとなり11月25日時点の195.1億ドルから大幅な増加となった。
外貨準備高のネットは2021年11月に326.4億ドルまで拡大したところから大幅減少に転じて今年7月には60.7億ドルまで減ったのだが、その後は徐々に持ち直しており、12月2日時点の急増により2021年12月水準まで回復した。
グロスでは2021年11月の879.2億ドルから今年7月に588.7億ドルまで減少してきたが、その後は持ち直し基調を続けており12月2日時点では昨年12月のピーク直後の水準まで回復した。
トルコの輸出入において、トルコリラによる決済の比率が大幅に拡大してきているとの報道があり、トルコリラを決済通貨とした11月の輸出は前年11月の2倍を超えたという。中国、ロシア、イラン、湾岸諸国などの友好国との貿易において自国通貨での決済を促進してきたとされ、リラ決済での輸出は11月に前年比114%増の156.8億リラ、輸入は10月の356.3億リラから11月には513.1億リラに拡大したという。
貿易でのリラ決算の拡大が外貨需要を減少させて外貨準備高の増加に寄与していると思われる。トルコでは外貨保有の輸出企業に対して規制を超える保有に対して新規のリラ建て融資を制限する政策を導入しており、輸出入関連企業は稼いだ外貨をリラ預金へと転換する外貨売り・リラ買いを余儀なくされていることが生産と輸出の足かせになっているとの輸出業者の声も報じられているが、トルコ中銀による国内銀行とのスワップ取引によるドル売りリラ買いポジションと共にリラ決済の拡大や外貨保有規制がリラ安の暴落を抑止しているといえる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月2日夕刻安値からの反騰が一巡し、12月7日夕高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りした。サイクルボトム形成期は12月2日夕安値を基準として7日夕から9日夕にかけての間と想定されるのですでに反騰注意期にあるが、8日未明からは7.30円を下値支持線とした持ち合いにとどまっているのでまだ一段安余地が残る。
ただし、12月7日夕高値から8日午後高値へと戻り高値が切り下がり三角持ち合いの様相となっているため、8日午後高値7.36円超えからは強気サイクル入りとして12日午後から14日夕にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では7.30円を下値支持線とした持ち合いで横ばい推移のために遅行スパンは実線と交錯しているものの先行スパンからは転落している。このため先行スパンを下回るうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は40ポイント割れを買い戻されつつ戻り高値が切り下がり基調で推移している。50ポイント以下での推移が続くうちは下向きとして20ポイント台への低下懸念が残るが、55ポイント超えからは上昇再開の可能性を優先して70ポイントを目指す上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.30円を下値支持線、7.36円を上値抵抗線とする。
(2)7.36円を下回るうちは一段安警戒とし、7.30円割れからは7.25円前後への下落を想定する。7.25円以下は反騰注意とするが、7.35円を下回っての推移か、直前安値から0.07円を超える反騰へ進めないうちは週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.35円までは戻り売りにつかまりやすいとみるが、7.36円超えからは7.40円試しへ向かうとみる。また7.35円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
12月12日
16:00 10月 失業率 (9月 10.1%)
16:00 10月 経常収支 (9月 -29.7億ドル、予想 -16.16億ドル)
12月13日
16:00 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -1.6%)
16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 0.4%、予想 0.08%)
16:00 10月 小売売上高 前月比 (9月 1.8%)
16:00 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 9.7%)
注:ポイント要約は編集部
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