ドル円、値幅を伴う不安定な値動き。本日はパウエル議長講演がメインイベント(11/30朝)

29日(火)のドル円相場は乱高下しつつも方向感を見出しづらい展開。

ドル円、値幅を伴う不安定な値動き。本日はパウエル議長講演がメインイベント(11/30朝)

ドル円、値幅を伴う不安定な値動き。本日はパウエル議長講演がメインイベント

○ドル円、米要人のタカ派的発言や米金利上昇などを支援材料に11/29アジア時間朝方139.35まで急伸
○その後伸び悩み、リスク回避の円買いなどから米国時間朝方にかけ137.88まで急落
○売り一巡後は下げ渋り138.65前後まで持ち直し東京時間へ、乱高下しつつ方向感を見出しづらい展開
○ユーロドル、リスク選好のドル売りなど背景に1.0394まで上昇後に反落、米金利上昇などが重石
○ドル円、アップサイドに複数のレジスタンスが控えるなど、ドル売り・円買いトレンドが継続
○ファンダメンタルズも日米名目金利差縮小期待など、ドル円相場下落を連想させる材料増
○ドル売り・円買いトレンド継続をメインシナリオとして予想、本日の予想レンジ:137.25ー139.75
○日本時間12/1早朝のパウエルFRB議長講演に注目、講演後のボラティリティ急拡大に要注意

海外時間のレビュー

29日(火)のドル円相場は乱高下しつつも方向感を見出しづらい展開。(1)リッチモンド連銀バーキン総裁による「インフレが高止まりするならばFRBは利上げを続ける必要性がある」とのタカ派的な発言や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(3)本邦輸入企業の実需のドル買い(仲値に向けてのドル不足)、(4)香港株・中国株の急反発(中国のゼロコロナ政策に対する抗議活動の沈静化期待→リスク選好の円売り圧力)、(5)短期筋のロスカット(ショートカバー)が支援材料となり、アジア時間朝方にかけて、高値139.35まで急伸しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(6)日経平均株価の冴えない動き(リスク回避の円買い再開)や、(7)原油先物価格の上げ幅縮小(上値の重さを再確認→本邦貿易赤字縮小期待→構造的な円売り圧力の減退)、(8)本邦輸出企業による月末に向けてのドル売り圧力、(9)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値137.88まで急落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(10)翌日のパウエルFRB議長講演を控えたポジション調整や、(11)米11月コンファレンスボード消費者信頼感指数(結果100.2、予想100.1)の市場予想を上回る結果、(12)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間11/30午前5時00分現在)では、138.65前後まで持ち直す動きとなっております。

29日(火)のユーロドル相場は冴えない動き。(1)香港株・中国株の急反発(中国のゼロコロナ政策に対する抗議活動の沈静化期待→リスク選好のドル売り再開)や、(2)米金利低下に伴うドル売り圧力、(3)欧州株の堅調推移が支援材料となり、アジア時間午後にかけて、高値1.0394まで上昇しました。しかし、心理的節目1.0400をバックに伸び悩むと、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力や、(5)欧州株の冴えない動き(プラス圏からマイナス圏へ反落)、(6)ドイツ11月消費者物価指数(結果▲0.5%、予想▲0.2%、※前月比)の市場予想を下回る結果、(7)翌日のパウエルFRB議長講演を控えたポジション調整が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0323まで反落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間11/30午前5時00分現在)では、1.0325前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は11/28に記録した約3ヵ月ぶり安値137.51(8/26以来の安値圏)をボトムに反発に転じると、アジア時間に一時139.35まで持ち直す場面も見られましたが、結局海外勢参入後に137.96まで値を崩すなど冴えない動きとなりました(その後再び反発に転じるも139円台には到達できず)。139円台で上値の重さを再確認できたことや、ローソク足が主要サポートポイントの下側で推移していること(アップサイドに複数のレジスタンスが控えていること)、強い売りシナルを示唆する一目均衡表三役逆転が継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、ドル売り・円買いトレンドは継続中と判断できます。

ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる利上げペース鈍化観測(米当局者による相次ぐタカ派発言にも係わらず、市場は淡々と利上げペース鈍化を織り込む動き。CMEが提供するFedWatchツールによると、次回12月FOMCは利上げ幅を25bp縮小させた50bpの利上げが72.3%織り込まれる展開。更にその次の来年2月FOMCは利上げ幅を更に25bp縮小させた25bpの利上げを34.3%織り込む動き)や、(2)上記1を背景とした米長期金利の低下圧力(対主要通貨でのドル売り再開)、(3)日銀による金融緩和脱却観測(黒田総裁は来年4月に任期を迎える為、市場はポスト黒田体制下での金融緩和脱却を織り込む動き)、(4)上記1、3を背景とした日米名目金利差縮小期待(円キャリートレード解消の思惑)、(5)本邦貿易赤字の縮小期待(原油先物価格の軟調推移→日本の貿易赤字縮小期待→構造的な円売り圧力減退)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(目先は8/23に記録した直近安値135.51を試すシナリオを想定。同水準を下抜けられれば、200日移動平均線が走る134.18が視野に)。尚、本日は米11月ADP雇用統計や、米7ー9月期GDP改定値、ボウマンFRB理事講演、米11月シカゴ購買部協会景気指数、米10月JOLT雇用動態調査、クックFRB理事講演、パウエルFRB議長講演、ベージュブックなど、重要イベントが目白押しとなります。

特にパウエルFRB議長講演(日本時間12/1早朝3時30分開始予定)への注目度が高く、同氏がどのようなスタンスを見せてくるのかに市場の関心が集まっています。「単月のデータでは判断できず利上げペース鈍化や利上げ休止を織り込むのは時期尚早」といったタカ派的なニュアンスを示せばドル買いで反応する可能性がある一方、「インフレ鈍化や米経済のリセッション懸念」に言及するハト派的なニュアンスを示せば、米金利低下→米ドル売りの経路で、ドル円に強い下押し圧力が加わるものと推察されます。いずれにせよパウエルFRB議長講演後のボラティリティ急拡大が見込まれることから、日本時間明日早朝(12/1午前3時30分以降)の乱高下に注意が必要でしょう。

本日の予想レンジ:137.25ー139.75

注:ポイント要約は編集部

ドル円、値幅を伴う不安定な値動き。本日はパウエル議長講演がメインイベント

ドル円日足

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