ドル円 ドル安リスク継続も、「第一波」は終了か(週報11月第3週)

先週のドル/円相場はドルが小じっかり。週のザラ場ベースでは一時137円台を示現し、直近安値を更新するも切り返すと週足は5週間ぶりの陽線引けとなった。

ドル円 ドル安リスク継続も、「第一波」は終了か(週報11月第3週)

ドル安リスク継続も、「第一波」は終了か

〇先週のドル円、137.67まで下落し直近安値更新するも切り返し週足は5週間ぶりの陽線引け
〇週末、ボストン連銀総裁は「0.75%の利上げも依然選択肢」との見解示す
〇一方で黒田日銀総裁「現在は金融緩和の継続で経済活動をしっかりと支えていくべき局面」と強調
〇今週は米11月製造業PMI速報の発表、11月1-2日開催分のFOMC議事録要旨公開に注目
〇今週のドル/円予想レンジは、138.50-142.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが小じっかり。週のザラ場ベースでは一時137円台を示現し、直近安値を更新するも切り返すと週足は5週間ぶりの陽線引けとなった。

前週末は、暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXの破綻が伝えられるなか、「顧客資産消失」など関連の噂やニュースも相次ぐ。またロイターが「民主党、中間選挙の上院選で接戦となっていたネバダ州で勝利」と報じ、米民主党が上院で多数派を維持する見通しになったことも話題に。
そうした状況下、ドル/円は138.60円前後で寄り付いたのち、当初はドル買いが先行し週間高値の140.80円を示現した。しかし、発表された米経済指標の悪化などもあり勢いは続かず。一転して下値を試す展開になると、直近安値を下回る137.67円まで下落。週明けから2日間はやや荒っぽい変動をたどったものの、以降は比較的静か。139.00-140.50円をコアにした往来相場をたどるなか、週末NYは140.35-40円のドル高値圏で取引を終え越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「ロシア情勢」と「日米欧の金融政策」について。
前者は、ロシア軍がヘルソンからの撤退を発表するなどウクライナの反転攻勢が指摘されるなか、G20サミットが開催中にもかかわらず、「ロシアのミサイルがポーランドに着弾、死者も」などと伝えられ、一時関連ニュースが話題を呼んでいた。しかし、その後は着弾したミサイルそのものはロシアが発射したものではなく、「ウクライナ軍の迎撃弾」との見方が有力視されつつあるようで、米国防長官も「ロシア軍による意図的な攻撃ではない」と思惑を否定している。もっとも、それでもポーランド大使が「ウクライナに対するロシアの戦争がなければ罪なき人々が殺されることはなかった」と述べるなど、ロシアに責任の一端があるといった声は根強いようだ。

対して後者は、米国は15日に発表された卸売物価指数が予想を下回ったことに続き、ウォラーFRB理事が「12月会合では0.5%の利上げが適正」と発言したことなどが一時嫌気されたが、週末にボストン連銀総裁が「0.75%の利上げも依然選択肢」とする見解を示すなど意見が錯綜している。それに対し、欧州はブルームバーグがECBの利上げについて「12月の利上げ幅を0.5%に減速させる可能性がある」と報じたほか、スペイン中銀総裁からも「ECB、利上げを慎重に進めるべき」とのコメントが発せられている。一方、日本は黒田日銀総裁が講演で、従来通り「現在は金融緩和の継続で経済活動をしっかりと支えていくべき局面にある」と強調していた。

<< 今週の見通し >>

ドル/円の週足は5週間ぶりの陽線。ザラ場ベースでは直近安値を一時更新したものの、巻き戻しての越週となった。リスクという意味では引き続きドル安方向にバイアスがかかりそうだが、年始相場151.94円から14円以上も一時値を下げたこともあってか、さすがに「第一波」は終了した感を否めない。もっとも、だからといってドルが再び上昇軌道に戻るのかというと、それも考えにくく結局のところはレンジを形成。139-141円をコアレンジにした往来相場から、次の方向性を探るような値動きが続く可能性もある。
強気一辺倒だった米利上げ観測が後退。最低でも次回12月FOMCにおける「0.75%の利上げ」は見込みにくくなったようだ。そうした意味では織り込み過ぎた分のドル売りがいましばらく続いても不思議はないが、日米の絶対的な金利差は依然として存在しており、基調そのものがドル安へと転換することは予想しにくい。また、与党・民主党の大敗も見込まれていた米中間選挙で想像以上に民主党が善戦したことや、米中にわずかながら関係改善の兆しがうかがえることなどがドルの下値を支えるといった見方も取り沙汰されていた。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場を一目均衡表でみると、先行帯の雲の下限をザラ場ベースで下回る局面も観測されたが、終値を含めまだ「しっかり」とは割り込んでいない。相撲でいえば徳俵上で辛うじて持ちこたえている感がある。したがって、今週もまずは一目の雲の下限をめぐる攻防にまずは注目だ。ただ、このあともレベルを切り上げ141円台そして142円台へと達する展開が見込まれているだけに予断を許さない。

今週は、11月の製造業PMI速報をはじめとする米経済指標の発表や、11月1-2日開催分のFOMC議事録要旨が公開される予定となっている。また、それ以外でも材料は少なくないが、むしろ23日の日本の祝日そして翌24日の米サンクスギビングデーによる休場などを警戒する声も多かった。

そんな今週のドル/円予想レンジは、138.50-142.50円。ドル高・円安については、先週高値である140.80円が最初の抵抗。上抜ければ年初来高値からの下げ幅の23.6%戻しの141.05円や、移動平均の90日線(141円半ば)などがターゲットに。
対してドル安・円高方向は、前述したように移動平均の21日線をめぐる攻防にまずは注目。ザラ場だけでなくNYクローズでもその動きにも要注意。割り込めば強いサポートは139円前後か。

ドル安リスク継続も、「第一波」は終了か

ドル円日足

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