ドル円 今週も横方向のもみあい(週報11月第3週)

先週のドル円は、週初から週末まで若干ドル買いの動きになっていた一週間でした。

ドル円 今週も横方向のもみあい(週報11月第3週)

今週も横方向のもみあい

〇先週のドル円、138円台後半の買いと140円台半ばの売りで週を通し若干ドル買いの動きの一週間
〇この緩やかなドル買いの動きは材料無くなれば日米金利差からドル買いが出てくるという流れ
〇先週金曜発表の本邦10月CPIは年率3.7%へ上昇、ついに気にすべき水準へ
〇日銀関係者の発言を中心に日本のインフレと金融政策に絡む発言は注意すべき段階に
〇今週は138.80レベルをサポートに、141.20レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通し

先週のドル円は、各種経済指標や中銀関係者の講演はあったものの方向感が出るほどの材料も無く、米国PPIが前週のCPIに続いて弱かったことから一時的なドル売りが出たことを除くと、週を通して138円台後半の買いと140円台半ばの売りとがある中で、週初から週末まで若干ドル買いの動きになっていた一週間でした。

この緩やかなドル買いの動きは結局のところ材料が無くなってくると日米金利差に目が向きドル買いが出てくるという流れです。動き自体も大きな円安方向へのブレも見られず、こうした状況では介入警戒感も薄れてきます。財務省も現行水準から押し下げようというほどのことは考えていないでしょうから、今は材料とはなりません。ただ、米国CPIでドルが下げた翌日の買い戻しで142円台で為替の動きに対する発言があったことを考えると、現状では143〜145円で介入が出てくる可能性はあるかもしれません。

また為替の動きにはほとんど影響は無かったものの、先週金曜に発表された本邦10月CPIは年率3.7%へと上昇し、コアCPIも3.6%と予想以上の上昇を見せました。今週金曜には東京区部の11月CPIが発表されますので、前回の3.5%(コア3.4%)からどの程度上昇して来るのかは気になるところです。欧米ほどのインフレ率にはならないと思うものの。4%に近づき超えたあたりからの加速がありましたので、本邦CPIもついに気にすべき水準へと上がってきたと思います。

ただ、現状の数字で日銀が政策を変更することは無いでしょうが、今後の日銀会合で議論のテーマとして取り上げられることは確実ですから、日銀関係者の発言を中心に日本のインフレと金融政策に絡む発言は注意すべき段階に入ってきたと言えそうです。今週は日本が23日、米国が24日に祝日が入るため、全般にドル円は動きが鈍くなりがちです。落ち着いた動きの時には米金利の動向が最も円相場の動きに影響を与えますので、米金利の動きとあとはテクニカルという一週間を考えていればよさそうです。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今までが異常な値動きでしたから先週は妙に落ち着いた値動きに感じた週となりました。現状8月安値と10月高値の61.8%押しの水準で反発していることから、テクニカルには安値底固めをしている段階です。ただ、ここからドル買いに動いたとしても10月高値と11月安値の38.2%戻し143.10が上昇の限界点というところでしょう。少なくとも現時点では143.10でも遠いと感じます。
そうなると、やはりCPI翌日の戻り高値とその時の財務相からの発言を考えて、現在のレジスタンスは142円台前半をベースにその時の状況を踏まえて考えることとなり、今週は先週高値を若干上回る141円台前半を考えようと思います。

いっぽうで下値は先週米国PPI発表時の急な動きを除いた安値は138円台後半です。これら2つの水準を考慮し、今週は138.80レベルをサポートに、141.20レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

11月21日(月)
16:00 ドイツ10月PPI ☆
21:00 オーストリア中銀総裁講演
25:30 ポルトガル中銀総裁講演
30:45 NZ10月貿易収支

11月22日(火)
16:00 豪中銀総裁講演
19:15 フィンランド中銀総裁講演
24:00 ユーロ圏11月消費者信頼感速報値 ☆
24:00 米国11月リッチモンド連銀製造業景況指数
25:00 クリーブランド連銀総裁講演 ☆
28:45 セントルイス連銀総裁講演

11月23日(水)
**:** 東京市場休場
10:00 NZ中銀政策金利発表 ☆
17:00 南ア10月CPI
17:15 フランス11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
22:30 米国新規失業申請数
22:30 米国10月耐久財受注
23:45 米国11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
24:00 米国11月ミシガン大消費者信頼感
24:00 米国11月新築住宅販売
24:30 週間原油在庫統計
28:00 FOMC議事録公表 ☆

11月24日(木)
**:** NY市場休場
16:45 フランス11月企業景況感
18:00 ドイツ11月ifo企業景況感
20:00 トルコ中銀政策金利発表
**:** 南ア中銀政策金利発表
21:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
22:00 シュナーベルECB理事講演

11月25日(金)
08:30 本邦11月東京区部CPI ☆
16:00 ドイツ12月GFK消費者信頼感
16:30 エストニア中銀総裁講演
16:45 フランス11月消費者信頼感
26:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
**:** 米国市場短縮取引

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月14日(月)
週明けのドル円は早朝からドル買いが先行しましたが、多くは先週後半にドルを売ることができた短期筋の利食いのようでした。その後は値頃感で売った日計りの損切りによるドル買いなども出て欧州市場では140.80レベルまで上昇。NY市場に入ってからはドル売りも出て139円台後半に下押しして引けました。

11月15日(火)
ドル円は週初からの買い戻しが欧州市場序盤まで続いていましたが、米金利が低下する動きとともにドル売りが再開、その後NY市場に入って発表されたPPIが予想よりも弱かったことから一時137.77レベルの安値をつけました。しかしバーFRB議長がインフレは高すぎると発言したことで引けにかけては買い戻しが進み139円台前半での引けとなりました。

11月16日(水)
ドル円は東京市場では買いが先行後に元の水準へと押して海外市場入り。特に目立った材料が無く動きが鈍くも感じられましたが、東京市場の値幅は1円56銭とそれなりに動いています。海外市場では139円台半ばでもみあいを続け方向感がはっきりしない1日でした。

11月17日(木)
ドル円は東京市場では米金利の上昇と下落に沿ったドル買いとドル売りの動きとなり、欧州市場序盤には138.87レベルの安値をつけました。欧州市場では英国のGDP見通しがマイナスへと大きく下方修正されたことを嫌気したポンド売りをきっかけにユーロ売り・ドル買いとなりました。米金利が上昇したこともドル買いの材料とされNY昼前に140.74レベルの高値をつけましたが、引けにかけては140円台前半に押して引けました。

11月18日(金)
東京市場のドル円は米金利低下の動きに沿ってドル安が先行、後場以降はほとんど動きが見られないまま欧州市場入り。欧州市場序盤には米金利上昇の動きからドルが買い戻される動きが見られたものの一時的な動きに留まり、その後、NY後場までは140割れの水準でもみあいを続けました。FOMCで投票権を持つボストン連銀総裁が0.75%の利上げは検討されているとの発言をきっかけにドルが買い戻され、東京朝方の水準に戻して引けました。

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