トルコリラ円見通し 前日の上昇を解消する反落、1月3日の高安レンジ内での推移続く(22/1/14)

13日は戻り売りにつかまり、ドル/トルコリラでのリラの反発も続かずに円高に押される展開となった。

トルコリラ円見通し 前日の上昇を解消する反落、1月3日の高安レンジ内での推移続く(22/1/14)

トルコリラ円見通し 前日の上昇を解消する反落、1月3日の高安レンジ内での推移続く

〇トルコリラ円、1/12の反発続かず1/13は円高に押され戻り売りにつかまり、8.68から8.20の取引レンジ
〇対ドルも、1/12は13.13リラへと一時反騰するも1/13は勢いは続かず、前日の上昇分の過半を解消
〇昨日発表の11月鉱工業生産・小売売上高は好調だが、外貨準備高は減少
〇1/20トルコ中銀金融政策決定会合、現状維持では市場のリラ売り圧力はさほど弛まない可能性
〇8.50以下での推移中は一段安警戒として、8.10前後への下落を想定する
〇8.50前後では戻り売りにつかまりやすいが、8.55を超える場合8.60台序盤を目指す反騰を想定する

【概況】

トルコリラ円の1月13日は8.68円から8.20円の取引レンジ、14日早朝の終値は8.37円で前日終値の8.64円からは0.27円の円高リラ安となった。
1月12日はドル全面安により対ドルでもリラ高となったためにドル円の下落にもかかわらず高値で8.70円を付けて前日比0.29円の円安リラ高と反発したのだが、13日は戻り売りにつかまり、ドル/トルコリラでのリラの反発も続かずに円高に押される展開となった。
1月13日夕刻に発表されたトルコの11月鉱工業生産や小売売上高は10月からの改善を示したものの、夜発表の外貨準備高は最近のトルコ中銀による市場介入を反映して減少しており、トルコの金融経済政策への先行き不透明感を踏まえて戻したところは売られて上値の重い状況から抜け出せずにいる。
1月3日に8.13円まで下げたところから9.00円まで戻した後はこの日の高安レンジ内に収まっての推移が続いている。

【対ドルでの反発続かず】

ドル/トルコリラの1月13日は13.67リラから13.11リラの取引レンジ、14日早朝の終値は13.56リラで前日終値の13.18リラからは0.38リラのドル高リラ安となった。
年初から続く為替市場全般におけるドル安が一段と加速したことで1月12日は13.13リラへと一時反騰して前日比0.61リラのドル安リラ高となり、13日も13.11リラまで若干高値を切り上げたものの勢いは続かず、為替市場全般のドル安基調は続いたもののリラ買いが勢い付くほどにはならずに12日の上昇分の過半を解消した。

【11月の鉱工業生産と小売は好調も、外貨準備高は減る】

1月13日16時に発表されたトルコの12月鉱工業生産は前月比3.3%増となり10月の0.7%増から伸び、前年同月比は11.4%増となり10月の8.7%増から伸びが加速した。
11月の小売売上高は前月比1.3%増で10月の1.1%増から拡大、前年同月比は16.3%増で10月の15.5%増を上回った。
感染拡大が顕著になってきているものの11月段階ではまだ鉱工業生産も小売も好調だったことが示された。しかし、12月3日へトルコリラが暴落する過程でもあり、リラ安によるインフレが名目的な生産や小売販売額をかさ上げしている側面もあり、リラ暴落後の実体経済を反映するのは12月の数字からと思われるため、市場の反応も限定的だった。

週次の外貨準備高は1月7日時点のグロスで709.9億ドルとなり前週の725.6億ドルから減少した。11月に879.2億ドルまでつみあがっていたところから急減が続いており、特に12月に入ってからは800億ドル台から700億ドル台序盤まで急減したことが目立った。
外貨準備高のネットでは79.5億ドルとなり前週の83.4億ドルからさらに減少した。11月序盤には326.4億ドルあったところからの急減が続いており、暴落一服中のリラ安が再燃した際の外貨準備によるリラ防衛力は大きく削がれている状況と思われる。

【1月20日のトルコ中銀金融政策決定会合はどうなるか】

12月20日に6.17円の史上最安値まで大暴落したところから、リラ預金の為替差損を国家が補填するという常識破りの政策を発表したことでリラ暴落もひとまず収まったが、エルドアン大統領による低金利化政策姿勢は相変わらずであり、12月23日に11.14円まで戻してから1月3日安値8.13円まで反落して反騰幅の半値以上を削った状況にある。
8円台を維持して年初からは下げ渋っているのは年明けから為替市場全般がドル安基調にあってドル高リラ安に対するブレーキが利いている側面もあるが、先行き不透明感はぬぐえず、外貨準備高の減少、リラ預金においても外貨預金からのシフトはさほど進んでいないとの報道、エルドアン大統領の支持率低下などもあり、8円台をいつまで維持できるのかどうか懸念されるところだ。

1月20日にはトルコ中銀の金融政策決定会合がある。12月に4会合連続利下げを行った後、カブジュオール中銀総裁は当面の利下げを終了して様子見に入る姿勢を示したが、果たしてエルドアン大統領による利下げ継続要求が収まっているのかは定かではない。1月14日朝時点では政策金利である週間レポレートは現行の14%で据え置かれるとの予想が中心だが13.5%への利下げ予想もある。リラ防衛のために利上げすればサプライズだが、現状維持では先行きの利下げ継続感が解消しないとして市場のリラ売り圧力もさほど弛まないのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月3日夜高値からの下落基調が続いてきたが、1月10日夜安値からの下げ渋りが続いたために12日午前時点では直近のサイクルボトムを10日夜安値として底割れ回避のうちは13日にかけての間への上昇余地ありとした。
1月13日午前時点ではまだ上昇余地ありとし、8.50円割れからは弱気サイクル入りとしたが、13日夜に8.50円を割り込んだため、現状は13日未明高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしたと思われる。ボトム形成期は13日夜から17日夜にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるが、8.50円以下での推移が続くうちは一段安警戒とする。ただし8.55円超えからは強気サイクル入りとして17日深夜から20日未明にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では1月13日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜きえせないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。強気転換には先行スパンを上抜き返す必要があると思われる。

60分足の相対力指数は1月13日午後から50ポイントを割り込んだ状況が続いている。50ポイントを超えないかわずかに超えても維持できないうちは一段安警戒とし、55ポイントを超えてからも50ポイント以上を維持する反騰がみられるところからはいったん戻しに入ると考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.13円を下値支持線、8.50円を上値抵抗線とする。
(2)8.50円以下での推移中は一段安警戒として8.10円前後への下落を想定する。8.10円以下は反騰注意とするが下げ足が速まる場合は8.00円試しへ下値目途を引き下げる。また8.45円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.50円前後では戻り売りにつかまりやすいとみるが、8.55円を超える場合は8.60円台序盤を目指す反騰を想定する。8.60円以上は反落警戒とするが、8.50円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な予定】

1月17日
 17:00 12月 財政収支 (11月 320億リラ)
1月20日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 週間レポレート (現行 14.0%)
 20:30 週次外貨準備高 (1/14時点 709.9億ドル)
1月21日
 16:00 1月 消費者信頼感 (12月 68.9)
1月25日
 16:00 1月 製造業景況感 (12月 106.1)
 16:00 1月 設備稼働率 (12月 78.7%)



注:ポイント要約は編集部

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