ドル円、ポジション調整主導で急落するも下値は堅い。米当局者発言に注目
〇ドル円、米国時間朝方にかけ113.65まで下落後114円台を回復
〇株式市場でのリスク回避の動き、米長期金利低下、フィラデルフィア連銀景況指数不冴えが下落の背景
〇ユーロドル1.1621まで下落、株安、米欧金融政策格差、独連銀総裁退任によるECBハト派化観測が要因
〇トルコ中銀、予想外の2%利下げでトルコリラは対円、対ドルで史上最安値更新
〇ドル円、テクニカルの続落余地乏しく、ファンダメンタルズもドル買い材料多い
〇ドル円続伸がメインシナリオ、本日の予想レンジ:113.65ー114.45
海外時間のレビュー
21日(木)のドル円相場は高値圏から急反落。アジア時間朝方に一時114.42まで上値を伸ばすも、買い一巡後に伸び悩むと、@日経平均株価の急落を受けたリスク回避の円買い圧力や、A米金利低下を背景としたドル売り圧力、B米10月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(結果23.8、予想25.0)の不冴な結果、C短期筋のロスカット(10/19安値113.88を割り込んだことに伴う見切り売り)が重石となり、米国時間朝方にかけて、約1週間ぶり安値となる113.65まで急落しました。しかし、10/15安値113.64をバックに下げ渋ると、D米9月中古住宅販売件数(結果629万件、予想609万件)の良好な結果や、E米金利の反転上昇に伴うドル高圧力が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間10/22午前5時00分現在)では、114.01前後まで持ち直す動きとなっております。
21日(木)のユーロドル相場は上昇後に反落。アジア時間朝方に一時1.1667まで上値を伸ばすも、10/19高値1.1670をバックに伸び悩むと、@株安を背景としたリスク回避のドル買い圧力や、A欧米金融政策格差を背景としたユーロ売り・ドル買い圧力、Bタカ派で知られていたドイツ連銀バイトマン総裁の退任報道に端を発したECBがハト派に傾斜するとの市場の思惑が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.1621まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/22午前5時00分現在)では、1.1624前後で推移しております。
尚、トルコ中銀は昨日、エルドアン大統領の圧力に屈する形で、政策金利を200bp引き下げました。利下げ幅が市場予想の100bpを上回ったことで、トルコリラは対ドル・対円共に大幅に売り込まれる展開となっております(史上最安値を共に更新)。
本日の見通し
ドル円は前日10/20に記録した約4年ぶり高値114.71をトップに反落に転じると、昨日はポジション調整主導で一時113.65まで急落しました。しかし、ダウンサイドには、一目均衡表転換線などのサポートポイントが複数控えている他、強い買いシグナルを示唆する三役好転や移動平均線のパーフェクトオーダーも成立しており、テクニカル的に見て、続落余地は乏しいと判断できます(昨日の下落はあくまで上昇トレンドの過程で見られる一時的な押し目。短期間で急激に値を上げた反動)。ファンダメンタルズ的に見ても、日米金融政策の方向性の違い(早期利上げ開始が織り込まれる米国と、金融緩和脱却の糸口すら掴めていない日本との金融政策格差)や、世界的なスタグフレーション懸念(新興国から米ドルへ資金が流れる展開)、株式市場の底堅い動き(米早期利上げが織り込まれても尚、過剰流動性相場の逆流が生じない事に対する安堵感)など、ドル買い・円売りを連想させる好材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(オプション市場のリスクリバーサルは円プットオーバーが拡大→アップサイドを織り込む動きが継続中)。目先は10/20高値114.71や、2017/11/6高値114.74、心理的節目115.00を再トライする展開を想定いたします。尚、本日は日本時間22:45に発表される米10月製造業・非製造業PMI速報値や、同23:00のサンフランシスコ連銀デーリー総裁講演、同24:00のパウエルFRB議長発言に注目が集まります。特に米当局者発言については、明日からブラックアウト期間に入ることもあり、11/2ー11/3に開催される米FOMC(連邦公開市場委員会)前最後の発言機会となるため、米テーパリング開始時期を見極める上で注目が集まりそうです。
本日の予想レンジ:113.65ー114.45
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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