GDP発表から一段高
〇トルコリラ円、夕刻発表のトルコ4-6月期GDPが前年同期比21.7%増で13.32へ一段高
〇ドル/トルコリラは1日高値8.2560、6/25の史上最安値以降の最高値を2日連続で更新
〇消費者物価上昇率の上ブレと国際原材料相場の高騰が続けば政策金利の19%超えも懸念
〇3日発表のトルコ8月物価上昇率、上昇基調が勢い付くか修正安局面に入るか注目
〇13.20以上での推移中は一段高余地あり、13.32超えからは13.30台後半を目指すとみる
〇13.20割れからはいったん下落期に入るとみて13.10台前半への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の9月1日は13.32円から13.19円の取引レンジ、2日早朝終値は13.25円で前日終値13.21円から0.04円のリラ高円安となった。
8月20日早朝にドル/トルコリラでフラッシュクラッシュ的なドル安リラ高が発生して13.24円へ一時上昇してから12.74円まで反落したが、その後は上昇基調に入り、8月31日にはエルドアン大統領とUAEのアブドル皇子の電話会談報道から両国関係改善期待となって20日朝高値をわずかに超えた。
9月1日は夕刻にトルコ4-6月期GDPの発表があったが、期待通りに前年同期比が21.7%増と高水準の改善を示したことでリラ買いが勢い付いて13.32円へ一段高した。急騰一服とドル円の反落もあり深夜にかけて13.21円までいったん下げたもののその後は新たな安値更新を回避して13.20円台中盤で確りしている。
【対ドルでは6月25日の史上最安値以降の高値を更新】
ドル/トルコリラの9月1日は8.33リラから8.25リラの取引レンジ、2日早朝終値は8.29リラで前日終値8.30リラから0.01リラのドル安リラ高となった。
8月20日早朝のフラッシュクラッシュ的なドル安リラ高で8.25リラの高値を付けたところから8.55リラへいったん急落したもののその後は全般的なドル安基調も重なってドル安リラ高基調の推移に入ってきていたが、細かくみると9月1日高値で8.2560リラを付けて20日高値8.2562リラをわずかに上抜いている。終値ベースでは8月31日の8.30リラで6月25日に付けた史上最安値以降の最高値を更新していたが9月1日も2日連続で終値ベースでも高値更新となった。
今週末の米雇用統計次第では流れも変わる可能性があるが、今のところは8月20日以降のドル安基調が継続しており、米経済指標も6月まで見られた過熱感が後退、9月1日発表のADP民間雇用報告もさえない内容だったことでドル安が加速しているため、ドル/トルコリラとしてはドル安リラ高の追い風となっている。
【トルコGDP、期待通りの改善】
9月1日夕刻に発表されたトルコ4-6月期GDPは前年同期比で21.7%増となり市場予想と一致、1-3月期の7.2%増から大幅に伸びた。前期比は0.9%増で1-3月期の2.2%増から伸びが低下したが、2020年7-9月期から4期連続でプラスを維持した。
昨年のコロナショック不況に対する前年同期比となったことで大きな伸びだが、2020年4-6月期に10.4%減まで低下したところから大幅な改善を見せた。今年も5月にかけての感染拡大第三波とロックダウンの影響も懸念されたが経済活動を大きく絞る規模の規制でなかったために影響は限定的なものにとどまった。
トルコ政府は今年の成長率を5.8%と予想しているが、エルバン財務相は4-6月期の上昇を踏まえて8%を上回る可能性があると述べている。しかし、経済成長とコロナショックからの回復が急ピッチで進めば物価上昇も刺激されるためにこれまで継続してきた消費者物価上昇率の上ブレも続きやすくなり、国際原材料相場の高騰が続いて年後半に落ち着かない場合には政策金利の19%を超えることも懸念される。
【鍋底の蓋=上値抵抗帯突破挑戦】
昨年11月6日に12.03円の史上最安値を付けてから反騰に転じて2月16日に15.26円、3月19日に15.13円を付けてダブル天井を形成、その後の下落では6月2日に12.44円まで下げたものの最安値更新を回避、6月21日安値12.48円とミニ・ダブル底を形成してから緩やかな上昇期に入ってきた。鍋底型での上昇であり6月11日高値13.21円と8月3日高値13.15円等の13円台序盤が鍋底にとっての蓋=上値抵抗帯となってきていた。しかし8月20日朝の一時的急騰時に13.24円を付けてからさらに高値を切り上げてきたことで、鍋底の抵抗帯を突破してさらに勢い付く可能性も浮上してきた印象だ。
9月3日には米雇用統計があり内容次第では為替市場も金融市場全般も大きく動く可能性があるが、その前にはトルコの8月物価上昇率の発表もあり、今後のトルコ金融政策姿勢を巡る思惑も重なって上昇基調が勢い付くのか、いったん修正安局面に入るのか、注目されるところとなる。
仮に高値更新が続く場合、上値目途は4月29日高値13.38円、4月15日高値13.56円、4月2日高値13.84円等へ順次切り上がる可能性も出てくると思われるが、逆に13円割れから急落商状に陥る場合は上昇基調も一巡しての下落期入りとなり再び12.50円以下を試す流れへ進みやすくなると思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月30日夕高値からの反落により8月31日午前時点では8月26日夕高値と30日夕高値をダブルトップ型とした弱気サイクル入りとして30日夕高値超えからは新たな強気サイクル入りとしていたが、31日夜の急伸でダブルトップラインを超えたために1日午前時点では31日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして9月2日午後から6日夕にかけての間への上昇を想定した。1日夜へ一段高してからいったん反落したものの深夜以降は持ち直しているのでまだ上昇余地ありとするが、13.20円を割り込むところからは弱気サイクル入りとして3日午後から7日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8月31日夜の急伸で遅行スパンが好転、先行スパンも突破したがその後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。遅行スパンが一時的に悪化しても13.20円以上を維持するうちはその後の好転から上昇再開とするが、13.20円割れからは下落期入りと仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は31日夜から1日夜への一段高に際して指数のピークが切り下がり気味の弱気逆行がみられる。このため60ポイント超えからは上昇再開とするが、45ポイント割れからはさらに下げやすいとみて30ポイント前後を目指す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.20円を下値支持線、13.32円を上値抵抗線とする。
(2)13.20円以上での推移中は一段高余地ありとし、13.32円超えからは13.30円台後半を目指すとみる。13.37円以上は反落注意とするが、13.20円以上での推移なら3日の日中も高値試しを続けやすいとみる。
(3)13.20円割れからはいったん下落期に入るとみて13.10円台前半への下落を想定する。13.13円以下は反騰注意とするが、13.20円を割り込んでの推移なら3日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
9月03日
16:00 8月 消費者物価 前月比 (7月 1.8%、予想 0.6%)
16:00 8月 消費者物価 前年同月比 (7月 18.95%、予想 18.7%)
16:00 8月 生産者物価 前月比 (7月 2.46%)
16:00 8月 生産者物価 前年同月比 (7月 44.92%)
20:30 外貨準備高(グロス) 8/27時点 (8/20時点 681億ドル)
9月09日
20:30 外貨準備高(グロス) 9/3時点
9月10日
16:00 7月 失業率 (6月 10.6%)
9月23日
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 19.00%)
※ポイント要約は編集部
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