ドル円見通し 米雇用統計後の上昇続き7月24日深夜高値を上抜く(21/8/11)

ドル円は8月11日未明に110.59円まで高値を切り上げて7月23日深夜高値110.58円を上抜いた。

ドル円見通し 米雇用統計後の上昇続き7月24日深夜高値を上抜く(21/8/11)

雇用統計後の上昇続き7月24日深夜高値を上抜く

〇ドル円、11日未明に110.59まで高値を切り上げ7/23深夜高値110.58を上抜く
〇雇用統計以降米指標の好調続き、米上院は巨額インフラ投資計画に合意、米長期金利、ドル円の上昇継続
〇NYダウは前日比162.82ドル高と上昇、取引時間中と終値ベースの史上最高値を更新
〇ユーロ圏のZEW景況指数は前月比から悪化、米国との景気回復の差がドル高に寄与する材料に
〇110.25以上で推移中は上向き、110.75超えから111.00試しとする
〇110.25割れから弱気転換注意とし110.00試しとみる

【概況】

ドル円は8月11日未明に110.59円まで高値を切り上げて7月23日深夜高値110.58円を上抜いた。11日午前序盤も110.50円以上を推移、高値を切り上げている。
8月6日夜の米7月雇用統計が市場予想を上回る改善を示したことで米連銀によるテーパリングも早まるとの見方が強まって米長期債利回りが上昇、為替市場はドル全面高となる中でドル円は米長期債利回り反騰に合わせて8月4日深夜からの上昇基調を継続している。雇用統計に続き、8月9日発表の6月雇用動態調査(JOLTS)の求人件数が過去最高を更新したこと、10日も米上院が巨額インフラ投資計画について合意に達したこと、4-6月期の米労働生産性速報値も良好だったことから米長期債利回りは上昇を継続、ユーロドルが5月25日以降の安値を更新する一方でメジャー通貨の加重平均であるドル指数が5月25日以降の高値を更新するなどドル高感もさらに強まってきている。

【NYダウは史上最高値更新、米10年債利回りは5連騰】

8月10日のNYダウは前日比162.82ドル高と上昇、取引時間中及び終値ベースの史上最高値を更新した。米長期債利回り上昇を嫌ってナスダック総合指数は72.09ポイント安と下げたが、SP500株価指数4.40ポイント高と上昇して取引時間中及び終値ベースの史上最高値を更新した。米上院がインフラ投資法案を可決したことで景気対策が一段と進むとみて株式市場の先高感は継続している。
8月10日の米長期債利回りは総じて上昇。10年債利回りは前日比0.02%上昇の1.35%となり8月4日からは5連騰となった。7月20日と8月4日に1.12%を付けてダブル底とし、そこからの連騰でダブル底の中間にあった7月22日の1.31%を超えた。3月31日に1.77%でピークアウトしてから低下していたが、その中では週足で1週のリバウンドを入れながら戻り高値を切り下げて一段安を繰り返してきたところ、今回は戻り高値切り下がりパターンから脱却し、ダブル底の中間にあった高値も超えたことで3月31日以降の下降トレンドが終局して上昇期に入った印象となっている。

利上げ時期に敏感な2年債利回りも0.02%上昇の0.24%となった。6月17日未明の前々回のFOMC声明発表直後に0.15%台から6月18日に0.28%へ急伸したことが当時のドル高のトリガーだったが、8月4日に0.16%まで低下したところからV字反騰で5連騰しており、6月18日の水準に徐々に迫ってきている。
米連銀は7月分と8月分の雇用増が80〜100万人規模で堅調さを示せば早ければ10月、遅くとも年末にはテーパリングを開始する条件がそろうという見方を高官発言で市場に示唆している。株式市場が堅調なことによる株買い債券売りの動きも重なって米長期債利回りは上昇環境に復帰しており、米国株高と米長期債利回り低下による日米金利差拡大がドル円を大きく押し上げてきている。

【ドル指数の上昇とユーロドルの下落】

ユーロドルは先週末の米雇用統計をきっかけに下げ足が速まってきているが、8月10日には1.1708ドルまで下げて8月25日高値以降の最安値を付け、3月31日安値1.1702ドル割れへ余裕が乏しい。8月10日夕刻発表のドイツZEWによる8月のドイツ景況指数は前月比22.9ポイント低下の40.4となり3か月連続の悪化だった。ユーロ圏のZEW景況指数も前月比18.5ポイント低下の42.7と悪化した。米国の景気回復感との差が意識されて為替市場全般のドル高に寄与する材料だった。
メジャー通貨の加重平均であるドル指数は8月10日に93.14ポイントを付けて7月21日の93.19ポイントに迫っている。7月21日高値及び3月31日高値93.44ポイントを超えてくれば1月6日と5月25日のダブル底も完成し、昨年9月以降の戻り高値切り下がり気味の抵抗線突破によりテクニカル的にもドル高が進行しやすくなるところだ。

【8月4日安値からの反騰期入り】

ドル円は8月4日から8月6日まで3日連続陽線=赤三兵で上昇、8月9日は小陰線だったものの高値を切り上げ、10日も一段高となる陽線で8月4日からのV字反騰を維持している。7月23日深夜高値を上抜いたために7月2日高値からの戻り高値切り下がりパターンからは脱却しているが、移動平均の重要抵抗線でもある26日線及び52日線を突破しての続伸であり、状況的には4月23日からのV字反騰期の序盤、1月6日底からの上昇期の序盤に近い印象となっており7月2日高値111.65円を目指し、あるいは突破してゆく可能性も浮上してきたところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、8月4日夜を起点として上昇期に入ったが、8月6日深夜高値から9日夜安値へと小反落してから一段高に入っているため、8月9日夜安値を起点として新たな強気サイクル入りしていると思われる。高値形成期は8月11日夜から8月13日深夜にかけての間と想定されるのでまだ一段高余地ありとみる。110.25円までは買われやすいとみる。110.25円割れを弱気転換注意とするが弱気サイクル入りは8月9日夜安値割れからとする。

60分足の一目均衡表では8月4日夜安値からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたが、その後も両スパン揃っての好転が続いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。弱気転換は先行スパン転落からとし、その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月6日深夜高値からの一段高においては指数のピークがフラットとなっているので弱き逆行の気配があるが60ポイント台では買われているのでまだ上昇余地ありとし、弱気転換は50ポイント割れからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.25円を下値支持線、110.75円を上値抵抗線とする。
(2)110.25円以上での推移中は上向きとし、110.75円超えからは111.00円試しとする。111.00円到達ではいったん売りも出やすいとみるが、110.50円以上での推移なら12日も高値試しへ進みやすいとみる。
(3)110.25円割れからは弱気転換注意として8月9日夜安値110.00円試しとみる。110.00前後は押し目買いからの反発注意水準とみるが、110.25円以下での推移が続くなら12日は安値試しへ向かいやすくなるとみる。

【当面の主な予定】

8/11(水)
09:30 (豪) 8月 ウエストパック消費者信頼感指数 (7月 108.8)
15:00 (独) 7月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.9%、予想 0.9%)
15:00 (独) 7月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 3.8%、予想 3.8%)
21:30 (米) 7月 消費者物価指数 前月比 (6月 0.9%、予想 0.5%)
21:30 (米) 7月 消費者物価指数 前年同月比 (6月 5.4%、予想 5.3%)
21:30 (米) 7月 消費者物価コア指数 前月比 (6月 0.9%、予想 0.4%)
21:30 (米) 7月 消費者物価コア指数 前年同月比 (6月 4.5%、予想 4.3%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
23:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
25:00 (米) ジョージ・カンザスシティ連銀総裁、講演
26:00 (米) 財務省10年債入札
27:00 (米) 7月 月次財政収支 (6月 -1742億ドル、予想 -3070億ドル)

8/12(木)
08:01 (英) 7月 英RICS住宅価格指数 (6月 83、予想 76)
08:50 (日) 7月 国内企業物価指数 前月比 (6月 0.6%、予想 0.5%)
08:50 (日) 7月 国内企業物価指数 前年同月比 (6月 5.0%、予想 5.0%)
15:00 (英) 6月 月次GDP 前月比 (6月 0.8%、予想 0.8%)
15:00 (英) 4-6月期 GDP速報値 前期比 (1-3月 -1.6%、予想 4.8%)
15:00 (英) 4-6月期 GDP速報値 前年同期比 (1-3月 -6.1%、予想 22.1%)
15:00 (英) 6月 鉱工業生産指数 前月比 (5月 0.8%、予想 0.3%)

15:00 (英) 6月 鉱工業生産指数 前年同月比 (5月 20.6%、予想 9.4%)
15:00 (英) 6月 貿易収支・物品 (5月 -84.81億ポンド、予想 -92.00億ポンド)
15:00 (英) 6月 貿易収支・全体 (5月 8.84億ポンド、予想 4.00億ポンド)
18:00 (欧) 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 -1.0%、予想 0.0%)
18:00 (欧) 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 20.5%、予想 10.4%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 19.00%、予想 19.00%)
21:30 (米) 7月 生産者物価指数 前月比 (6月 1.0%、予想 0.6%)
21:30 (米) 7月 生産者物価指数 前年同月比 (6月 7.3%、予想 7.1%)

21:30 (米) 7月 生産者物価コア指数 前月比 (6月 1.0%、予想 0.5%)
21:30 (米) 7月 生産者物価コア指数 前年同月比 (6月 5.6%、予想 5.6%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 38.5万件、予想 37.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 293.0万人、予想 288.0万人)
26:00 (米) 財務省30年債入札
27:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 4.25%、予想 4.50%)


※ポイント要約は編集部

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