欧州中央銀行(ECB)金融政策戦略に関する記者発表
昨日、ECBは金融政策の戦略に関する記者発表を行いました。これまでは目標とするインフレが「2%を下回るかそれに近い水準」でしたが、今後は「対称的な2%インフレ」とし、2%を越えても容認となりました。以下はその部分の記者発表要旨です。これにより一時的に目標上限からのインフレ上昇も容認されたことになります。
(記者発表要旨)
・新しい戦略は中期的に対称的な2%インフレ目標を採用。
・運営審議会はHICPが適切な物価手段であることを確認し、暫くの間は自己所有の住宅を含めたものを考慮することを勧めている。
・新金融政策戦略は2020年1月に発効した戦略の徹底的な見直しの結果である。
・運営審議会は(金融政策において)野心的な気候変動行動計画を承認した。
運営審議会は物価安定が中期的に2%インフレ目標を維持することが最善であると考えている。この目標は対称的である。その意味することは、目標とするインフレ率に関し、マイナスやプラスの偏差は等しく望ましくないことである。経済が名目金利の下限近くで動いている時、インフレ目標からマイナス偏差を避けるために、強力あるいは持続的な金融政策によりそれから守ることが必要とされる。これはまた、インフレが目標越えて緩やかに移行する期間を意味している。
また、運営委員会は一連のECB金利が主要な金融政策手段であることを確認した。他の手段として、例えば、フォワードガイダンス、債券購入、あるいは長期借入操作は、過去10年以上に亘り名目金利の下限によって生じる制限を緩和するのに役立っており、ECBのツールキットとして不可欠な部分であり、必要に応じて適切に使われてきた。
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。(出所:ECB HP)
ユーロドル相場は昨日の新たなECB金融政策戦略にユーロが買い戻され、1.18台半ばでNYが引けました。
下図はユーロドルの日足チャートです。ラインAのサポートを切ってからユーロは急落しました。その後ラインB(=1.2160)とラインC(=1.1890)で3角保合いの収斂を形成していましたが、6月30日にCも下抜いたことで、現在はラインD(=1,1880)とそこから平行に下したE(=1.1760)でユーロ安トレンドラインを形成しています。昨日は大きく戻りましたが、まだユーロは弱い中にいます。このまま行けばトレンドラインに沿って、3月末底値(AとCの起点)1.1720が視野に入ります。逆に上値のCとDをクリアすれば、まずF(=1.1995)、そしてG(=1.2100)、Bの順に上値を目指す流れに戻れそうです。
(7月9日11:00、1ユーロ=1.1838ドル)
オーダー/ポジション状況
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