ドル円 基本はレンジ継続、109円台での往来相場か(6/8夕)

8日の東京市場はドルが小じっかり。レンジそのものは決して広くなかったが、夕方に掛けてドルはやや買い進められている。

ドル円 基本はレンジ継続、109円台での往来相場か(6/8夕)

基本はレンジ継続、109円台での往来相場か

〇ドル円、109.20-25で寄り付き低位揉み合い、抵抗の109.30上抜けると夕方にかけドル買い・円売りに
〇米国務長官が停滞していた台湾との貿易投資協議を再開の可能性もあると発言
〇全人代の常務委員会が海外からの制裁に対抗する法案検討と報じられ物議醸す
〇米政府は露が有害な活動を続ければ対抗するとコメント、米露間の対立も激しさを増す
〇本日発表の米4月貿易収支や3年債入札など注視
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ109.10-109.90

<< 東京市場の動き >>

8日の東京市場はドルが小じっかり。レンジそのものは決して広くなかったが、夕方に掛けてドルはやや買い進められている。

ドル/円は109.20-25円で寄り付いたのち、しばらくは低位揉み合い。109.30円レベルが抵抗となっていたものの、上抜けると夕方に掛けてドル買い・円売りが鮮明に。また、円は対ドル以外でも売り込まれ、一時全面安の様相を呈していた。なお、ドル/円は16時現在でも、そのまま109円半ばの日中高値圏をキープ、欧米市場を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは、「中国情勢」と「米露情勢」について。
前者は、米国務長官が停滞していた台湾との貿易投資協議について、「再開もあり得る」と発言。中国サイドの反応も気になるなか、同国国営テレビは国会に相当する全人代の常務委員会が「海外からの制裁に対抗する法案を検討する」と報じ、物議を醸していた。実現すれば、人権問題を盾に一部欧米諸国は対中制裁を発動しているが、それに強力な対抗措置が発動できるようになるかもしれない。なお、そうしたなか日経新聞は11-13日に開催されるG7サミットの首脳宣言において、「台湾海峡の安定」が重要だと首脳宣言に明記する調整に入ったと指摘。さらに、「香港情勢や新疆ウイグル自治区での人権弾圧にも反対する」と指摘していた。

対して後者は、米中間の対立が依然として解消しないなか、米露間の対立もジワリと激しさを増している。16日に米露首脳会談を控え、双方の「口激」が止まらない。週末にプーチン露大統領から「進展は期待していない」といった平静を装う発言が聞かれた一方、昨日は米国のサハリン補佐官が「米露首脳会談は関係管理のいち手段」と発言。さらに、ロシアが米政府に対し「有害な」活動を継続すれば、米国は対応するとコメントしていた。

<< 欧米市場の見通し >>

果たして、昨日懸念した通りというべきなのだろうか。ドル/円は、短期的に形成していた感のあった109.30-110.30円というレンジの下限を昨日底割れしたが、値は走らず。と言うより、本日の東京時間に掛けては元のレンジのなかへと回帰してきた。つまり、前述した1円レンジを下方向に10数ポイント程度拡大させただけにとどまり、ドルの下値リスクが高まったというわけでもなさそうだ。いずれにしても、まだ方向性乏しいままと言えるだろう。
市場では引き続き広義の米ファンダメンタルズと金融政策が注視されているものの、短期的には手掛かり材料難。たとえば、本日は米経済指標として4月の貿易収支が発表されるが、それほど高い関心をもって臨む向きは多くない。ただ、米国のサキ報道官が「バイデン氏は7日か8日にインフラ計画めぐり共和上院議員と再協議を行う」と発言しており、こちらの行方を警戒する声が一部で聞かれていた。

テクニカルに見た場合、ドル/円は過去1週間ほど推移していた109.30-110.30円といったレンジを一時下回ったものの、下値は109.18円まで。その後の動きをみると、従来のレンジを10数ポイント程度広げただけに終わったと考えられる。よって、今度は109.20-103.30円といったレンジをめぐる攻防にまずは注目で、次こそしっかりとした方向性の構築が期待されている。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料は、4月の貿易収支などいくつかの米経済指標が発表されるほか、米財務省による3年債入札も予定されており、それらは一応要注意。ただ、全体を通せばやや材料に乏しいようで、週末に向けた材料をにらみつつもエネルギーを蓄積する動きとなる可能性もある。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.10-109.90円。先週末に110円レベルを下回ったのち、上値がかなり重くなりつつあるようだ。目先は昨日高値109.63円が抵抗で、超えれば再び110円台回復がみえてくる。
対するドル安・円高方向は昨日安値であり、NY時間以降ドルの下値を支え続けている109.20円前後の攻防に注目。しっかり割り込むようだと、109円がターゲットとなりそうだ。

基本はレンジ継続、109円台での往来相場か

ドル円日足

※ポイント要約は編集部

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