108円台後半で揉み合う、5月13日からの右肩下がりの流れ続く
〇ドル円、25日夕安値108.55をつけ夜に109.06まで戻した後反落し26日未明に108.69へ下落
〇米長期債利回りは米連銀当局者の発言や米経済指標がさえずに低下、為替市場はドル安反応
〇米財務省が600億ドルの2年債入札を行い、需要は堅調に、需給も確りし利回り低下をもたらす
〇米連銀高官テーパリング議論が始まることを認めるも金融緩和継続姿勢を強調
〇109.06を超えないうちは一段安警戒、108.55割れから108.32試しからの108円試しへ
〇109.06超えから109.33試しへ、109.20以上は反落注意
【概況】
ドル円は5月25日夕安値で108.55円を付けて5月19日に仮想通貨市場が暴落的な下げとなって金融市場全般が乱調な展開となったところで付けた19日深夜安値108.56円をわずかに割り込んだ。25日夜にはいったん109.06円まで戻して22日未明高値109.00円をわずかに超えたが深夜から再び反落して26日未明には108.69円へ下落、その後も108.70円台中心の下げ渋り程度にとどまった動きとなっている。
5月19日安値をわずかながら割り込んだこと、25日夜の高値も19日夜高値109.33円には届かない範囲にとどまって失速したことにより、現状は108.50円台を下値支持線としつつ、5月13日午前高値109.78円から19日夜高値109.33円、さらに25日夜高値109.06円へと戻り高値の切り下がった状況にある。5月7日夜の米雇用統計がさえなかったことで付けた安値108.32円及び5月11日夜安値108.34円によるダブル底ラインはまだ割り込んでいないものの底割れへの余裕が乏しくなっている。
【米長期債利回りは5月13日からの低下傾向続く】
5月25日に米長期債利回りは米連銀当局者の発言や米経済指標がさえなかったことで低下したために為替市場はユーロドルが3月31日以降の高値を更新する一段高となるなどドル安反応となり、ドル円も25日夜に小反発したものの失速下。
指標の米10年債利回りは前日比0.04%低下の1.56%で5月10日以来の低水準、米30年債利回りも同0.05%低下の2.25%となった。米10年債利回りは5月7日の米4月雇用統計が予想を大幅に下回る就業者増加にとどまり失業率が予想外に悪化したことで一時1.46%まで急低下したところから持ち直しに入って5月13日には1.740%まで戻し、その過程でドル円も上昇した。しかし5月13日以降は低下傾向に入り、5月19日にいったん小反発したところから低下を再開して1.60%を割り込んでからも続落しており、この米長期債利回り低下傾向を背景にドル円も5月13日からの下落基調が続いている。
米財務省は5月25日に600億ドルの2年債入札を行ったが応札倍率は2.74倍で需要は堅調だった。国債の大量発行が続く中で応札が不調となると債券需給の弛みから長期債利回りの上昇を招きかねないが、最近の大量入札は概ね堅調に消化されており、債券需給も確りしていることから利回り低下をもたらしている。
NYダウは前日比81.52ドル安で4日ぶりの反落となったが下げ幅は小幅にとどまった。ナスダック総合指数は4.00ポイント安と小安かったが、米長期債利回り低下に支えられた。長期債利回り低下によりユーロドルが一段高したほか、ポンドは冴えなかったが豪ドルやNZドルが上昇、南アランドは対ドルで昨年4月底以降の最高値を更新してドル安感が強まった。
メジャー通貨の加重平均であるドル指数は25日に89.53ポイントへ下げて1月6日安値59.21ポイントに迫っている。ドル指数の1月6日安値からの反騰と3月31日高値からの下落は、ドル円の1月6日底からの反騰と3月31日からの下落と同調している。
【米連銀高官はテーパリング議論を急がず、米経済指標も過熱感が後退】
5月25日は米連銀高官の発言も相次いだが、おおむねテーパリング議論が始まることを認めつつも物価上昇の上ブレを一時的なものとして金融緩和継続姿勢を強調するものが多かった。クラリダ米連銀副議長は「需給がどう均衡するのかよりはっきりと把握するには時間がかかる」「インフレ率の上昇は概ね一時的との基本的な見方を維持している」「将来の量的緩和縮小に向けた議論の可能性はデータ次第」とした。米シカゴ連銀のエバンズ総裁は「インフレ率の上昇は一過性の影響」として金融政策変更の必要性については否定的な姿勢を示した。米サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は「テーパリングに関する議論を検討中」と述べたが、「現時点では金融政策は極めて適切」「大きな動きはまだ見られない」「量的緩和の役目が終わったと判断するのは時期尚早」と述べている。
5月25日夜に発表された米商務省による4月の新築一戸建て住宅販売件数(年換算)は前月比5.9%減の86万3000戸となり市場予想(の97万戸を下回った。前年同月比は48.3%増だが昨年4月のコロナショック不況時との対比のために数字が大きくなっている。販売価格中央値は前月比11.4%上昇の37万2400ドル。
米コンファレンス・ボードが発表した5月消費者信頼感指数は117.2で4月の117.5から小幅低下し、市場予想の119.2を下回った。最近の米経済指標は予想を下回ることも多く、景気過熱によるテーパリング議論の前倒し懸念をやや後退させることが続いている。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、5月19日深夜安値を前回のサイクルボトム、20日午前高値を同サイクルトップとして弱気サイクル入りしてきたが、25日夕に安値を若干更新してからいったん戻したため25日夕安値で直近のサイクルボトムを付けたと思われる。トップ形成期は25日夜から27日の日中にかけての間と想定されるので既に25日夜高値でサイクルトップを付けた可能性がある。25日夕安値割れ回避のうちは上昇余地ありとするが、25日夕安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして28日午後から6月1日夕にかけての間への下落が想定される。
60分足の一目均衡表では108円台後半中心の持ち合いのため方向感に欠ける。このため25日夜高値超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、25日夕安値割れからは一段安入りとなるため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は持ち合い中のため50ポイントを挟んだ揉み合いの推移となっている。60ポイント超えからは上昇再開の可能性を優先するが、40ポイント割れからは一段安を警戒する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月25日夕安値108.55円を下値支持線、25日夜高値109.06円を上値抵抗線とする。
(2)25日夜高値を超えないうちは一段安警戒とし、25日夕安値割れからは5月7日夜安値108.32円試し、さらに108円試しへ向かう流れとみる。108.25円以下は反騰注意とするが、108.75円以下での推移なら27日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)109.06円超えからは19日夜高値109.33円試しへ向かうとみるが、109.20円以上は反落注意とする。米長期債利回りの急上昇等によるドル高再燃とならないうちは109円台序盤では戻り売りにつかまりやすいとみる。
【当面の主な予定】
5/26(水)
休場、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア(仏誕節・釈迦生誕日)
11:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行(RBNZ、NZ中銀)政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
09:30 (豪) 4月 ウエストパック景気先行指数 前月比 (3月 0.38%)
14:00 (日) 3月 景気先行指数CI改定値 (速報 103.2)
14:00 (日) 3月 景気一致指数CI改定値 (速報 93.1)
18:00 (仏) ヴィルロワ・ド・ガロー仏中銀総裁、仏議会証言
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省5年債、2年物変動利付債入札
5/27(木)
10:30 (豪) 1-3月期 民間設備投資 前期比 (10-12月 3.0%、予想 2.1%)
15:00 (独) 6月 GFK消費者信頼感 (5月 -8.8、予想 -5.2)
18:45 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
20:00 (英) ブリハ英中銀委員、講演
21:30 (米) 4月 耐久財受注 前月比 (3月 0.5%、予想 0.8%)
21:30 (米) 4月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (3月 1.6%、予想 0.7%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 44.4万件、予想 42.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 375.1万人)
21:30 (米) 1-3月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 6.4%、予想 6.5%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 10.7%、予想 10.9%)
21:30 (米) 1-3月期 アPCE改定値 前期比年率 (速報 2.3%、予想 2.3%)
23:00 (米) 4月 住宅販売保留指数 前月比 (3月 1.9%、予想 0.8%)
23:00 (米) 4月 住宅販売保留指数 前年同月比 (3月 25.3%)
26:00 米財務省7年債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2021.05.26
ドル円、新規材料に乏しい中、108円台後半で方向感に欠ける展開(5/26朝)
25日(火)のドル円相場は方向感に欠ける展開。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。