今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、その直前2週が連続で大幅安となったこともあり、週前半こそ新安値を追いかける形となったものの、週後半はここまでの下げに対する調整局面入りを感じさせる週となりました。下値追い自体には新規の材料は無く、前週までの流れを継続するテクニカルな要因が強かったと思います。
編集人K氏がチャートの形をラクダに例えた説明があるとのコラムを書かれていましたが、3週前の下げ以降は多くのテクニカルでユーロドルを売る動きが出たことは間違いありません。しかし、シカゴ通貨先物のポジション的にはピークからは減っているとは言うもののユーロ買いは依然高水準で、多くの参加者が長期目線でユーロ買いを持ち続けていることがわかります。
そうしたところに出てきたのがイタリアの連立協議前進です。これまで最大議席を有する5つ星運動と最大の派閥である中道右派を中心に話が進められてきましたが、難航した上にマッタレッラ大統領も調整を諦め7月にも再選挙の可能性が高まったのが先週半ばまでの状況でした。しかし、5つ星運動と中道右派内での最大派閥である同盟は、連立協議をあきらめず、両党以外から首相を出し、反EU路線を抑えることで連立政権を作る妥協案を模索しました。
議席数的には、以下のようになっています。
上院(元老院)総議席315 5つ星112+同盟58=170
下院(代議員)総議席630 5つ星227+同盟125=352
こうして見ると上下院ともに過半数を超えているのですが、同盟は最大派閥である中道右派として選挙戦を戦ってきたこともあって、自分たちだけ抜けて連立政権というわけにはいかないようです。そこで、中道右派で同盟に次ぐベルルスコーニ元首相が率いるフォルツアを説得するにあたって、同党から首相を出す話し合いがされていたのではないかと考えられます。
これまで、5つ星も同盟も双方の党首が首相になることをよしとはしてこなかったこともあり、政策的にソフト路線に譲歩しつつ再選挙を避けたいと言ったところで、最終的には大統領が両党が推薦する首相を指名するかどうかという流れです。ただ、マッタレッラ大統領は最終権限は大統領にあり両党が提案する人物を受け入れる義務はないと不穏な発言もしています。ただ、5つ星も同盟もイタリア国内では第1党、第2党なわけですから、国民の声が強ければドイツの時と同様に折衷案連立が成立する可能性は高いでしょう。
この結果は早ければ今日にも出て来ることを考えると、これまで大きく下げてきたこともありますし、バイアス的にはユーロ買いで入りやすい週になるのではないかと考えられます。
チャートも見てみましょう。
*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
テクニカルにもユーロドルは4月高値1.2414から先週の安値1.1823まで591pipsもの下げを演じました。材料的に既に先週で安値を見たと考えると、この下げに対する38.2%戻しにあたる1.2048はターゲットとして十分にあり得ますし、動き次第では更に上の可能性もあり得ます。まだイタリア情勢がわかりませんので、ニュートラルに1.18台では買いが出やすい、38.2%戻しと重なる1.20台半ばでは売りも出やすいといった考え方で良いと思います。今週は、1.1850レベルをサポートに、1.2050レベルをレジスタンスとする流れを見ながら、イタリア連立協議の進展を見守りたいと思います。
今週のコラム
今週は「アストロチャート」の話です。アストロチャートは、名前の通り金融占星術をベースに、値幅や日柄を分析する手法です。ここ数年更新をしていませんでしたが、GW以降、週次〜隔週ていどのペースで主要な通貨ペアやコモディティのチャート更新を再開しました。
ここではユーロドルを例に見てみましょう。
ユーロドル アストロカレンダー
メインチャートには曲線や色のついたローソク足が目立ちますね。この曲線は天体位置から計算した価格で、サポートやレジスタンスとなりやすい水準を示しています。また水色のローソク足はその前後1営業日に同じレートとなりやすい日柄を示しています。どちらも未来に渡って示されていますので、普段お使いのテクニカル分析と併せて利用すると思いのほか良い結果が得られるかもしれません。
サブチャートにも色々なラインが引かれていますが、興味を持たれた方はアセンダントのホームページ(www.ascendant.jp)にチャートの見方が出ていますので、そちらをご覧いただければと思います。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
5月14日(月)
15:30 フランス中銀総裁講演
19:00 メルシュECB理事講演
19:15 ラウテンシュレーガーECB理事講演
20:45 プラートECB理事講演
5月15日(火)
15:00 ドイツ1〜3月期GDP速報値
17:30 英国4月失業率
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP改定値
18:00 ユーロ圏5月ZEW景気期待指数
18:00 ドイツ5月ZEW景気期待指数
18:00 ユーロ圏3月鉱工業生産
5月16日(水)
15:00 ドイツ4月CPI確報値
18:00 ユーロ圏CPI確報値
5月17日(木)
**:** EU首脳会議
5月18日(金)
17:00 ユーロ圏3月貿易収支
前週のユーロレンジ
始値 高値 安値 終値
ユーロドル 1.1957 1.1978 1.1823 1.1940
ユーロ円 130.45 130.76 129.24 130.60
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週のユーロ
5月7日(月)
ゴールデンウィーク明けのユーロドルは、株価の動きに沿ったリスクオン・オフのドルの動きとなりました。NY市場朝方まではユーロ売り・ドル買いが目立ち、一時1.18台へ入ったものの引けにかけては1.19台前半へと戻す動き。ただ、LDN市場が休場となったこともあり取引自体は終始低調なままとなっていました。
5月8日(火)
ユーロドルは東京市場では動きが見られませんでしたが、欧州市場に入りイタリア再選挙懸念からユーロ売りとなり、前日安値を下回るとストップオーダーも出て、NY市場の朝方には1.1838レベルと安値を更新、引けにかけては若干戻してのクローズとユーロが各通貨に対して売られる一日となりました。
5月10日(木)
ユーロドルは、NY市場までじり高の動きが続き、米国CPIが予想よりも弱かったことがきっかけとなったドル売りの動きから1.19台半ばへと水準を切り上げました。引けにかけては、いったん押しが入ったもののドル売りの動きが根強く高値圏での引けとなりました。
5月11日(金)
ユーロドルは、東京市場では上値が重たい流れとなっていたものの、欧州市場に入り5つ星と同盟による連立協議が前進し連立政権の可能性が見えてきたことからユーロ買いの動きとなりました。欧州市場序盤には1.18台後半の水準で入ったものの、1.19台半ばへと水準を切り上げそのまま高値圏での週末クローズとなりました。
ディスクレーマー
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