「石破ショック」の影響を見極める展開、雲上限での攻防に
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、中国の大規模な金融緩和政策発表に伴うリスクオンの流れを受けて、買い優勢となったが、週末の「石破ショック」により上昇分をほぼ吐き出す格好となった。
中国人民銀行は、短期金利引き下げなどを含めた追加の金融緩和及び規制緩和を発表。大規模な中国当局による金融緩和政策を好感し、上海総合指数や香港ハンセン指数が急騰したほか、中国で事業展開する様々な銘柄も上昇するなど世界的にリスクオン再開となり、円は主要通貨に対して売り優勢の展開に。
週末、自民党総裁選の第1回投票で財政積極派の高市早苗氏がトップとなったことで、円売り・日本株買いが加速。円の下落ピッチは強まり、日経平均は大引けにかけて上げ幅を拡大し40000円に迫る動きを見せたことから、ランドは7月23日以来の8.5円台まで買われた。
ただ、決戦投票の結果、金融所得課税に前向きな石破茂氏が第28代自民党総裁に選出された瞬間、円は主要通貨に対して急騰し、先物市場では日経平均先物が通常終値比2000円超の急落。「高市トレード」の巻き戻しが一気に進むなか、ランドは8.3円水準と週初の水準まで下落した。
ランド・円(東京時間:9月23日―9月27日)※Investing.comの日足を参照
始値:8.2625円
高値:8.5077円
安値:8.2163円
終値:8.3062円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
9月26日
18時30分、8月生産者物価指数(PPI)(前月比)、前回:−0.2%、結果:−0.3%
18時30分、8月生産者物価指数(PPI)(前年比)、前回:4.2%、結果:2.8%
9月30日
15時00分、8月マネーサプライM3、前回:5.88%
21時00分、8月貿易収支、前回:176億ランド
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、不安定な円相場など外部環境に翻弄される展開となりそうだ。9月26日に発表された8月PPIが8月CPI同様、順調に低下しディスインフレの流れが確認できたことは一定の安心材料となりそうだが、「石破ショック」の影響を見極める必要はある。
週末に誕生した石破自民党新総裁は、「1億円の壁」解消に向けた金融所得課税の強化に前向きな発言を行っていることで、日本の株式市場は警戒感を強めている。週明けの東京市場は2000円超の急落でスタートする公算が大きく、8月5日のような暴落を警戒するムードが強い。また、株安と同時にリスク回避の円買いも加速することで、ランドは対円で売り優勢となる可能性がある。
一方、テクニカルでは、日足の一目均衡表の雲上限や8月戻り高値水準で下げ止まっている。大陰線を残したことで急落への警戒はまだ残っているが、強いトレンドは維持していると言えよう。荒い円相場に翻弄されつつも、ディスインフレへの期待感や主要国による米中欧による利下げに伴う投資資金流入期待などがランドの下支えとなり、しっかりとした推移となる可能性はある。雲上限水準を下値サポートとして、もみ合い相場となるか注目したい。
南アフリカランド円日足
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