中銀イベントで思惑先行の地合いに、SARB声明次第では8.1円水準のリバウンドも
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、17−18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)や19日の南アフリカ準備銀行(SARB)理事会、19−20日の日銀金融政策決定会合の開催を前に様子見姿勢が強まり8円手前でのもみ合いとなった。
10日に発表された7月製造業生産高は前年比2.1%と前回の同−0.4%や市場予想の同1.1%を上回る内容となったが、ランドへの影響は限定的となった。FOMCとSARBでは利下げ実施の公算が大きい一方、日銀会合は金融政策の現状維持が見込まれているが、年内の追加利上げ実施への思惑が強まるなど、中銀会合開催を前に様々な思惑が錯綜。
ドルが対円で年初来安値を更新するなどドル・円は活発な動きが見られたものの、それ以外の通貨は様子見姿勢の強い展開となった。積極的な売買が手控えられたことからランドは8円手前での小動き推移となった。
ランド・円(東京時間:9月9日―9月13日)
※Investing.comの日足を参照
始値:7.9673円
高値:8.0552円
安値:7.8552円
終値:7.9235円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
9月10日
20時00分、7月製造業生産高(前月比)、前回:−0.4%、市場予想:1.1%、結果:2.1%
9月18日
17時00分、8月消費者物価指数(前月比)、前回:0.4%、市場予想:0.2%
17時00分、8月消費者物価指数(前年比)、前回:4.6%、市場予想:4.5%
17時00分、8月消費者物価指数(前月比、コア)、前回:0.3%、市場予想:0.1%
17時00分、8月消費者物価指数(前年比、コア)、前回:4.3%、市場予想:4.2%
20時00分、7月小売売上高(前年比)、前回:4.1%、市場予想:2.8%
9月19日
未定、政策金利、前回:8.25%、市場予想:8.00%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、消費者物価指数や小売売上高といった重要経済指標の発表を控えているが、SARB理事会での声明内容に関心が向かう展開となろう。
市場では19日に開催される金融政策決定会合にてSARBが0.25%の利下げを実施する公算が大きく、年末にはもう一回の利下げ実施(0.25%)が見込まれている。国際通貨基金(IMF)から「大胆な財政再建を水準し、財政の持続可能性を回復する必要がある」との見解が示されたこともあり、SARBは足元のインフレ鈍化に伴い、まずは景気後退観測の払しょくを先行するだろう。
9月会合声明にて、インフレ鈍化に伴い、年内そして25年にかけての政策金利見通しを明確にする可能性はある。ドルや円の動向も警戒する必要はあるが、SARB理事会への期待感がランドの下支えとなるだろう。
テクニカルでは、8月5日に長い下影(下ヒゲ)を残した後、いったん8.3円水準で反発は一服。日足の一目均衡表では、基準線、転換線ともに横ばいとなり下向きのトレンドは弱まったと考える。遅行スパンがまだ実線でもみ合っていることで反発基調が強まるようなムードはないが、雲下限が8.1円水準まで下がってくることから、投資家心理は改善に向かうだろう。
今週は中銀イベントで思惑先行の展開となりやすいが、SARB理事会への期待感及び声明内容が評価される結果であれば、雲下限を意識した反発も期待できよう。
南アフリカランド円日足
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