5日以降の戻り高値切り下がり基調続き最安値更新へ余裕乏しい
〇トルコ円、ドル円追いかけ9/11未明に4.17まで下げて最安値に近づく
〇今夜の米CPIを受けドル円一段安の場合、トルコ円も追いかける可能性に注意
〇対ドル、9/10は概ね34.11から33.85の取引レンジ
〇下げ渋り持ち合い中だが、2日連続で終値34リラ台つける
〇トルコ鉱工業生産は前年比で2か月連続のマイナス
〇4.16割れからは4.14、4.12を順次試して行く下落を想定
〇4.20から4.22にかけては戻り売り有利とするが、4.22超えからは4.24前後への上昇を想定
【概況】
トルコリラ円の9月10日は概ね4.22円から4.17円の取引レンジ、11日早朝の終値は4.18円で前日終値の4.20円から0.02円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラが8月28日に34.41リラへ取引時間中の最安値を大幅に更新した後を34リラを挟んだ持ち合いで下げ渋る中、トルコリラ円はドル円を追いかける展開を続けている。
ドル円は9月6日の米8月雇用統計が強弱まちまちの内容となり為替市場が乱調となる中で143.89円まで戻してから141.76円へ一段安したが、9日夜に143.79円、10日夕にも143.70円まで戻したものの6日夜の乱高下時高値を超えられずに上値が重く11日未明には142円台序盤へ失速しており143円を挟んでやや乱調な揉み合いにつかまっている。
トルコリラ円は9月6日にドル円が乱高下した際に4.23円へ上昇してから4.17円へ下落し、8月28日午前の一時的急落時に付けた取引時間中の史上最安値4.16円に迫ったものの安値更新を回避したが(※ベンダーによっては9日朝に4.12円や4.14円を付けて史上最安値を更新しているところも見られる)、9日夜と10日夕に4.22円へ戻したものの6日夜高値には届かずに11日未明には4.17円まで再び下げて最安値更新への余裕が乏しくなっている。
今夜は米8月CPI上昇率の発表があり、コア指数の前年同月比は前月と同じ3.2%と見込まれているものの、全体では7月の2.9%から2.6%へ鈍化すると見込まれており、内容次第ではドル円が一段安へ向かいトルコリラ円も追いかける可能性があると注意したい。強気転換には戻り高値切り下がり基調から抜け出す上昇が必要と思われる。
【ドル/トルコリラは下げ渋り持ち合い中だが、2日連続で終値34リラ台】
ドル/トルコリラの9月10日は概ね34.11リラから33.85リラの取引レンジ、11日早朝の終値は34.03リラで前日終値の34.04リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
8月28日に34.41リラへ取引時間中の最安値を大幅に更新し、日足終値ベースでは8月30日終値34.07リラを最安値とし、9月2日から6日までは繰り返し安値で34リラ台を付けながら終値で34リラを下回っての推移を続けてきたものの、9日と10日は終値で34リラ台をつけている。最安値更新を回避しつつ34リラを挟んだ持ち合いは継続しているものの先安感そのものは変わらないため、終値での34リラ台がさらに続き始めて日々の安値で34.20リラを超えてくる場合は史上最安値への挑戦が始まった可能性を警戒すべきと思われる。
【トルコ鉱工業生産は前年比で2か月連続のマイナス】
9月10日に発表された7月のトルコ鉱工業生産は前月比0.4%増となり6月の2.4%減(2.1%減から下方修正)を上回ったものの、前年同月比は3.9%減で6月の5.0%減(4.7%減から下方修正)に続きマイナス圏に留まった。
前年同月比は今年2月の11.1%増から悪化してきたが、今年2月の増加は2023年2月6日のトルコ・シリア大地震の影響によるベース効果に過ぎず、2021年4月に66.8%増と大幅上昇したところをピークとして2023年2月の8.8%減へ悪化した後は最低を更新していないものの軟調さが続いている。
トルコの7月失業率は8.8%となり6月の9.2%から改善したものの高水準にとどまっている。今年5月の8.5%で2023年10月と同水準として2020年7月の14.1%以降の最低としたものの低下傾向に歯止めがかかっている。インフレは鈍化したとはいえ異常な高インフレ状態に変わりなく、リラ安と高金利、増税、緊縮財政による景気低調さが企業経営を圧迫しており今年の企業倒産件数も前年を大幅に上回るペースで進んでいる。
トルコ商工会議所・商品取引所連合によると、今年1月から7月までの間に約1万5000社の企業が倒産しており前年同期比では28%増加したという。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラの概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月9日朝に安値を更新してから6日夜高値へ迫ったため、9日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして10日の日中から12日夜にかけての間への上昇を想定し、6日夜高値を超えずに4.18円を割り込む場合は下落再開を警戒して9日朝安値割れからは弱気サイクル入りとした。
9日夜と10日夕へ戻したところでは戻り高値が切り下がり11日未明にかけて下落したため、すでに9日夜高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたと思われる。ボトム形成期は12日朝から16日朝にかけての間とし、強気転換は9日夜高値を上抜くところからとする。
60分足の一目均衡表では4.20円を挟んだ揉み合いながら11日未明への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しているので一段安警戒とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とし、強気転換は両スパン揃って好転するところからとする。
60分足の相対力指数は9月10日夕に60ポイント近辺へ戻してから40ポイント割れへ失速してその後も40ポイント近辺に留まっているので20ポイント台への低下余地ありとみる。強気転換には55ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持して高値を切り上げる上昇が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.16円を下値支持線、4.22円を上値抵抗線とする。
(2)4.16円割れからは4.14円、4.12円を順次試して行く下落を想定する。4.14円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、4.18円以下での推移が続く内は12日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)4.20円から4.22円にかけては戻り売り有利とするが、4.22円超えからは4.24円前後への上昇を想定、4.22円を超えた後も4.20円台を維持する場合は12日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
9月11日
16:00 7月 小売売上高 前月比 (6月 1.7%)
16:00 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 8.6%)
9月12日
16:00 7月 経常収支 (6月 +4.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9月6日時点 グロス (8月30日時点 893.3億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9月6日時点 ネット (8月30日時点 408.9億ドル)
9月13日
16:00 9月 トルコ中銀ビジネスサーベイ(年末CPI、ドル/トルコリラ予想集計)
9月16日
17:00 8月 財政収支 (7月 967.8億リラ)
9月19日
20:00 トルコ中銀 政策金利・週間レポレート (現行 50.0%、予想 50.0%)
20:30 週次 外貨準備高 9月13日時点
注:ポイント要約は編集部
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.10.12
南アランド円週報:『約2カ月半ぶり高値圏へと急上昇。上昇トレンドの継続を想定』(10/12朝)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、9/11に記録した安値7.85円をボトムに切り返すと、週末にかけて、約2カ月半ぶり高値8.58円まで上昇しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.10.12
トルコリラ円週報:『約1ヵ月半ぶり高値を更新。来週はトルコ中銀会合に注目』(10/12朝)
トルコリラの対円相場は9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、今週半ばにかけて、約1カ月半ぶり高値となる4.37円まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.10.12
来週の為替相場見通し:『ドル円は約2カ月ぶり高値を更新。心理的節目150.00が射程圏内』(10/12朝)
ドル円は9/16に記録した安値139.58をボトムに切り返すと、週後半にかけて、約2カ月ぶり高値となる149.57まで上昇しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2024.09.12
トルコリラ円見通し 史上最安値更新後にドル円の反騰で持ち直す(24/9/12)
トルコリラ円の9月11日は概ね4.19円から4.13円の取引レンジ、12日早朝の終値は4.19円で前日終値の4.18円から0.01円の円安リラ高だった。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2024.09.10
トルコリラ円見通し ドル円の乱調さを見ながらの騰落、最安値近辺での推移続く(24/9/10)
トルコリラ円の9月9日は概ね4.22円から4.16円の取引レンジ、10日早朝の終値は4.20円で先週末終値の4.22円からは0.02円の円高リラ安だった。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。