『来週はトルコ中銀会合に注目。実質金利のマイナス幅縮小がリラを下支え』
〇今週のトルコ円、トルコ失業率悪化、中東情勢緊迫化等に週央4.35まで下落
〇売り一巡後はドル円急反発等に4.45まで反発、4.39前後で推移
〇トルコ円、テクニカルの地合い回復が期待される状況
〇ファンダメンタルズもトルコ実質金利上昇、トルコアセットへの資金流入期待等がトルコ円をサポート
〇引き続き、トルコリラ円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.30ー4.60
今週のレビュー(8/12−8/16)
今週のトルコリラ円相場は、週初4.37円で寄り付いた後、(1)トルコ6月失業率(結果9.2%、前回8.4%)の大幅悪化や、(2)中東情勢緊迫化に端を発した地政学的リスクの高まり(一部メディアによる「ハマスがイスラエルの都市テルアビブにロケット弾で攻撃した」「テルアビブで爆発音が聞こえた」との観測報道)、(3)米7月生産者物価指数(結果+2.2%、予想+2.3%)および、米7月コア生産者物価指数(結果+2.4%、予想+2.6%)の市場予想を下回る結果(ドル円下落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週央にかけて、週間安値4.35円まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)トルコ6月経常収支(結果4.1億ドル黒字、予想2.5億ドル黒字)の市場予想を上回る結果や、(5)トルコ主要株価指数の堅調推移、(6)ドル円相場の急上昇(良好な米経済指標を背景に米ハードランディング懸念が後退→米FRBによる大幅利下げ観測後退→米金利上昇→ドル円急伸→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値4.45円まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/17午前0時00分現在)では、4.39円前後で推移しております。
来週の見通し(8/19−8/23)
トルコリラの対円相場は、8/5に記録した史上最安値4.24円をボトムに切り返すと、今週後半にかけて、一時4.45円まで反発しました。日足ローソク足が一目均衡表転換線を上抜けしたこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いの回復(下落トレンドの一服)が期待されます(※但し、対ドル相場は依然として史上最安値更新の流れが継続中)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコリラと日本円の金利差に着目した円キャリートレードの再開期待(日銀による追加利上げ観測が後退する一方、トルコ中銀は引き締めスタンス継続の意向を示唆→トルコリラと日本円の金利差は当面縮まらないとの見方から円キャリートレード再構築に妙味)や、(2)実質金利上昇に伴うリラ買い圧力(先週発表されたトルコのインフレ指標は前月比で大幅鈍化→高インフレ沈静化と金融引き締め継続の組み合わせは実質金利のマイナス幅縮小を通じてトルコリラに上昇圧力)、(3)外国人投資家によるトルコアセットへの資金流入期待(トルコ政府・トルコ中銀の正常化政策を好感する形で格付け各社がトルコの格上げを決定している他、資産運用大手もトルコアセットの保有を積極化→外国人投資家による資金流入期待)、
(4)リスクオンの再開期待(先月末から今月初にかけて発生した金融市場の大混乱が沈静化→リスクオン再開に伴う新興国通貨買い)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。来週予定されているトルコ中銀会合でも政策金利の据え置き(現行の50.0%を5ヵ月連続で据え置き決定)が見込まれている他、声明文でも引き締め姿勢の継続が強調されると予測されるため、当方では引き続き、トルコリラ円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.30ー4.60
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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