年内再利下げ観測が重しに、90円手前でのもみ合いか
【今週のNZドル】
今週のNZドルは、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)が0.25%の利下げを実施したが影響は限定的。円全面高一服など需給面の落着きを材料にじりじりとした反発となった。
RBNZは、14日に開催した定例の金融政策委員会において政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)を5.50%から5.25%に引き下げた。利下げ実施はコロナ禍以降初めてで、利下げは4年ぶりとなる。7月の定例会合にて、「インフレが予想通りに鈍化すれば、制約的な金融政策を徐々に緩和する可能性がある」ことを示唆しており、「ハト派」なムードは非常に強まっていた。
市場予想は据え置きと利下げがほぼ半々だったこともあり、影響は限定的。経済的なつながりが強いオーストラリアの経済指標などが強かったことで豪ドルは上昇。NZドルもその動きにつられ89円台まで反発した。なお、前日の13日朝方、81円まで急落する場面があったが、瞬間的だったこともありミスプライスとの見方。
NZドル・円(東京時間:8月12日―8月16日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値:88円12銭
高値:89円57銭
安値:81円16銭
終値:89円32銭
【今週と来週の重要指標】※時間は東京時間
8月14日
11時00分、NZ中銀政策金利、前回:5.50%、市場予想:5.50%、結果:5.25%
8月16日
7時45分、第2四半期生産者物価指数、前回:0.9%、結果:1.1%
8月20日
7時45分、7月貿易収支、前回:6.99億NZドル
8月23日
7時45分、第2四半期小売売上高(前期比)、前回:0.5%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週のNZドルは、円全面高が一服したことから反発継続となりそうだが、RBNZのハト派方針を受けて戻りは鈍くなりそうだ。
RBNZ会合後に公表した声明文では、物価動向について「目標域に戻りつつある」とした上で、「先進国景気はトレンドを下回るなかでインフレは鈍化しており、一部中銀は利下げを始めるなかで輸入インフレはコロナ禍前の水準に低下している」と利下げを決定した。
先行きの政策運営については「国内のインフレ圧力の後退を確実にすべく当面は引き締め姿勢を維持する必要がある」「緩和ペースについては企業の価格決定行動が低インフレ環境に適応するとともに、インフレ期待が2%近傍に留まるとの委員会の確信に拠る」との考えを改めて強調したが、金融政策報告で示された具体的なOCR見通しを「2024年末に4.92%、2025年末に3.85%、2026年9月末に2.98%」と5月時点(2024年末に5.65%、2025年末に5.14%)から大幅に下方修正した。
RBNZがハト派に傾いていることは明白で、年内にも追加利下げの可能性が意識されていることから、NZドルが対主要通貨に対して弱い動きを示すと考える。強い豪ドルが下支えとはなりそうだが、戻りは鈍くなるだろう。
日足の一目均衡表では、5日に長い下影を残した後は反発を強めていたが、90円手前で戻りは一服している。下向きの基準線は自然体で上回る公算は大きいが、92円水準の200日移動平均線まで戻すのは難しいか。NZドルが急落するような地合いは想定していないが、90円手前での横ばい推移となりそうだ。
NZドル円日足
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