リバウンド優勢だが、NZ中銀会合での「ハト派」懸念で戻りは鈍いか
【今週のNZドル】
今週のNZドルは、円が主要通貨に対して大幅高となったことから、NZドルは2023年6月以来の83円台まで急落したが、経済的なつながりの強い豪ドルが強気なオーストラリア準備銀行(豪中銀、RBA)の姿勢を示したことで反発。NZドルもつられる展開となり88円台まで値を戻した。
週初の5日、東京株式市場では日経平均が史上最大の下落幅を記録するなどアジア株は総じて急落。為替市場ではリスク回避の円買いが強まり、円は主要通貨に対して大幅高となったことで、NZドルは83円07銭と23年6月以来の水準まで急落した。
一方、豪中銀は、6日に開催された政策決定会合で、政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レートの誘導目標を6会合連続となる4.35%に据え置くと決定。声明では「インフレ率が持続的に目標レンジに近づいていると政策委員会が確信を得るまで、政策は十分に景気抑制的でなければならない」と説明したことから、豪中銀のタカ派姿勢が確認できたことで豪ドルはリバウンド優勢となった。経済的なつながりが強い豪ドルの動きにNZドルは引っ張られたことから、週末には88円台まで値を戻した。
ただ、ニュージーランド準備銀行(NZ中銀)が8日に公表した四半期調査では、第3四半期の期待インフレ率が3年ぶりの低水準となった。第3四半期は、2年後の期待インフレ率が2.03%と第2四半期の2.33%から低下。1年後の期待インフレ率も平均2.40%で、前回の2.73%から低下した。NZ中銀が設定しているインフレ率の目標(1−3%)の範囲内に収まっていることから利下げ観測が強まる恰好に。NZドルの戻りは豪ドル比では弱くなった。
NZドル・円(東京時間:8月5日―8月9日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値:87円50銭
高値:88円98銭
安値:83円07銭
終値:88円58銭
【今週と来週の重要指標】※時間は東京時間
8月7日
7時45分、第2四半期失業率、前回:4.4%、市場予想:4.6%、結果:4.6%
8月8日
12時00分、第3四半期2年インフレ予想、前回:2.3%、結果:2.0%
8月14日
11時00分、NZ中銀政策金利、前回:5.50%、市場予想:5.50%
8月16日
7時45分、第2四半期生産者物価指数、前回:0.9%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週のNZドルは、リバウンドを期待したいところだが、14日に予定されているNZ中銀の金融政策決定会合での声明が、7月の声明よりも「ハト派」となる公算が大きいことから戻りは鈍くなりそうだ。
7月10日に開催された前回の会合では、8会合連続でオフィシャル・キャッシュ・レートを5.5%に据え置いた。声明では、「インフレが予想通りに鈍化すれば、制約的な金融政策を徐々に緩和する可能性がある」ことを示唆するなど「ハト派」が意識される内容となった。5月の会合では、「政策が長期的に制約的なものに留まる見通しとしつつ、インフレが抑制されなければ利上げもありうる」と「タカ派」な内容だったことから、7月会合の「ハト派」に市場は反応し、NZドルは、ドルやユーロなど主要通貨が対円でピークをつけた7月11日よりも前の8日にピークをつけて下落していた。
8日に公表した期待インフレ率の四半期調査の結果を踏まえると、8月会合ではより「ハト派」な声明となりそうだ。強い豪ドルには引っ張られると考えるが、相対的には戻りは鈍くなる。
日足の一目均衡表では、5日に長い下影を残した後は陽線連発の反発。ただ、7日の戻り高値88円98銭を上回っていないことから、リバウンドの弱さも窺える。早い段階でこの戻り高値をクリアしたいところだが、来週のNZ中銀会合での「ハト派」懸念が強いことを考慮すると戻りは鈍くなろう。
NZドル円日足
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