トルコリラ円見通し ドル円の大幅続落と対ドルでリラの史上最安値更新で4.50円へ急落(24/8/1)

トルコリラ円の7月31日は概ね4.64円から4.50円の取引レンジ、8月1日早朝の終値は4.53円で前日終値の4.61円から0.08円の円高リラ安だった

トルコリラ円見通し ドル円の大幅続落と対ドルでリラの史上最安値更新で4.50円へ急落(24/8/1)

ドル円の大幅続落と対ドルでリラの史上最安値更新で4.50円へ急落

〇トルコ円、7/30深夜からのドル円急落を追いかけ、4.60を割り込む
〇その後の日銀総裁会見を受けたドル円一段安で4.51へ、FOMC後の円高継続で4.50へ続落
〇円高が落ち着いてもドル高リラ安が勢いを増す場合、一段安へ向かう可能性も
〇対ドル、7/31は概ね33.26から32.95の取引レンジ、取引時間中及び終値の史上最安値更新
〇7/31発表のトルコ6月貿易収支確報は赤字状況継続を示す
〇4.54から4.57手前にかけては売られやすいとみる
〇4.48割れからは4.45前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の7月31日は概ね4.64円から4.50円の取引レンジ、8月1日早朝の終値は4.53円で前日終値の4.61円から0.08円の円高リラ安だった。ドル円の大幅下落に加えてドル/トルコリラにおいてもリラが取引時間中及び終値ベースの最安値を更新したために7営業日続落となり、ベンダーによっては3月13日安値4.52円を割り込んで史上最安値を更新している。

ドル円は7月30日深夜に日銀が0.25%程度への利上げ検討に入ると報じられたことで急落し、31日昼過ぎに日銀の利上げと国債買い入れの減額計画が示されたことで151.59円へ下落し、午後の植田総裁会見で円安を考慮した利上げであり年内もデータ次第で利上げがあり得ると示唆したことで大幅続落となり31日深夜に150円を割り込んだ。8月1日早朝のFOMC直後にいったん戻してから再び150円を割り込み、1日9時台には149.50円台へ続落している。日米金融政策決定会合を通過したことで当面の円買いドル売りイベント通過として円高が落ち着いてもよいところだが、週末に米雇用統計も控えているためまだ波乱含みで推移しかねないところだ。

トルコリラ円はドル円の下落に合わせて7月3日高値4.98円から7月25日安値4.58円まで大幅下落してきたが、26日夜と30日午後に4.69円まで戻したところで上値が重くなり30日深夜からドル円が急落したのを追いかけて4.60円を割り込み、植田総裁会見からドル円が一段安する中で31日深夜に4.51円へ下落し、FOMC後の円高継続で4.50円へ続落した。
円高に加えてドル高リラ安も重なっているために、円高が落ち着けばいったん戻りを試すとしてもドル高リラ安が勢いを増す場合はドル円程には戻せずにその後に一段安へ向かうことも懸念される。

【対ドルで取引時間中及び終値の史上最安値更新】

ドル/トルコリラの7月31日は概ね33.26リラから32.95リラの取引レンジ、8月1日早朝の終値は33.14リラで前日終値の33.08リラから0.06リラのドル高リラ安だった。
7月17日に当時の取引時間中最安値を33.17リラへ更新してから7月23日高値32.57リラへいったん戻したものの、リラ売りの再開で7月25日以降は33.10リラ台の安値を繰り返し試し、7月30日終値33.08リラで7月16日終値33.05リラを超えて終値ベースの史上最安値を更新していたが、31日は33.26リラへ取引時間中の史上最安値を更新するとともに終値ベースの最安値も33.14リラへ大幅に更新した。

ムーディーズによるトルコの2段階格上げやトルコ中銀の政策金利50%維持による引き締め姿勢でのリラ買いは続かず、欧州や中国の景気鈍化によるトルコ輸出停滞への懸念やエルドアン大統領がイスラエルに対してレバノン侵攻なら軍事介入を辞さずとしたことで地政学的リスクが高まったことでリラ売り優勢の流れに入っている。
7月31日は高金利によりインフレ対策として活発化してきた不動産や自動車への投資が鈍っていることも指摘されている。
7月31日に発表されたトルコの6月貿易収支確報で貿易赤字は59億ドルとなり5月の65億ドルから減少したものの赤字状況が続いていることを示し、輸出は190.5億ドルで5月の240.7億ドルから減少、輸入も249.2億ドルで5月の305.7億ドルから減少した。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月25日夕安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして26日の日中から30日早朝にかけての間への上昇を想定していたが、7月26日夜へ高値を切り上げてから反落した後も戻り高値を切り下げて軟調推移となったために30日午前時点では26日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして30日夕から8月1日夜にかけての間への下落を想定した。
8月1日午前へ続落しているので引き続きボトム形成中とみるが、26日夜と30日午後の両高値をダブルトップ型としてボトム形成期が8月1日から5日にかけての間へ延びる可能性もあると注意する。強気転換は4.57円超えからとし、その際は8月2日午後から6日午後にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では7月30日深夜の急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。遅行スパン好転からはいったん戻しに入るとみるがその際は先行スパンの上下限が上値抵抗となるため、先行スパンを超えないうちは遅行スパンが悪化するところから下落再開とする。

60分足の相対力指数は7月31日夜の20ポイント近辺へ低下した後も40ポイント以下にとどまっているのでまだ一段安余地ありとするが、45ポイント超えから続伸の場合はいったん戻しに入る可能性があるとみて50ポイント台後半への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.48円を下値支持線、4.57円を上値抵抗線とする。
(2)4.54円から4.57円手前にかけては売られやすいとみる。
(3)4.48円割れからは4.45円前後への下落を想定する。4.45円以下は反騰注意とするが、4.53円以下での推移か直前安値から0.05円を超える反騰を見せないうちは2日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月1日
 16:00 7月 イスタンブール製造業PMI (6月 47.9)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 7月26日時点 (7月19日時点 947.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 7月26日時点 (7月19日時点 48.19億ドル)
8月5日
 16:00 7月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (6月 1.64%、予想 3.45%)
 16:00 7月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (6月 71.60%、予想 62.10%)
 16:00 7月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前月比 (6月 1.64%)
 16:00 7月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (6月 71.4%)
 16:00 7月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (6月 1.38%)
 16:00 7月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (6月 50.09%)


注:ポイント要約は編集部

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