ドル円の急落で6営業日続落、7月3日以降の安値更新
〇トルコリラ円、7/30深夜にドル円が急落したことで7/31早朝4.61まで下げ、7/25安値へ迫る
〇日米金融政策会合を通過するまでは、ドル円の波乱によりトルコ円も乱高下する可能性があると注意
〇対ドル、7/30は概ね33.12から32.87の取引レンジ、終値33.08で最安値を更新
〇イスラエルへの対決姿勢示すエルドアン大統領の発言、トルコの地政学的リスク高まりリラ売り助長か
〇JPモルガン、トルコのインフレ鈍化顕著なら10月にも利下げするとの見通し示す
〇4.63下回るうちは一段安警戒、4.58割れからは4.55前後への下落想定
〇4.65超える反騰からは上昇継続とみて、4.67から4.69にかけての上昇想定
【概況】
トルコリラ円の7月30日は概ね4.69円から4.61円の取引レンジ、31日早朝の終値は4.61円で前日終値の4.65円から0.04円の円高リラ安となった。
ドル円が7月3日高値161.94円から7月25日安値151.93円まで10円を超える大幅下落に見舞われたためにトルコリラ円も7月3日高値4.98円から7月25日安値4.58円まで大幅下落してきたが、ドル円が日銀会合が迫る中で持ち高調整的に反発したことで7月26日に4.69円まで戻した。
7月29日午前に4.63円までいったん反落したところから7月30日午後にかけてドル円が一段高した際に4.69円へ戻したが、30日深夜にドル円が急落したことで31日早朝に4.61円まで下げて7月25日安値へ迫っている。
ドル円の急落は日銀が0.25%利上げを検討中と報じたことがきっかけであり、本日昼頃の会合結果発表で利上げに踏み切る場合には円高がさらに加速する可能性もあるが、利上げを見送り先行きの利上げについても慎重姿勢を示す場合には当面の円買いイベント通過として反騰する可能性もある。また8月1日早朝のFOMCでは9月利下げ開始期待が一層高まるのではないかと市場は見ているが、利下げ判断への慎重姿勢を強調する場合はドル高反応を招く可能性もあるため、日米の金融政策決定会合を通過するまではドル円の波乱によりトルコリラ円も乱高下する可能性があると注意したい。
【対ドルでは最安値更新近辺での推移続く】
ドル/トルコリラの7月30日は概ね33.12リラから32.87リラの取引レンジ、31日早朝の終値は33.08リラで前日終値の33.05リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
7月17日に取引時間中の史上最安値を33.17リラへ更新してから7月23日高値32.57リラへいったん戻し、リラ売りの再開で7月25日以降は33.10リラ台の安値を繰り返し試し、終値ベースでは7月29日終値で終値ベースの史上最安値だった7月16日終値33.05リラ並んでいたが、7月30日終値を33.08リラとして最安値を更新している。7月31日午前序盤も33.10リラ近辺で推移して取引時間中の最安値更新を試している。
【地政学的リスクと年後半の利下げ観測】
イスラエルがレバノンのヒズボラへの反撃として首都ベイルートを空爆したことでパレスチナ・イスラエル戦争が周辺を巻き込んでさらに拡大する懸念を強めているが、7月28日にエルドアン大統領がリビアやナゴルノカラバフへ軍事介入したことを前例としてイスラエルへの対決姿勢を示す発言をしたことも踏まえてトルコの地政学的リスクが高まっていためにリラ売りを助長しやすくしていると思われる。
7月30日に発表された7月のトルコ経済信頼感指数は94.40となり6月の95.8から悪化したが、今年3月の100.0をピークとして4か月連続で低下している。先週発表の7月消費者信頼感指数も75.9となり5月の80.5から2か月連続で低下し、7月の製造業信頼感指数も100.3となり4月の106.1をピークとして3か月連続で低下しており、全般的な景況感の悪化が目立っている。
大手金融機関JPモルガンは30日に、トルコはインフレ鈍化が顕著となれば10月にも利下げするとの見通しを示した。8月5日に7月のトルコCPIの発表が予定されているが、事前予想では前月比が6月の1.64%から3.45%へ上昇するものの前年比は6月の71.6%から62.10%へ低下すると見込まれている。50%という高金利による景気への悪影響を踏まえれば早期利下げ期待も話題となってしかるべきだが、インフレがしっかり収まらないうちに早まった利下げに踏み込むとリラ売りを誘発してリラ安による通貨インフレ圧力がかえって強まることも懸念される。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月25日夕安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして26日の日中から30日早朝にかけての間への上昇を想定していたが、7月26日夜へ高値を切り上げてから反落した後も戻り高値を切り下げて軟調推移となったために30日午前時点では26日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして30日夕から8月1日夜にかけての間への下落を想定した。
30日午後の上昇では26日夜高値を超えずに深夜から急落したためにまだ下落途中とみる。また26日夜と30日午後の両高値をダブルトップ型としてボトム形成期が8月1日から5日にかけての間へ延びる可能性もあると注意する。
日銀会合後の乱高下も警戒されるので、4.65円超えからは強気サイクル入りとして8月2日から6日にかけての間への上昇を想定するが、FOMC後に急落する場合は次の弱気サイクル入りとなる可能性もあると注意する。
60分足の一目均衡表では7月30日深夜の急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7月30日午後に70ポイントへ上昇してから30ポイント割れへ急落しているので、50ポイント以下での推移中は一段安余地ありとし、50ポイント超えからは反騰入りとみて60ポイント台への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.58円を下値支持線、4.65円を上値抵抗線とするが日銀会合後とFOMC通過後の波乱に注意する。
(2)4.63円を下回るうちは一段安警戒とし、4.58円割れからは4.55円前後への下落を想定する。4.55円前後は反騰注意とするが、直前安値から0.05円を超える規模の反発がみられないうちは1日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.63円から4.65円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、4.65円を超える反騰からは上昇継続とみて4.67円から4.69円にかけての上昇を想定する。
【当面の主な予定】
7月30日
16:00 7月 経済信頼感指数 (6月 95.8)
7月31日
16:00 6月 貿易収支確報 (5月 -65億ドル)
16:00 4‐6月期 海外観光収入 (1-3月 8780億ドル)
17:30 6月 海外観光客数 前年同月比 (5月 14.0%)
8月1日
16:00 7月 イスタンブール製造業PMI (6月 47.9)
20:30 週次 外貨準備高 グロス 7月26日時点 (7月19日時点 947.0億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 ネット 7月26日時点 (7月19日時点 48.19億ドル)
8月5日
16:00 7月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (6月 1.64%、予想 3.45%)
16:00 7月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (6月 71.60%、予想 62.10%)
16:00 7月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前月比 (6月 1.64%)
16:00 7月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (6月 71.4%)
16:00 7月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (6月 1.38%)
16:00 7月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (6月 50.09%)
注:ポイント要約は編集部
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