7月26日夜高値からは軟調推移、日米の金融政策決定会合待ち
〇トルコ円、ドル円追いかけ7/26に4.69まで戻してからは上値の重い展開
〇昨日は4.63まで下げてから夜に4.67まで戻すも、7/30午前は4.65近辺へ失速気味
〇日・米政策決定会合次第ではドル円と共に急伸も急落もあり得ると注意
〇対ドル、7/29は概ね33.16から32.67の取引レンジ、最安値更新を試す展開続く
〇トルコの輸出停滞懸念や対米関係の先行き不透明感等がリラ売り再開の背景か
〇エルドアン大統領のイスラエルへの強硬姿勢、地政学的リスク高める
〇4.63を上回るうちは上昇余地ありとし、4.67超えからは4.69試しとする
〇4.63割れからは下落期入りとみて4.60前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の7月29日は概ね4.67円から4.63円の取引レンジ、30日早朝の終値は4.65円で先週末終値の4.66円から0.01円の円高リラ安となった。
ドル円が7月3日高値161.94円をピークとして7月11日と12日の市場介入を挟みながら7月25日安値151.93円まで10円を超える規模の大幅下落に見舞われたことで、トルコリラ円も7月3日高値4.98円から7月25日安値4.58円まで大幅下落してきた。
ドル円は7月25日安値から7月26日夜に154.73円まで戻し、29日午前に153.03円まで反落したところは買われたものの29日夜高値は154.20円に留まり30日午前には154円を割り込んでいる。大幅下落一服ではあるが、7月31日の日銀会合が追加利上げに対してタカ派姿勢になるのではないかとの懸念や、8月1日早朝の米FOMCが9月利下げの可能性を高める可能性があるため両会合を通過するまではドル円の一段安リスクが付きまとう。
トルコリラ円も7月26日に4.69円まで戻してからは上値の重い展開であり、29日午前に4.63円まで下げてから29日夜に4.67円まで戻したものの30日午前には4.65円近辺へ失速気味で推移している。30日の日中は様子見での推移と思われるが、この先の日米金融政策決定会合次第ではドル円と共に急伸も急落もあり得ると注意しつつ、臨機応変に流れついてゆきたいところだ。
【対ドルでは最安値更新を試す展開続く】
ドル/トルコリラの7月29日は概ね33.16リラから32.67リラの取引レンジ、30日早朝の終値は33.05リラで先週末終値の32.90リラから0.15リラのドル高リラ安だった。
7月17日に取引時間中の史上最安値を33.17リラへ更新してから7月23日高値32.57リラへいったん戻したもののその後は再びリラ売りが優勢となり、7月25日に33.13リラ、26日に33.15リラ、29日に33.16リラを付けて取引時間中の史上最安値に迫っている。終値ベースでは最安値である7月16日終値33.05リラと同値としている。
7月19日のムーディーズによるトルコ格付けの2段階引き上げや23日にトルコ中銀が政策金利を50%に据え置いて引き締め政策継続としたことによるリラ買いは続かず、中国や欧州の景気低迷によるトルコ輸出の停滞への懸念や米大統領選挙を巡る混迷による対米関係の先行き不透明感に加え、エルドアン大統領によるイスラエルに対する強硬姿勢が地政学的リスクを高めていることがリラ売り再開の背景となっている印象だ。
【イスラエルへの強硬姿勢】
エルドアン大統領は7月28日にパレスチナとイスラエルの紛争に関してトルコが過去にリビアやナゴルノカラバフで行ったように介入する可能性があることを示唆した。
エルドアン大統領と与党AKPはこれまでもイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃を激しく非難して両国の国交回復への動きを停止して事実上の断交状態に入っているが、エルドアン大統領はAKP会合において「イスラエルがパレスチナに対してこのようなばかげたことをできないよう我々は非常に強くならなければならない」、「ナゴルノカラバフやリビアに入ったように彼らにも同様の対応を取るかもしれないし我々にできない理由はない」と述べた。
トルコはナゴルノカラバフやリビアの紛争に軍事介入してきたが、イスラエルによるパレスチナへの軍事攻撃が拡大し、レバノンのヒズボラとの衝突も激化してきたことで中東全域の反イスラエル勢力を巻き込んだ戦争拡大への懸念も広がっている。仮にトルコとイスラエルが偶発的な軍事衝突を招く場合には有事緊張も一挙に激化する可能性もあると注意したい。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月25日夕へ一段安してから反騰したために26日午前時点では25日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして26日の日中から30日早朝にかけての間への上昇を想定したが、7月26日夜へ高値を切り上げてから反落した後も戻り高値を切り下げて軟調推移のため、26日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして30日夕から8月1日夜にかけての間への下落を想定する。
ただし、4.67円超えからは強気転換注意として26日夜高値4.69円試しとし、高値更新からは強気サイクル入りとして31日夜から8月2日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では7月26日夜高値からやや軟調推移となり遅行スパンが実線と交錯して方向感に欠けて先行スパンへ潜り込んでいるため、先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7月26日夜から29日夜にかけて指数のピークが切り下がっているため下向きとし、55ポイント超えからは上昇再開として60ポイント台序盤への上昇を想定するが、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.63円を下値支持線、4.69円を上値抵抗線とする。
(2)4.63円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.67円超えからは4.69円試しとする。4.69円前後は反落注意とするが、4.69円を超えてから続伸する場合は4.70円、4.71円を順次試す上昇を想定する。
(3)4.63円割れからは下落期入りとみて4.60円前後への下落を想定する。4.60円前後は買われやすいとみるが、4.63円を下回っての推移なら31日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
7月30日
16:00 7月 経済信頼感指数 (6月 95.8)
7月31日
16:00 6月 貿易収支確報 (5月 -65億ドル)
16:00 4‐6月期 海外観光収入 (1-3月 87.8億ドル)
17:30 6月 海外観光客数 前年同月比 (5月 14.0%)
8月1日
16:00 7月 イスタンブール製造業PMI (6月 47.9)
20:30 週次 外貨準備高 グロス 7月26日時点 (7月19日時点 947.0億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 ネット 7月26日時点 (7月19日時点 48.19億ドル)
8月5日
16:00 7月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (6月 1.64%)
16:00 7月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (6月 71.60%)
16:00 7月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前月比 (6月 1.64%)
16:00 7月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (6月 71.4%)
16:00 7月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (6月 1.38%)
16:00 7月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (6月 50.09%)
注:ポイント要約は編集部
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