リバウンド継続で8.6円台まで上昇、期待感先行で5月高値突破か
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、現大統領のラマポーザ氏が党首を務めるアフリカ民族会議(ANC)による国民統一政府(GNU)樹立を材料にリバウンド優勢の展開となった。
ラマポーザ大統領が率いるANCが、親ビジネス路線の改革派政党で今回の選挙で2位の得票率だった民主同盟(DA)と、ズールー族を支持基盤とし経済自由主義のインカタ自由党(IFP)などとの連立政権樹立の話が現実味を帯びたことで、ランドはリバウンド優勢の展開となった。
14日、開催された国民議会では、ラマポーザ氏が283票を獲得したのに対し、経済的解放の闘志(EFF)のマレマ党首の得票はわずか44に留まった。現職のラマポーザ大統領の再任(任期は5年)が無事に決まったことから、ランドは買戻し優勢の地合いが続き、週末には5月29日以来の8.6円台まで上昇した。
ランド・円(東京時間:6月10日―6月14日)※Investing.comの日足を参照
始値:8.3059円
高値:8.6068円
安値:8.2841円
終値:8.5677円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
6月11日
20時00分、4月製造業生産高(前月比)、前回:−2.5%、市場予想:1.8%、結果:5.2%
6月19日
17時00分、5月消費者物価指数(前月比)、前回:0.3%、市場予想:0.2%
17時00分、5月消費者物価指数(前年比)、前回:5.2%、市場予想:5.3%
20時00分、4月小売売上高、前回:2.3%、市場予想:1.6%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、19日の経済指標への関心よりも、新しい連立政権に対する改革期待が先行し、5月戻り高値8.6650円突破を試す展開となりそうだ。
連立政権の組み合わせとしては、脱欧米路線ではなくポピュリズム政党でもないことから申し分ない内容と考える。今後は南アフリカが直面している、高い失業率、経済成長を押し下げている電力公社エスコムによる慢性的な電力問題、政治にはびこる汚職など様々な問題の対応に動くこととなる。
今後、組閣となるが、各党の意見を吸い上げる必要があるため時間はかかるだろう。ラマポーザ大統領は2019年の1期目の時に閣僚ポストをズマ前大統領時代の最大36から段階的に減らし28まで削減した経緯がある。ANC内の派閥を考慮した配置とのことだが、今回は連立政権ということで閣僚ポストが増える可能性はある。スマートになっても経済や政治の改革が進まなかったことを考慮すると、閣僚ポストが再度増える流れは想定線と言えよう。
テクニカルでは、日足の一目均衡表の雲上限水準から一気に反発。週足ベースではほぼ「往って来い」のケースとなった。5月戻り高値を意識した格好となっており、上の動きを期待したいところだ。なお、組閣に向けたニュースが売買材料となりそうだが、連立政権内の不協和音等はある程度想定線と見ておいたほうがいいだろう。
南アフリカランド円日足
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