『挙国一致内閣樹立に向けた協議進展期待で南アランドが急上昇』
〇今週の南ア円、南アの与野党連立政権樹立への動きに政局不透明感後退、週末にかけ一時8.60まで急伸
〇テクニカルには選挙後の下落幅の全値戻しを達成、日足が主要テクニカルポイント上抜け地合い強い
〇ファンダメンタルズも政局不安後退と外国人投資家の資金流入期待が南ア円をサポート
〇南アランド円相場の見通しをベア(弱気)からブル(強気)へと変更
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.40ー8.70
今週のレビュー(6/10−6/14)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.30円で寄り付いた後、早々に週間安値8.28円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)一部メディアによる「野党第1党の民主同盟(DA)が与党アフリカ民族会議(ANC)との連立政権を承認した」との観測報道や、(2)保守系民族政党インカタ自由党(IFP)による与党アフリカ民族会議が目指す挙国一致政権への参加表明、(3)上記1、2を背景とした南アフリカの政局不透明感後退(挙国一致内閣樹立に向けた協議進展への期待感)、(4)南ア4月製造業生産(結果+5.3%、予想+1.6%)の市場予想を上回る結果、(5)ドル円相場の堅調推移(ドル円急伸→南アランド円連れ高)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値8.60円まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/15午前4時00分現在)では、8.55円前後で推移しております。
来週の見通し(6/17−6/21)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、5/22に記録した約2年ぶり高値8.66円をトップに反落に転じると、先週末金曜日(6/7)に、一時8.18円(約1カ月半ぶり安値圏)まで急落しましたが、今週は一転、南アランドが力強く上昇し、週末にかけて一時8.60円まで急伸しました(選挙後の下落幅の全値戻しを達成)。日足ローソク足が全ての主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上限)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」が点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカを巡る政局不透明感の後退(5/29に実施された南ア総選挙で与党ANCの得票率は前回2019年時の57.5%から40.2%へ急低下→少数政党との連立に必要とされていた45%のボーダーラインを下回ったことで政局不安が高まっていたが、今週は野党第1党のDAとの連立合意がなされると共に、急進左派の「経済的解放の闘士(EEF)」やズマ前大統領が率いる「民族の槍(MK)」が連立から除外されたことで政局不透明感が大幅に後退)や、(2)上記1を背景とした外国人投資家による南アフリカへの資金流入期待(一時的に逃避していたマネーが再び南アフリカへ回帰するとの期待感)など、南アランド円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では、南アランド円相場の見通しをベア(弱気)からブル(強気)へと変更いたします(5/22に記録した約2年ぶり高値8.66円に向けて南アランド買いがもう一段進むシナリオを想定)。
尚、来週は、南アフリカの政局に係わる続報に加えて、6/17に予定されている中国の主要経済指標(中国5月小売売上高、中国5月鉱工業生産、中国5月固定資産投資、中国5月新築住宅販売価格)や、6/19に予定されている南アフリカの主要経済指標(南ア5月消費者物価指数、南ア4月小売売上高)にも注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.40ー8.70
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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