『上下しつつも方向感を見出せず。スタグフレーション懸念がランドの重石』
〇今週の南ア円、南ア指標の好調、円安進行、金・プラチナ価格の堅調推移等に週前半8.03まで上昇
〇その後は南ア景気・雇用・物価関連指標の不冴えに7.92まで反落するも、週末8.00付近まで持ち直す
〇南ア円、主要テクニカルポイントの上で底堅く推移、強い買いシグナルも継続、地合い強い
〇ファンダメンタルズは南ア経済・政局の先行き不透明感、金融政策のかじ取りの難しさが重石
〇引き続き、南アランド円相場の一巡後の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.85ー8.10
今週のレビュー(3/25−3/29)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.97円で寄り付いた後、(1)南ア1ー3月期BER消費者信頼感指数(結果▲15、前回▲17)の前回比改善や、(2)対主要通貨での円売り圧力、(3)金・プラチナ価格の堅調推移が支援材料となり、翌3/26にかけて、週間高値8.03円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)南ア1月景気先行指数(結果110.8、前回111.0)の前月比悪化や、(5)南ア10ー12月期非農業部門雇用者数(結果▲1.8%、前回+0.4%)の冴えない結果、(6)南ア2月生産者物価指数(結果+4.5%、予想+5.0%)の市場予想を下回る結果が重石となり、週後半にかけて、週間安値7.92円まで反落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(7)南ア2月貿易収支(結果140億ZAR黒字、予想90億ZAR黒字)の黒字幅拡大や、(8)南ア株の堅調推移が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間3/30午前6時25分現在)では、8.00円前後まで持ち直す動きとなっております。尚、南アフリカ準備銀行は3/27の会合で主要政策金利のレポ金利を全会一致で8.25%に据え置くことを決定しましたが、市場の反応は限定的となりました。
来週の見通し(4/1−4/5)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は下落後に持ち直すなど、底堅い動きが続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上限)の上側で推移している他、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」も成立しており、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感(景気減速下でのインフレ底打ち懸念→先週発表された南ア2月消費者物価指数は前年同月比+5.6%と、前月の+5.3%から伸び率加速→南ア中銀のインフレターゲットレンジである3ー6%の上限に急接近→スタグフレーション懸念再燃)や、(2)南アフリカの政局不透明感(与党南アフリカ民族会議=ANCの支持率低下に歯止めがかからない中、5/29に予定されている南ア選挙でANCが予想以上に議席を失うリスク)、(3)南ア中銀の金融政策の舵取りの難しさ(今週開催された会合でクガニャゴ総裁は「インフレ目標の中央値である4.5%への回復は想像以上に遅い」と発言→南ア中銀は景気減速下にも係わらずインフレ底打ちリスクの影響で利下げに踏み切りにくい)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の一巡後の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南アフリカの経済イベントが特段予定されていないため、経済的な結びつきの強い中国の経済指標(中国3月財新PMIなど)や、米経済指標(米3月ISM製造業景況指数、米3月雇用統計など)に振り回される主体性に乏しい動きとなりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.85ー8.10
注:ポイント要約は編集部
※来週(4/6)の南アフリカランド週報は休刊とさせていただきます。次号は4/13を予定しております。
南アランド円日足
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.12.21
南アランド円週報:『日米金融政策イベントを経て乱高下するも方向感を見出せず』(12/21朝)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、日米金融政策イベントを経て乱高下しつつも、方向感を見出すには至りませんでした(一目均衡表の雲の中で上下)。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.12.21
トルコリラ円週報『ドル円との連動相場が続く見通し。トルコ中銀は利下げサイクル開始か』(12/21朝)
トルコリラの対円相場は、12/3に記録した約2ヵ月ぶり安値4.27円(10/4以来の安値圏)をボトムに切り返すと、今週後半にかけて、一時4.50円まで急伸しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.12.21
来週の為替相場見通し:『日米金融政策格差に着目したドル買い・円売り基調が続く見通し』(12/21朝)
ドル円は12/3に記録した約2カ月ぶり安値148.64(10/11以来の安値圏)をボトムに反発に転じると、今週は一時157.93(7/17以来の高値圏)まで急伸しました。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.04.01
南アフリカランドWeekly こう着相場入りか、経済と政治の先行き不透明感強まる(24/4/1)
先週のランドは、南アフリカ準備銀行(南ア中銀、SARB)声明を受けて、景気減速でも金利が高止まりする可能性が意識されて、8円前後のもみ合い相場となった。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.03.25
南アランドWeekly SARB声明文「タカ派」寄りならば、短期的なランド買いに(24/3/25)
先週のランドは、2月消費者物価指数が市場予想を上回る結果となったことで、一時、昨年11月以来となる8.0円台に乗せる場面が見られた。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。