先週末の上昇一巡で右肩下がりの展開
〇トルコ円、2/6未明のドル円高値更新時上値は4.88どまり、その後ドル円失速見ながら右肩下がりの展開
〇本日の日銀副総裁会見、マイナス金利解除に対する姿勢を受けたトルコ円の動きに注目
〇対ドル、2/7は概ね30.65から30.33の取引レンジ、2/8早朝は終値ベースの史上最安値更新
〇エルカン総裁辞任による市場の不安心理解消されず、史上最安値更新にブレーキがかからない状況
〇ロイター社による2024/10-12期の対ドルリラ予想中央値は、1ドル35.85
〇2/8トルコ中銀による四半期インフレ予想、引き締め継続に対する姿勢に注目
〇4.86を下回るうちは一段安警戒とし、4.81割れからは4.79、4.77を順次試して行く下落を想定
〇4.86超えから続伸する場合は上昇期入りとみて、4.88前後を目指す上昇を想定
【概況】
トルコリラ円の2月7日は概ね4.87円から4.83円の取引レンジ、8日早朝の終値は4.84円で前日終値の4.85円からは0.01円の円高リラ安だった。
2月2日夜の米雇用統計が予想より堅調だったことをきっかけに米長期債利回りが急騰したためにドル円は発表直前の146.50円台から2月3日未明に148.58円へ急伸し、2月5日も米長期債利回りが大幅連騰となったために6日未明に148.89円を付けて昨年12月28日安値140.24円以降の最高値を更新したが、米長期債利回りが連騰一服で低下したことと149円手前での上値抵抗感によりドル円の上昇は頭打ちとなり、2月7日は148円を挟んだ揉み合いにとどまり、7日深夜には一時147.62円まで下げた。
トルコリラ円は2月2日午前の一時的下落でつけた安値4.76円をからドル円の急伸を追いかけて3日早朝高値で4.89円を付けたが、6日未明にかけてドル円が高値を更新した際には4.88円に留まり、その後はドル円の失速を見ながら右肩下がりの展開に入っている。
2月7日は早朝の一時的上昇で4.87円を付けたところを売られ、その後は4.84円を挟んだ揉み合いで推移し、8日午前序盤には4.82円を付けて2月3日早朝高値以降の安値を更新している。
本日は日銀の内田副総裁の会見があり、マイナス金利解除へ向けて前傾姿勢なら円高となりトルコリラ円も売られやすくなるが、マイナス金利解除を急がない姿勢であれば円安によりトルコリラ円も戻りを試しに向かうことも考えられる。
【ドル/トルコリラは終値ベースの史上最安値更新】
ドル/トルコリラの2月7日は概ね30.65リラから30.33リラの取引レンジ、8日早朝の終値は30.54リラで前日終値の30.33リラからは0.21リラのドル高リラ安となり、2月5日終値30.53リラを超えて終値ベースの史上最安値を更新した。
1月25日にトルコ中銀は2.5%追加利上げを決定して政策金利の週間レポレートを45.0%へ引き上げたがインフレ対策としての利上げサイクルは終了したとし、市場はインフレ高進が収まらないうちは追加利上げが必要として利上げ催促的なリラ売りへ向かい1月26日には30.57リラへ取引時間中の史上最安値を更新した。
2月2日にはトルコ中銀のエルカン総裁が突然辞任したことによる正常化した金融政策継続への不安から30.60リラへ最安値を更新し、2月5日のトルコ1月消費者物価上昇率が前月比で大幅に加速したことで5日終値を30.53リラとして終値ベースの最安値を更新した。
エルカン総裁の後任にはNY連銀の元エコノミストでオンライン小売大手アマゾンのシニアエコノミストだったファティ・カラハン氏が任命され、エルカン前中銀総裁とともに金融政策正常化を推し進めてきたシムシェキ財務相は金融政策姿勢は継続すると強調して市場を落ち着かせようとした。しかし市場の不安心理は解消されず、史上最安値更新への動きにはブレーキがかからない状況だ。
【年末のドル/トルコリラ予想中央値は1ドル35.85リラ】
ロイター社がまとめて2月7日に公表したエマージング通貨の年内予想において、トルコリラの4‐6月期予想中央値は1ドル32.00リラ、7-9月期は33.67リラ、10-12月期は35.85リラとされた。最もリラ安が進行するケースでは4‐6月期で35.07リラ、7−9月期で38.33リラ、10-12月期で42.56リラとされた。
年末にかけて27リラまで低下するという予想もあるが、平均的にはリラ安が続き、30リラ台中盤へ進み、最悪シナリオでは40リラを超えることにもなりかねないという印象だ。
【トルコ中銀の四半期インフレ予想に注目】
2月8日はトルコ中銀による四半期のインフレ予想が示される。
前回11月時点での予想では2024年5月に70%強でピークをつけ年末には36%へ低下するとの見通しだったが、見通しを示した上で中銀が追加利上げの可能性やインフレが顕著に低下するまで引き締め状態を継続する姿勢を強調できるかどうか注目される。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、2月2日午前安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして3日早朝から7日未明にかけての間への上昇を想定し、2月6日午前時点では4.84円割れから弱気サイクル入りとしたが、2月7日午前に4.84円を割り込んだために2月3日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。ボトム形成期は7日午前から9日午前にかけての間とした。
2月8日午前序盤へ安値を切り下げているのでまだ下落余地ありとみる。また2月7日午前安値を直近のサイクルボトムとしてすでに底割れから新たな弱気サイクル入りしている可能性もあると注意する。ただし4.86円超えからは強気サイクル入りとして8日の日中から9日朝にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では2月7日夕に先行スパンから転落したが、その後も転落状態が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は2月7日未明からジリ高で推移してきたが50ポイント到達で売られて抵抗感がみられる。55ポイント超えからは上昇期入りとして60ポイント台中盤への上昇を想定するが、45ポイント割れからは下落継続とみて30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.81円を下値支持線、4.86円を上値抵抗線とする。
(2)4.86円を下回るうちは一段安警戒とし、4.81円割れからは4.79円、4.77円を順次試して行く下落を想定する。4.78円以下は反騰注意とするが、4.84円を下回っての推移なら9日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.85円から4.86円までは戻り売り有利とみるが、4.86円超えから続伸する場合は上昇期入りとみて4.88円前後を目指す上昇を想定し、4.86円を上回っての推移なら9日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
2月8日
20:30 週次 外貨準備高 2月2日時点 グロス (1月26日時点 891.5億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 2月2日時点 ネット (1月26日時点 306.8億ドル)
2月9日
16:00 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -1.4%)
16:00 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 0.2%)
2月12日
16:00 12月 失業率 (11月 9.0%)
2月13日
16:00 12月 経常収支 (11月 -27.22億ドル)
16:00 12月 小売売上高 前月比 (11月 0.2%)
16:00 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 12.8%)
注:ポイント要約は編集部
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