『安値圏で一進一退。トルコ中銀会合後に下げ幅拡大の恐れも』
〇今週のトルコリラ円週初7.59まで上昇後、同日にイスタンブールでのテロ発生等で7.39まで下落
〇週央以降はレンジ相場継続、7.50近辺で越週
〇テクニカルには主要サポートポイント下側で推移、売りサインも点灯し地合い弱い
〇ファンダメンタルズもトルコ中銀の追加利下げ観測等売り材料多い
〇引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.35ー7.65
今週のレビュー(11/14−11/18)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.47円で寄り付いた後、(1)米FRBによる利上げペースの鈍化期待や、(2)中国政府によるゼロコロナ対策の緩和発表、(3)上記を背景としたリスク選好ムードが支援材料となり、翌11/15にかけて、週間高値7.59円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)トルコ最大都市イスタンブールで11/13に隣国シリアなどで活動するクルド系武装勢力によるテロが発生したこと(トルコ政府はPKK系の活動家達が資金集めの拠点として北欧を利用していると主張しているため、今回のテロ行為はフィンランドやスウェーデンの早期NATO加盟の逆風となる恐れあり→NATO・トルコ間の関係悪化懸念)や、(5)トルコ10月住宅販売件数(結果▲25.3%、前回▲22.9%、※前年比)の冴えない結果、(6)トルコ9月住宅価格指数(結果+189.19%、前回+184.64%、※前年比)の更なる上昇が重石となり、同日海外時間に、週間安値7.39円(8/16以来、約3ヵ月ぶり安値圏)まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、週央以降はレンジ相場が継続し、本稿執筆時点(日本時間11/19午前2時10分現在)では、7.52円前後で推移しております。
来週の見通し(11/21−11/25)
トルコリラの対円相場は、10/21に記録した約4ヵ月ぶり高値8.17円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、約3ヵ月ぶり安値となる7.39円(8/16以来の安値圏)まで下落しました(週央以降も安値圏で一進一退)。ローソク足が主要サポートポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線、一目均衡表雲上下限など)の下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」が点灯していること、早ければ来週中にも強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」が成立する可能性があること(21日移動平均線と90日移動平均線のデッドクロスが条件)等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ中銀による追加利下げ観測(トルコ中銀はエルドアン大統領の圧力に屈する形で、CPIが約24年ぶり高水準を記録しているにも係わらず、ここまで3会合連続で利下げを実施)や、(2)上記を背景としたトルコリラの実質金利の更なる低下(インフレ加速+政策金利引き下げの組み合わせ)、
(3)トルコ・欧米間の関係悪化懸念(エルドアン大統領とプーチン大統領の急接近に対する警戒感に加えて、クルド系武装勢力によるトルコでのテロ行為に端を発したNATOとトルコの関係悪化懸念も再燃)、(4)円キャリートレード逆流への警戒感など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は11/24に発表されるトルコ中銀(TCMB)の金融政策決定会合に注目が集まります。エルドアン大統領は9/28に「年末までに政策金利を1桁台に低下させることを望んでいる」と発言しているため、トルコ中銀はエルドアン大統領の要望通り、来週の会合で150bpの追加利下げを決定し、政策金利を10.50%から9.00%(1桁台)へ引き下げるものと推察されます。この為、週後半にかけては、実質金利低下に伴う構造的なリラ売り圧力に警戒が必要でしょう(米感謝祭中の流動性低下の隙をついたフラッシュクラッシュに要警戒)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):7.35ー7.65
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2023.05.27
来週の為替相場見通し:『日米金利差拡大を背景にドル円は節目140円を突破し急上昇』(5/27朝)
ドル円は3/24に記録した安値129.65をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、約半年ぶり高値140.72(昨年11/23以来の高値圏)まで急伸しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2023.05.27
トルコリラ週報:『対ドル相場は史上最安値更新。市場参加者の関心は週末のトルコ決選投票』(5/27朝)
市場参加者の関心は今週末(5/28)に予定されているトルコ大統領選挙の決選投票に集まっています
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2023.05.27
南アランド週報:『50bpの利上げに踏み切るも南アランドは下落。対ドル相場は史上最安値更新』(5/27朝)
南アランドの対円相場は、5/12に記録した約2年3カ月ぶり安値6.90円をボトムに反発に転じると、今週は一時7.25円まで持ち直しました
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2022.11.21
トルコリラ円見通し 円高の落ち着きにより7.50円挟んだ持ち合いで下げ渋る(22/11/21)
トルコリラ円の11月18日は7.55円から7.50円の取引レンジ、19日早朝の終値は7.52円で前日終値の7.53円からは0.01円の円高リラ安だった。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2022.11.18
トルコリラ円見通し 急激な円高による大幅下落は一服だが日足は7.50円挟んだ持ち合い(22/11/18)
トルコリラ円の11月17日は7.56円から7.46円の取引レンジ、18日早朝の終値は7.53円で前日終値の7.49円からは0.04円の円安リラ高となった。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。