ドル高リラ安が一段と進行、ドル円急落も重なり6月27日以降の安値更新
〇トルコリラ円、ドル円急落に合わせ7/28午前7.56へ一段安、夜7.50を割り込み、7/29朝7.47まで下落
〇対ドル、7/28は17.94から17.84の取引レンジ、終値ベースでの史上最安値更新続く
〇トルコ中銀、年末インフレ率予想60%へ引き上げ、市場予想比楽観的な見通しを堅持
〇7.52以下での推移中は一段安警戒とし、7.47割れからは7.40台前半(7.45から7.40)を試すとみる
〇7.52超えからは、7.55前後への上昇を想定する
【概況】
トルコリラ円の7月28日は7.64円から7.48円の取引レンジ、29日早朝の終値は7.49円で前日終値の7.62円からは0.13円の円高リラ安となった。
7月28日未明の米FOMCによる0.75%利上げを事前予想通りとして発表後にドル安反応となったためにドル円は28日未明高値137.46円から短時間で136.31円へ1円を超える急落となり、28日午前には135.08円へ一段安した。7月8日夜に米4-6月期GDPが2四半期連続のマイナスとなったためにリセッション入りが濃厚と受け止められて米FRBの利上げペースが鈍化するのではないかとの見方から米長期債利回りが低下したことでドル円は135円を割り込み29日早朝安値で134.18円まで大幅続落となり、7月14日高値139.39円からの下げ幅は5円を超えた。
ドル円の急落に合わせてトルコリラ円は27日深夜高値7.68円から下落に転じ、28日午前には7.56円へ一段安、28日夜には7.50円を割り込み7月29日朝には7.47円まで安値を切り下げている。
7月29日午前序盤はドル円の急落一服でトルコリラ円も7.50円台回復を試しているが、ドル/トルコリラでのドル高リラ安基調も継続しているため、売られ過ぎの反動で戻したところは再び売られやすい展開と思われる。
【ドル高リラ安継続、終値ベースの史上最安値更新続く】
ドル/トルコリラの7月28日は17.94リラから17.84リラの取引レンジ、29日早々の終値は17.90リラで前日終値の17.87リラからは0.03リラのドル高リラ安となった。
日足は7月19日から9連騰。ベンダーによっては1ドル18リラを付けているが、昨年12月20日に付けた史上最安値18.36 リラ以来の最安値水準であり、7月29日午前序盤には17.98リラへ安値を更新しており、18リラ超えから取引時間中の最安値更新を試す流れが継続している印象を強めた。終値ベースでの史上最安値は昨年12月17日の16.41リラを6月に割り込んでからほぼ連日のように更新を続けているが、7月28日も終値ベースでの史上最安値更新となった。
米FOMCによる0.75%利上げを市場予想通りとして発表後の為替市場は全般的にドル安反応となり、ドル/トルコリラも7月28日朝にかけてはリラの買い戻し優勢となっていたが勢いは鈍く、高インフレ進行下で利上げを拒否するエルドアン政権及びトルコ中銀に対する利上げ催促的なリラ売りの流れが止まらない印象だ。
【トルコ中銀の年末インフレ率予想は60%へ引き上げ】
7月28日夜にトルコ中銀が発表した年末のインフレ率予想調査は60.4%となり前回4月調査時の42.8%から大幅に上方修正された。ロイター社の独自調査ではエコノミストによるトルコの年末インフレ率予想値は70.0%であり、トルコ中銀の予想値はこれを大幅に下回ってかなり甘い見込みといえる。
トルコ中銀の2023年の年央におけるインフレ率予想は4月時点の12.9%から19.2%へ引き上げられたが、中銀は年末から来年にかけてはインフレが急速に終息へ向かい景気拡大へ向かうとの楽観的な見通しを堅持している。また現行の政策金利を大幅に引き下げている状況については商工ローンや消費者ローンの上昇を抑制する効果があると意義を強調している。
年末のインフレ率は2017年の11.92%以降、2018年末に20.3%、2019年末に11.84%へ低下したが2020年末に14.6%へ上昇、2021年末は36.08%へと大幅に上昇した。2022年末のインフレ率予想については昨年末時点で7.0%、1-3月期の予想で23.2%、4-6月期の前回予想で42.8%へと引き上げられて今回60.4%へとさらに引き上げられた。
6月時点の消費者物価上昇率は前年比で78.62%で5月の73.5%から上昇したが、8月3日に発表予定の7月消費者物価上昇率も現時点では市場予想がまとまっていないものの80%を超えてくるものと推察される。
インフレ悪化が続く中で利上げを拒否しているうちはリラ安も止まらないと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月25日夕刻安値で前回のサイクルボトムを付けて下げ渋り型の持ち合いとなっていたが、7月27日夜に25日夕安値を割り込み、いったん戻してからの反落で安値をさらに更新したために28日午前時点では7月26日朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして7月28日夕から8月1日夕にかけての間への下落を想定した。
7月29日朝へ続落しているので引き続きボトム形成中とみるが、持ち合い下放れに入り始めた7月27日夜安値を直近のサイクルボトムとした場合はボトム形成期が8月1日夜から3日夜にかけての間へと延びる可能性もあると注意する。
7.52円超えからは強気サイクル入りとして8月2日にかけての上昇を想定するが、戻りは短命に終わって下落再開に入る可能性もあると注意する。
60分足の一目均衡表では、7月28日早朝への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落してその後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からはいったん戻りに入るとみるが、その際は先行スパンが上値抵抗帯になりやすいとみて、その後に遅行スパンが悪化するところからは下げ再開と考える。
60分足の相対力指数は29日朝に20ポイント台へ低下したところから30ポイント台へ戻しているが、40ポイントを割り込んだ状況が続くうちは一段安警戒とする。40ポイント超えからは50ポイント台への上昇を想定するが、戻りは短命の可能性もありその後に40ポイントを割り込むところからは下げ再開とみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.47円を下値支持線、7.52円を上値抵抗線とする。
(2)7.52円以下での推移中は一段安警戒とし、7.47円割れからは7.40円台前半(7.45円から7.40円)を試すとみる。7.43円以下は反騰注意とするが、7.50円以下での推移か直前安値から0.05円以上の反発とならないうちは週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.52円超えからは7.55円前後への上昇を想定する。7.52円以上を維持しての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
7月29日
16:00 6月 貿易収支 (5月 -106.1億ドル)
16:00 6月 観光客数 前年同月比 (5月 308%)
8月1日
16:00 7月 イスタンブール製造業PMI
8月3日
16:00 7月 消費者物価 前月比 (6月 4.95%)
16:00 7月 消費者物価 前年同月比 (6月 78.62%)
16:00 7月 生産者物価 前月比 (6月 6.77%)
16:00 7月 生産者物価 前年同月比 (6月 138.31%)
注:ポイント要約は編集部
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