ユーロ安トレンドは継続
〇先週のユーロ、週後半はFOMCやフランス中銀総裁発言で日替わりで上下の動きを見る
〇基本は米欧金利差拡大方向に変化無しと見込む「ドル買い・ユーロ売り」が続きやすい地合い
〇本日ロシア戦勝記念日、欧州にとって好材料が出ると思えず、ユーロの上値を抑える材料となるか
〇先週はトライしきれなかった1.05の大台割れを今週は改めて試してくる可能性が高いとみる
〇今週は1.0390レベルをサポートに1.0600レベルをレジスタンスとする週とみる
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、FOMC後のパウエル議長会見でドル売り・ユーロ買い、翌日はその巻き戻しでのドル買い・ユーロ売り、金曜はフランス中銀総裁発言でのユーロ買いと上下の動きを日替わりで見た週後半となりましたが、基本はやはり米欧金利差が拡大する方向には変化が無いと見込むドル買い・ユーロ売りの動きが続きやすい地合いにあります。
今週も連日経済指標の発表はありますが、まず月曜にロシア戦勝記念日で軍事パレードが行われプーチンが演説を行う予定となっています。軍事パレードのリハーサルで核攻撃指令機の飛行も行われ、西側諸国への威圧を続けています。本日のパレード本番でも同様でしょうが、ウクライナへの攻撃を強めることも考えられますし、演説の内容も気になるところです。欧州にとっての好材料が出てくるとも思えず、ユーロの上値を抑える材料となるでしょう。
また引き続き米欧金利差拡大が既定路線で進むことを考えると、先週はトライしきれなかった1.05の大台割れを今週は改めて試してくる可能性が高いと見られます。
ポジション的にもシカゴの通貨先物ではユーロが年明け以来の売りに転じてきました。ポジションサイズは大きくありませんが、多くの投機筋がユーロ売りへと少しずつ傾いてきていることが伺えます。
テクニカルには長期的な最終ターゲットとして2017年年初の安値1.0340レベルがありますが、その手前には1.0429、1.0351という水準が挙げられます。これらの水準も考慮して日足チャートをご覧ください。
下の赤の太い水平線が2017年年初の安値1.0340レベル、紫の細い水平線が1.0429レベルです。先週の安値圏は2月高値からの逆N波動における100%エクスパンション1.0495レベルと近く、短期的には反発しやすい水準でもありましたが、偶然1.05の大台と重なっていたという意外に強いサポートとも言えません。次のターゲットとして1.0429〜1.0340にかけての年初来安値更新を視野に入れる週になってくるでしょう。
今週もユーロドルは上値が重く下げやすい展開を考え1.0390レベルをサポートに1.0600レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週はユーロ円の日足チャートです。
通過の強弱としては米ドルの独り勝ち、円が最弱という流れに変化はありませんが、ここに来て欧州通貨も弱くなってきて円安に追随するような動きとなってきました。久しぶりにユーロ円の立ち位置を確認しておきます。
4月に140円の大台を見たことで上値の達成感は出ましたが、その後の安値が4月初めの安値をトライしきれなかったことから短期的に安値も見たという展開です。4月高値とその後の安値の61.8%戻しが138.01となっていて先週の戻り高値とほぼ一致していますが、円もユーロも弱いことから、ここからの戻りは78.6%(61.8%の平方根)戻しの138.89を超えていくことは短期的には無いものと言えそうです。
いっぽうで安値は先週安値の136.52レベルを下抜けるには更なるユーロの悪材料が出てくる必要がありますが、まずは週初のプーチン演説を聞いた上でということになりそうです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
5月9日(月)
15:45 フランス3月貿易収支
16:00 プーチン演説
5月10日(火)
08:01 英国4月小売売上高
18:00 ドイツ5月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏5月景況感 ☆
23:00 ドイツ連銀総裁講演
5月11日(水)
15:00 ドイツ4月CPI ☆
17:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
17:55 オランダ中銀総裁講演
5月12日(木)
08:01 英国4月住宅価格
15:00 英国1〜3月期GDP速報値 ☆
15:00 英国3月貿易収支
17:05 スペイン中銀総裁講演
5月13日(金)
15:45 フランス4月CPI
18:00 ユーロ圏3月鉱工業生産
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
先週は東京がゴールデンウィークだったため、通常とは異なり一週間をまとめて振り返らせていただきます。
前週28日に1.0470レベルと年初来安値を更新していたユーロドルですが、その後も大台1.05を何度も試すものの1.04台は定着せず、FOMC後のパウエルFRB議長会見で0.75%の利上げは検討せずとの発言からタカ派がやや後退しドル安・ユーロ高の動きとなりました。翌日の東京前場には1.0642レベルまで買い戻されていましたが、米国株式市場の行って来いの動きとともにユーロドルは再び下落しました。
金曜東京後場には前日安値を下回る1.0485レベルをつけましたが、フランス中銀総裁がタカ派な発言を行うとともに、ユーロドルの水準についてユーロが弱すぎると物価安定の目標が困難になるとも発言したことから急反転し1.06近くまで上昇したものの、米国雇用統計後は週末を前に改めてユーロ売りが広がっての週末クローズとなりました。
ディスクレーマー
アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.10.30
ドル円 基本は明日以降の材料にらみ、レンジ取引か(10/30夕)
東京市場はレンジ取引。153円台前半、40ポイントほどの小動きだった。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.10.30
ドル円、153円台前半で方向感に欠ける動き (10/30午前)
30日午前の東京市場でドル円は153円台前半でのもみ合いに終始。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:川合 美智子
2024.10.30
ユーロ円 上値トライの流れが継続(24/10/30)
昨日の海外市場では、対ドルでユーロが堅調に推移する中、ユーロ/円は165円台後半に戻して引けました。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:編集人K
2022.05.09
ユーロドル、米長期金利上昇で日中低下するもプーチン大統領の演説空振りで反発 (5/9夕)
9日の東京市場でユーロドルはじり安推移。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。