トルコリラ円見通し 13円到達へ急伸、利下げ時期遅れの予想やドル安で買いの連鎖反応(21/6/11)

6月2日夜の戻り高値を上抜いたところからは買いの連鎖反応で急伸商状となり11日早朝には13.00円まで高値を伸ばし、6月2日朝へ暴落する前の水準を超えた。

トルコリラ円見通し 13円到達へ急伸、利下げ時期遅れの予想やドル安で買いの連鎖反応(21/6/11)

トルコリラ円見通し 13円到達へ急伸、利下げ時期遅れの予想やドル安で買いの連鎖反応

〇トルコリラ円、6/10夕刻から上昇、6/2夜の戻り高値を上抜き急伸商状、6/11早朝13.00へ高値を伸ばす
〇対ドル、6/10夕刻に8.55リラを割り込んだところからリラ買いの連鎖反応、6/11未明に8.40リラへ上昇
〇トルコ中銀の利下げ先送り見通し報道、外貨準備高増加、リラ買いの材料となったか
〇トルコ失業率、悪化するも市場の反応は限定的
〇12.90以上での推移中は上昇余地ありとし、13.00超えからは13.10前後への上昇を想定する
〇12.90割れからは反落入りの可能性ありとみて、12.80前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の6月10日は13.00円から12.71円の取引レンジ。6月1日のエルドアン大統領による利下げ言及報道から6月2日朝に12.44円へ暴落的に下げてから2日夜高値12.80円まで戻した後は暴落商状一服となり、6月4日夕安値で12.56円まで下げた後はややジリ高の推移が続いていた。
6月10日は夕刻に6月4日以降の戻り高値を切り上げたところから上昇に勢いがつき、6月2日夜の戻り高値を上抜いたところからは買いの連鎖反応で急伸商状となり11日早朝には13.00円まで高値を伸ばし、6月2日朝へ暴落する前の水準を超えた。

ドル/トルコリラの6月10日は8.59リラから8.40リラの取引レンジ。6月2日朝の暴落で8.77リラへ急落して史上最安値を更新したが、6月4日に再び下落したところでは8.74リラにとどまって最安値更新を回避し、その後は暴落商状一服感からリラ買い戻しが優勢となってきていたが、10日夕刻に8.55リラを割り込んだところからリラ買いの連鎖反応に入って急騰商状となり、11日未明に8.40リラへ上昇した後も8.42リラを挟んだ水準で高止まりしている。

【トルコ中銀の利下げ先送り感でリラ買い】

トルコリラの急伸については、格付け会社フィッチとゴールドマンがトルコの利下げ時期についてはインフレ状況を踏まえれば今年の第4四半期まで先送りされるだろうとの見通しを示したとの10日の報道が急騰のきっかけとなったのではないかとされている。またトルコ中銀の外貨準備高が6月4日時点ではグロスで496.4億ドルとなり前週の487.2億ドルから増加し、ネットでも146.9億ドルとなり前週の124.4億ドルから増加したこともリラ買い材料になったとの見方もあるようだ。
トルコのエルドアン大統領がバイデン米大統領とNATO首脳会談に合わせて6月14日に対面としては初の首脳会談を行う予定だが、両国関係への改善期待もリラの買い戻しを助長したともいえる。
6月10日夕刻にはトルコの失業率の発表があり、4月は13.9%となり3月の13.0%から大きく悪化、市場予想の13.2%も上回った。トルコにおける感染増加の第三波の影響もある時期だったことで市場の反応も限定的だったといえるが、タイミング的にはこの発表後からリラ高が加速している。

6月10日は米5月消費者物価上昇率の発表もあったが、市場予想を上回る上ブレとなったものの昨年春のパンデミック初期における不況時との比較となるために前年比では4月の4.2%から5.0%へ上昇し、コア指数でも4月の3.0%から3.8%へと伸びが加速したが、前月比で見れば全体が4月の0.8%から0.6%へ鈍化、コア指数でも0.9%から0.7%へ鈍化したため、今後はピークアウトとなるのではないかと市場は受け止めた。このため米10年債利回りは発表当初に1.52%へ上昇したものの早々に低下へ転じて1.43%まで大幅低下となり、為替市場全般がドル安となった。これもドル/トルコリラでのドル売りリラ買いを助長した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月2日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、6月4日夕安値の後は新たな安値更新を回避して7日夜へ戻したため、8日午前時点では4日夕安値とダブル底となる7日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期は7日夜から9日夜にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるとしたが、10日早朝へ戻り高値の切り上げが続いていたために10日午前時点では、サイクルトップ形成期の延長入りによる上昇の継続の可能性があるとした。
6月10日夕刻へやや下げてから急伸したため、6月10日夕安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしたと考える。高値形成期は14日から16日夜にかけての間と想定する。急騰後の反動安や乱高下も警戒されるが、12.90円以上での推移中は上昇余地ありとし、12.90円割れからは弱気サイクル入りの可能性ありとみて12.80ドル台前半への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月8日から遅行スパンの好転、先行スパンを上抜いた状況を維持してきたが、10日夜の急騰で両スパンの実線との乖離が大きくなった。遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、新たな高値更新へ進めなくなると遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは安値試し優先とする。またその際は先行スパンの上限が下値支持線となりやすいとみる。
60分足の相対力指数は6月10日夜の急騰で80ポイント台へ急伸した。その後も70ポイント台を維持している。70ポイント以上を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、相場が高値を切り上げるところで指数のピークが切り下がる場合は弱気逆行発生として弱気転換注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.90円を下値支持線、13.10円を上値抵抗線とする。
(2)12.90円以上での推移中は上昇余地ありとし、13.00円超えからは13.10円前後への上昇を想定する。13.10円前後では売りも出やすいとみるが、勢い付く場合は13.20円前後へ上値目途を引き上げる。また12.90円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.90円割れからは反落入りの可能性ありとみて12.80円前後への下落を想定する。12.80円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、12.90円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な予定】

6月11日
 16:00 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 0.7%)
 16:00 4月 鉱工業生産 前年比 (3月 16.6%)
 16:00 4月 小売売上高 前月比 (3月 5.1%)
 16:00 4月 小売売上高 前年比 (3月 19.2%)
6月14日
 16:00 4月 経常収支 (3月 ‐33.29億ドル)
6月15日
 17:00 5月 財政収支 (4月 -169億リラ)
6月17日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 19.0%)


注:ポイント要約は編集部

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