トルコリラ円見通し 3日続伸、6/2の暴落一服でやや持ち直すが6/2の高安レンジ内(21/6/10)

トルコリラ円の6月9日は12.77円から12.67円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し 3日続伸、6/2の暴落一服でやや持ち直すが6/2の高安レンジ内(21/6/10)

3日続伸、6月2日の暴落一服でやや持ち直すが6月2日の高安レンジ内

〇昨日のトルコリラ円、8日から高値をわずかに切り上げ終値ベースでは3日連騰
〇対ドルでは4日に最安値更新回避後、いったん落ち着きリラ買い戻しが優勢
〇10日の米消費者物価上昇率でドル高反応なら戻り一巡によるリラ下落再開の可能性も
〇逆に予想下回れば米長期債利回りが一段と低下、対ドルでのリラ買い戻しの動きも継続しやすい
〇10日発表のトルコ失業率、3月の13.1%から13.2%へ若干の悪化予想
〇14日バイデン大統領とエルドアン大統領の対面による初首脳会談、17日トルコ中銀金融政策発表
〇12.67以上での推移中は上昇余地あり、12.80手前は戻り売りにつかまりやすい
〇12.67割れからは下げ再開とみて12.55前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の6月9日は12.77円から12.67円の取引レンジ。高値は8日の12.771円から12.775円へわずかに切り上げ、終値ベースでは6月7日から3日連騰の上昇だが、上昇幅は小ぶりであり、6月2日にエルドアン大統領の利下げ言及報道から暴落した時の高安レンジ内にあり、6月2日にいったん戻した時の高値12.82円には届かずにいる。

ドル/トルコリラの6月9日は8.61リラから8.54リラの取引レンジ。6月2日早朝に大統領の利下げ言及報道から8.77リラへ急落して史上最安値を更新したが、6月4日に再び下落したところでは8.74リラにとどまって最安値更新を回避し、その後は状況もいったん落ち着いたとみてリラ買い戻しが優勢となっている。
6月9日は米長期債利回りが大幅低下を続けたところでユーロやポンドがいったん上昇してドル安となり、ドル安リラ高が進んでこの日の高値となる8.54リラへと戻り高値を切り上げたが、深夜からは米長期債利回りの低下にブレーキがかかってユーロやポンド等が下落に転じたために対ドルでのトルコリラも上げ渋りとなった。

【10日夕にトルコ失業率、夜に米CPIとECB金融政策】

6月10日はトルコの4月失業率の発表が夕刻にあり、夜には米5月消費者物価上昇率、週間失業保険申請件数、ECB理事会がある。
米消費者物価上昇率が予想を超える上ブレとなり失業保険申請件数も顕著な大幅改善となる場合には米連銀の量的緩和の縮小開始議論も早まるとみて米長期債利回りの急騰とドル高という反応になる可能性があり、その場合は暴落一服で戻しているトルコリラにとっては戻り一巡による下落再開へのきっかけになる可能性があると注意する。逆に予想を下回る程度の物価上昇率なら米連銀も量的緩和縮小を急がないとみて米長期債利回りが一段と低下して対ドルでのリラ買い戻しの動きも継続しやすくなる。
ECB理事会では金融政策現状維持が予想されているが、年後半へ向けたスタンスの変更を示唆する動きが出るようだと、米連銀との金融緩和姿勢の差が意識されてドル安のきっかけとなる可能性もある。主要国中銀が景気回復を踏まえて徐々に量的緩和の縮小気配に傾斜し始めている流れもあるところであり、ユーロ圏の感染抑制と景気回復に対する楽観がECBのスタンスにも反映されるか注目される。

トルコの失業率については3月の13.1%から13.2%へ若干の悪化が予想されているが、トルコの感染急増の第三波も落ち着いているのでワンテンポ遅れた統計として特段のサプライズがなければ市場の反応も限定的と思われる。
6月11日にはトルコの4月小売売上高、鉱工業生産の発表、14日にはNATO首脳会談に絡んで米バイデン大統領とエルドアン大統領の対面による初首脳会談がある。6月17日にはトルコ中銀の金融政策発表と続く。トルコの経済指標はインフレの進行と観光収入の激減を除けば堅調に回復している。早計な大統領による利下げ要求に多少のブレーキがかかり米国との関係も改善へ向かえばトルコリラにはプラスとなりえるが、米土関係が険悪なままで利下げ要求が一段と強まるようだとリラ売り攻勢も再燃しかねないところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月2日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、6月4日夕安値の後は新たな安値更新を回避して7日夜へ戻したため、8日午前時点では4日夕安値とダブル底となる7日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期は7日夜から9日夜にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるとした。10日早朝へ戻り高値の切り上げが続いているので、サイクルトップ形成期の延長入りによる上昇の継続中とみるが、反落警戒期にあるとみて12.67円割れからは弱気サイクル入りとして10日夕から14日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月7日夜への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いたが、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので、先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は6月10日早朝への高値切り上げに際しては指数のピークが切り下がり弱気逆行が見られるので、50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも早々に回復するうちは上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント以下を目指す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.67円を下値支持線、12.80円を上値抵抗線とする。
(2)12.67円以上での推移中は上昇余地ありとみる。12.80円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、12.80円を超える場合は12.82円から12.85円前後まで上値目途を引き上げる。また12.70円以上での推移なら11日も高値試しを続ける可能性があるとみる。
(3)12.67円割れからは下げ再開とみて12.55円前後への下落を想定する。12.55円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、12.67円以下での推移なら11日も安値試しへ向かいやすいとみる。また下げ足が早まる場合は12.50円台序盤(12.53円から12.50円)へ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

6月10日
 16:00 4月 失業率 (3月 13.1%)
 20:30 週次 外貨準備高(グロス) (5/28時点 487.2億ドル)
6月11日
 16:00 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 0.7%)
 16:00 4月 鉱工業生産 前年比 (3月 16.6%)
 16:00 4月 小売売上高 前月比 (3月 5.1%)
 16:00 4月 小売売上高 前年比 (3月 19.2%)
6月14日
 16:00 4月 経常収支 (3月 ‐33.29億ドル)
6月15日
 17:00 5月 財政収支 (4月 -169億リラ)
6月17日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 19.0%)

※ポイント要約は編集部

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