南ア中銀政策金利引き上げの背景
南アフリカ中銀は、日本時間の1月28日政策金利を従来の6.25%から6.75%に引き上げました。
同時に発表された南ア中銀政策委員会のステートメントからはランド下落による輸入物価の上昇、干ばつによる食料価格の上昇というインフレ要因と年初来の中国の景気後退懸念からの輸出減少、資源価格の下落等の経済後退要因の狭間でぎりぎりの選択を迫られている南ア中銀の苦しい事情が伺えます。
南ア中銀は今回2016年のインフレ率の予想を従来の6.0%から6.8%に2017年のインフレ率の予想は5.8%から7.0%に引き上げています。
これらの数値予想の変更は主として前回会合以降の為替レートの大幅な下落と20年に一度とも30年に一度とも言われて深刻な干ばつの影響による食料価格の高騰によるものです。
中国を主要輸出国とする南アフリカの通貨ランドは年初より強い売り圧力にさらされており、また、クレジットスプレッドの拡大や債券の金利上昇が南アフリカに対するリスクプレミアムの上昇を物語る状況となっています。
南ア中銀は南アランドは過小評価されていると考えられるものの、当面南アランド安の傾向は収まらない可能性もあり、加えて資源価格の下落と干ばつによる食糧輸入の拡大が貿易赤字を拡大させることが確実と見ています。
現在非居住者が資本を引き上げる傾向が顕著な中この赤字のファイナンスは非常に難しい状況となっていくであろうとも中銀は分析しています。
このような環境下、中銀は今回2016年の経済成長率も従来の1.5%から0.9%へ2017年の成長率を2.1%から1.6%に引き下げています。
このようなインフレと経済低迷のジレンマの中で政策委員会は経済後退のリスクは相対的に低いと判断し今回の利上げに踏み切った模様です。
委員のうち0.5%の利上げに賛成が3名0.25%の利上げを主張したものが2名、残る1名は政策金利を変更しないことを主張しました。
政策金利発表引き上げ後南アランドは対円で7.25レベルから7.35レベルまで上昇。
今日は日銀のマイナス金利発表があったことによる円安要因で現在は7.50まで上昇しています。
ただし、国内情勢を見る限り、南アランドの反発はこれまでの売られすぎの一時的な反動買いの可能性は捨て切れず、引き続きダウンサイドのリスクには注意が必要です。
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